最後にして最初の人類のレビュー・感想・評価
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音楽と語りと遺構の実写
20億年後の未来人からのメッセージと称する女性のナレーションから始まります、なんでも太陽に謎の天体が衝突し地球滅亡、人類は遺伝子操作で新人類を誕生させ海王星にのがれたがそこも滅亡してしまったそうだ。映画は奇妙な妄想とも愚痴とも分からぬ未来人の語りと不気味なオーケストラの演奏、映像は第二次大戦後に人民解放軍を率いたチトー大統領によって旧ユーゴスラビア各地に数百余り建てられたスポメニック(Spomenik)と呼ばれる戦争記念碑なるモニュメントを撮っているだけ。
オラフ・ステープルドンの原作(1930)は「2001年宇宙の旅 (1968)」にも影響を与えたそうだが、本作の監督のヨハン・ヨハンソンは作曲が本業だからクラッシックとSFの融合した「2001年宇宙の旅 (1968)」を観て続編もどきを作りたくなったのか、あるいは太陽にも寿命があり、地球滅亡までもって50億年という事実に感傷的になっていたのでしょうかね。
良く言えば哲学的で芸術性の方に寄せた表現とも言えますがヨハンさんは映画は本業では無いし、予算もかかりますから語りと遺跡の実写で済ませてしまったのでしょう、初演は2017 年のマンチェスター国際フェスティバルで BBC フィルハーモニー管弦楽団がライブ演奏、映像とオーケストラの融合ですが昔の活弁映画みたいですね、ヨハンさんが薬物中毒でなくなった2年後に映画化されました。
作家性が強い妄想作品ですのでホトホト疲れました。
苦痛の時間
1930年に発行されたオラフ・ステープルドンのSF小説をティルダ・スウィントンが英語でナレーションし、その内容とは全く関係のない旧ユーゴスラビアに点在する巨大な戦争記念碑のモノクロ映像とヨハン・ヨハンソンのBGMに日本語の字幕を被せた作品。
20億年後に太陽の膨張他で地球に住めなくなり、銀河系以外への移住を図るが、殆どの人類は滅びるという小説を朗読され、その内容と全く関係のない戦争記念碑の映像をモノクロで流されても頭に入らない。
ただ単に苦痛な時間を過ごしてしまった。
全く合わなかった。
70分、己の限界が試される作品
写真家の瀧本幹也氏が「コヤニスカッツィを思い出した」と仰っていましたが、コヤニス~の方が圧倒的に観やすいです。まだ人の営みの風景もあるし、場面も動くので。
20億年先の未来人から現代人にテレパシーで警鐘を鳴らす、という内容。
20億年先の未来人、なんで英語使ってんすかっていう私みたいなリアリストは、この映画には合いません。Don't think!Feel、です。
この未来人の役をティルダ・スウィントンが演じているのですが、実体がない(白目)。
マジでこの映画、人っ子ひとり出てきません。
じゃあ何が出てるかと言うと、巨大なモニュメントの映像のみ。
ラストで若干山とか建物っぽい景色とか出てきますが…。
このモニュメント、遺跡かと思ったら旧ユーゴの戦争記念碑らしいです。『スポメニック』。
それがクローズアップされてるということは、さて20億年後はどんな未来が待っているんだろうか…といったところでしょうか。
他の方も「意識飛ばした」と書かれてらっしゃるのと同じく、私も途中で意識飛ばしました。
基本的に起承転結があって無いようなもんです。
それに、ティルダ演じる未来人はよく『人類』とか『太陽系』とか壮大な単位で物事を語るので、今晩の飯は何にしようとか、明日の仕事めんどくせえとか考えてる私のような卑小な人間に、この映画は合いませんでした(2度目)。
ただ、もしこれがオーケストラを従えた生朗読であれば(元々はこの形式だったと映画.com速報さんが書いてる)、ティルダとオケのビジュアルも楽しめるので、そっちの方が面白かった気がするんですよね。激重い内容からの逃避という観点で。
監督ご逝去後の映像スタッフさんの計り知れないご苦労には申し訳ないですが、70分間、延々とモニュメントの映像を拝見してるのはちょっとしんどかったです。
未来からの遺言、手塚治虫の無機物世界観にどっぷり浸かれる禁断の体験。
久しぶりの映画酔いを経験した。
手塚治虫の火の鳥にたびたび展開される、人類の滅亡した世界の様子を最初から最後まで見せられたようだった。
ナレーションは人類に語られているのだが、その人類がどこにいるのかが、映画の中では全くわからない。
何しろ、人の姿はこの映画に現れないのだから。。。
宇宙に漂う受け取り人のいない電気信号。
暗闇の海原に漂流する手紙の入った瓶はこんな気持ちなのだろうか。
無機物の気持ちになれる稀有な映画体験だった。
前衛芸術的
残念ながら時々意識を失ってしまった。最後の人類を救うための現人類へのメッセージが最後まで分からず、決定的なナレーションを聴き逃していたかもと思ったが、Som Tamさんの解説(感謝)を読む限りそうでもないようだ。
2001年宇宙の旅は好きでそれに通じる深淵さは感じた。娯楽作ではないことを理解して(体調のよいときに)鑑賞すればかつてない経験が得られるかも。宇宙的なタイムスケールに合わせて気を長く持って。
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