「「弱いつながり」の強さと重さと」Ribbon h.h.atsuさんの映画レビュー(感想・評価)
「弱いつながり」の強さと重さと
自分には2020年のコロナ禍での自宅待機の頃の記憶がほとんどない。自宅には家族がいて、普段通りの会話をしていたし、仕事はリモートワークで確りと支障なく繋がっていた。
ただその間、友人や知人とのたわいの無い会話は完全に閉ざされ、街や公園は人がいない無機的な環境になってしまっていた。
家族は大切な存在だけど、その繋がりが強すぎて、時に煩わしく時に息苦しさも感じてしまう。「弱いつながり」の大切さはコロナ禍で失って初めて気がつくもの。
それはSNSやビデオチャットのようなもので満たされるものではなく、リアルの質感や重みを感じさせるものでなくてはならない。あのRibbonのように。
コロナ禍での息苦しさや繋がりの重みに真正面から向き合っていて、10年後にこの作品を観た時、私たちはどう感じるのだろうか。
予想以上ののん監督のリテラシーに脱帽。
セリフのひとつひとつが繊細で丁寧で自然なところがとても心地良い。
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