「京都の風景と現代音楽と」ミュジコフィリア タジン鍋さんの映画レビュー(感想・評価)
京都の風景と現代音楽と
現代音楽がテーマの作品だけあって、アクの強い奇妙な大学生たちと、一風変わった斬新な音楽が次々と出てくる前半。
それぞれの個性が強くて若干ちぐはぐな印象も受けながら、鴨川の河川敷に通り抜ける風の流れやキャンパスの息遣いといった風景の中で何故か心地よい響きとなって感じられる。
登場人物の関係性が変わってゆき、物語が加速してゆく後半、ちぐはぐに感じられた流れが一点に向かって集約されてゆき、ちぐはぐだった兄弟の心がぶつかり合い、せめぎあい、そして、ある瞬間に突然に重なり合って美しいハーモニーを奏でる。
「京都の景色を見せつけてやれ」といった押しつけのない、さりげなく京都らしさを感じる風景も合わさって、若手俳優たちの演技も爽やかで、すがすがしい視聴感を覚えた。
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