劇場公開日 2022年2月25日

「次回作に早くも期待」Ribbon kitaroさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5次回作に早くも期待

2022年3月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

のん(能年玲奈)さんのファンなので、その主演映画ということで観に行った。コロナ禍に直面した美大生の物語という設定以外、予備知識なしで劇場に入った。

とにかく、引きこまれた。2時間あっという間だった。コロナ禍の日常、その独特の空気感が、リアリティをもってよく描かれていた。ラストも、一服の清涼剤を口にしたようで、さわやかな余韻に包まれて、映画館を後にした。映画ならではのゆたかな時間を堪能した。料金以上の内実を得られると確言できる。

アップに耐えるのんさんの明朗な美しさと、コミカルな演技は相変わらず魅力的だが、特筆したいのは脇を固める俳優陣だ。母、父、妹の順に登場するが本当の家族のように映った。親友との関係性もよい。「謎の男」も、かけがえのないキャラクターで、登場シーンは限られていたが強い印象を持った。

一つ疑問に思ったのは、美術に携わる者における作品の位置づけである。映画に出てくる美大生は、のんさんも含めて、作品に対してかなり「振り切った」姿勢を見せ続けるが、創造者というものは、ああいう感受性なのだろうか?私自身、美術製作に縁がない人間なので、その点の人物造形が意外に思えるのかもしれない。

これが初監督ということだが、驚きでしかない。「女優・創作あーちすと」はどこまで行くのか、次回作が早くも楽しみになる作品であった。

kitaro