ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイのレビュー・感想・評価
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未だリンチを禁ずる法案が可決されない国
Black Lives Matterのデモが、あれだけ世界各国で起こったのに
2021年においても未だリンチを禁ずる法案が通らない米国。
数年暮らしていた国だけど、沿岸部の都市はそれ程ではなくても、中西部は未だ酷い。
先進国なのに、蛮国だわ。
自分より下である存在を作らないといられない精神って、誰にもあるのだろうけど、
やっかみや嫉妬を正義にすり替えるって恐ろしい。
ビリー・ホリデイの負の伝記
ステージのシーンは文句なし。アンドラ・デイの歌声に酔いしれる。残念なのは、ビリー・ホリデイの負の側面に重点を置きすぎていて、彼女が黒人差別と戦った意味が薄れてしまっている。重度のジャンキーで、男に食い物にされ、助けてくれる仲間を切り捨ててしまう身勝手なビリー・ホリデイ。
たとえ事実だとしても、この描き方ではビリーに感情移入できない。必要以上に長いセックスシーンも興醒めする。
ミュージシャンの自伝映画なんだから、ステージをラストに持ってきて欲しかった。
『ボヘミアン・ラプソディ』『リスペクト』で証明されている鉄板のメソッドなんだから、使わない手はない。
重厚な伝記ドラマ
ビリー・ホリディという一人の女性の生き様を力強い歌声と共に描いた本作。「奇妙な果実」というセンセーショナルな歌詞が綴られた楽曲をきっかけに、薬物中毒者であることも相まって追い詰められていく様が容赦なく映し出されていました。
エンタメ要素を排除しかなりリアルに作られているのと、そもそも実話なこともあり、特別ビリー・ホリディに思い入れがない私からすると正直面白いとは思えず。知識不足が故の理解ができない箇所や価値観もかなりありました。
でも歌唱シーンはどれも圧巻でしたし、しゃがれた声で歌い上げ、尊厳を保ちステージに立ち続ける姿は胸を打つものがあります。
ルールに従って良い子で生きることを選ばなかったビリー・ホリディという一人の女性のことを、本作を通して少し知ることができて良かったです。
可もなく不可もなし、個人的には何も響かない
恥ずかしながらビリー・ホリデイの存在については名前は聞いたことあるものの、今作で初めて知った。ジャズ界では有名な方なのかしら?
申し訳ないですが、私としては見終わった後何も残らない作品だった。
主演のアンドラ・デイ、もちろん歌は上手いんだけど、心に響くような、何か訴えかけるようなメッセージ性も少なく…。
それにしても、天賦の才能を持つ歌手の多くがクスリとセックスがお約束のようにセットで描かれて、ドラッグで身を滅ぼしている。ビリーもクスリ漬け、そして男を取っ替え引っ替えだらしない。言っちゃ悪いが自業自得よ。
ただ、不遇な幼少期を過ごしたことには同情する。「奇妙な果実」の歌詞にも衝撃を受けた。
ただ、それだけ。
正直、しんどい
正直、しんどい。
生い立ちやら、過去やら、選ぶ男のしょうもなさやら、セックスの傾向やら、依存症やら、幸せを感じたときに自らそれをぶち壊すことしか出来ないところやら、すべてがしんどい。
今もリンチが止んでいないことも、リンチを罰する法律がいまだに成立していないことも、被害者である黒人がいまやアジア系をリンチしていることも、すべてがしんどい…
それにしてもこんなに愛されてたのか、ビリー・ホリデイは当時から。
それにしてもこんなに孤独だったのか、大スターなのに…
僕らは「『奇妙な果実』を歌ってよ!ビリー!」という客のように、なにも分かっておらず、なにもわかり得ないのではないか…
そんなことを思い知らされる映画、それがこの映画だよ。
何故こんなにも執拗にビリーが狙われたのか、分からないうちはこの映画を分かったとは云えないんじゃないかな、きっと…
美空ひばりを想起した
タイトルで損をしている。ビリー・ホリデイが合衆国政府と法廷闘争をした話かと思ってしまった。ビリー・ホリデイをよく知っているアメリカ人ならそんな誤解はしないのかもしれないが、かなり昔に亡くなったアメリカのジャズ歌手は、当方には馴染みがなかった。
ジャズは飲食店のBGMでインストゥルメンタルをよく耳にする。耳当たりがよくて食事の邪魔にならない。勝手な印象ではあるが、飲食店のBGMはジャズが一番多いと思う。
当方は個人的にジャズをときどき聞く。ビル・エヴァンスやオスカー・ピーターソンといったピアニストが好きで、特にピーターソンが歌う「It's Only a Paper Moon」や、サッチモ(ルイ・アームストロング)が歌う「When the Saint on Marching In」や「What a Wonderful World」がとても好きだ。誰でも聞いたことがある歌である。
本作品でビリー・ホリデイが歌う「All of Me」も聞いたことがあったが、歌手がビリー・ホリデイだとは知らなかった。シャンソンの「Hymne A L'Amour 」(「愛の賛歌」)を長いこと越路吹雪の歌だと思っていたようなものだ。
さて本作品はビリーホリデイの凄絶な半生を描いている。だからタイトルは「ビリー・ホリデイ」だけでよかった。合衆国の弾圧よりも、麻薬の誘惑との戦いの方が多かった気がする。のべつ幕なしに煙草を吸い、男と麻薬に溺れる。麻薬が駄目なら代わりに酒をがぶ飲みし続ける人生だ。人前に立ち続けるのはそれほど魂を削ることなのだろう。
当方は、1989年に亡くなった美空ひばりを想起せずにはいられなかった。万人受けする歌ばかりを歌っていたような印象の歌手だが、実はそうでもない。ビリー・ホリデイが「奇妙な果実」を歌ったように、美空ひばりは「一本の鉛筆」という骨のある歌を歌っている。ジャズも歌っていたが、これが実に上手かった。
国民的な歌姫、早すぎる死、そして必ずしも幸せだったとは言えない壮絶な人生と、共通点はいくつかある。もちろん黒人差別という大きな足枷をかけられていたビリー・ホリデイの苦悩と比較すれば、美空ひばりはまだ幸せだったのかもしれない。
しかしその歌は、あまり歌い継がれているとは思えない。「一本の鉛筆」を歌っている歌手は、当方が知る限り、シャンソンのクミコただひとりである。世界的に有名な「奇妙な果実」とはあまりにもかけ離れている。美空ひばりも魂を削りながら歌ったことでは、ビリー・ホリデイに負けていないはずだ。「一本の鉛筆」がメジャーな歌になることを願ってやまない。
社会派ドラマvs.伝記映画
ジャズシンガー、ビリー・ホリデイとFBIとの長年に渡る確執がテーマのドラマですが、タイトルのような社会派ドラマとしてはちょっと物足らない内容でした。禁止歌『奇妙な果実』に対するネガティブな社会の反応が描かれていないので、FBIが彼女を執拗に狙う理由がピンときません。成功した黒人への嫉妬と言うのが当たらずとも遠からずな感じですが、長官の心境もよく分からず、なんか中途半端な感じです。結果として、いつものショウビズ界の内幕もの中心になってしまっているのですが、逆にこの部分が迫力たっぷりで、ビリー・ホリデイの内面や心境が非常に丁寧に描かれていて壮絶で破滅的な半生はとても見応えがあります。役者では、主役のアンドラ・デイが渾身の演技で、強烈な印象が残ります。
全編ビリー(アンドラ・デイ)のJAZZポーカル堪能できます
ビリーホリディのJAZZボーカルとお話しが時代と共に進んでいく音楽映画であり、伝記映画です。ビリーのJAZZは耳にしていましたし好きでいろいろなJAZZアーティストを聴いてもいましたが、こんな歴史背景を背負ったアーティストとは知りませんでした。自由の国アメリカの闇の歴史の一画(インディアン、人種問題の公民権運動、戦争、JAZZやロツクミュージシャンなどの麻薬もNewsや映画にとりあげられた時代。アンドラ・デイの圧巻の歌声は演技と共に見ごたえがあります。ビリーはアメリカ国の麻薬捜査局(FBI)と戦い、多大な悲惨な過去から強く生きた女性ということが分かる映画でした。映画の最後に→【リンチ法案今だに可決していない】と・・何故?
★Digital7.1ch
★重低音─
★分離度◎
★サラウンド◎残響音やステージ臨場音など
★サイド、後(活躍度)◎
★移動音○
本編ドラマとしてだけでなく、音も良く作られていているので、ビリー・ホリデイ(アンドラ・デイ)のステージ音楽などが全編に散りばめられていますし、エンドロール途中からの歌い上げにも、アンドラが画面いっぱいに出演し熱唱する作品になっているので、音楽ステージを観賞するという目的でも良い作品に仕上がっていると思います。
素晴らしいエンドロールだった。
公民権運動の先駆者なのだから、偉人だと思う。しかし、彼女は薬物の関係でタブー視されている。また、白人の興行に積極的に応じていたので、一部の黒人からも疎まれていたと思われる(彼女だけでなく、薬物使用の理由でチャーリパーカーなとも)。
この映画は伝記映画と言うよりも、アメリカの暗部をえぐった映画だと思う。そして、問題は今でも続いていると、締めくくった事に最大の賛辞をあげたい。
気になる場面があったので、それは、黒人どおしで、侮蔑の言葉を使っているか?と言う事が気になった。もし、使っていれば、意味があるし、あの綺麗なエンドロールにどんな影響を与えるか?が気になった。しかし、良かった。ちゃんと、ニグロと言っていた。
ヒヤリングも駄目だ僕は。
いやいや、やっばり、差別用語は使っている。
困惑
解決
最後の最後に時間が飛ぶ。アンドラ・デイに回帰する。言葉の使われ方がそれで、納得出来る。
だから、
2月22日もう一度見た。やっばり、素晴らしいエンドロールだ。
エンターテインメントとしても、最高だし、我が人生に於いても最高の鑑賞体験になったと思っている。
そして、あのエンドロール。素晴らしいエンドロール。明るくなるのが怖くなるほど涙が流れた。マル・ウォルドロンの『レフト・アローン』を思い出した。
追伸 美空ひばりに似てないですか?美空ひばりも凄い歌手だと思う。彼女のJAZZボーカルは驚天動地ですよ。あまり、しられていないけど。
追伸追伸 ビリー・ホリデイと情婦マノン似てるなと思った。
ビリー・ホリデイってこんな人だったのか。
もちろん、名前は知ってたけど、ちゃんと曲は聞いたことがなかった。
タイトルから、黒人の彼女と差別意識の強い政府との裁判がメインと思って着席。
奇妙な果実という曲の社会的影響力を封じ込めたい政府が、麻薬捜査官を潜入させ彼女を逮捕。有罪確定で、一年と一日刑務所行きだ。
ん?予想となんか違う展開。
さすがアメリカと感じたのが、出所した彼女にすぐ歌う仕事がきて、チケットも完売した事。日本の社会じゃ絶対に有り得ない!こういう所、見習いたいぞ。
それにしてもビリー、自我が強すぎというか人の意見を聞かないというか、なかなか面倒な人だわ。かと言って単独では生きられない、仲間達が守ってあげてる感じ。ずっと依存してるのが、ドラッグ、男、タバコ。結構、モヤモヤさせてもらいました。ずっとドラッグがやめられない彼女、そりゃ何度も捕まるわ。
たくさんの曲が流れて、彼女の歌声が心地よくて、チョコチョコ落ちちゃいましたが、退屈はしてませんでした。
人気はあったのに大変な人生だったんですね。
アンドラ・デイの演技と歌声を堪能
ビリー・ホリデイがアメリカ麻薬当局に睨まれたには訳がある。ジャズ史に残る名曲『奇妙な果実』の社会への影響を排除したいから。
そんなビリー・ホリデイとアメリカ麻薬捜査の闘いを描いた本作のビリー・ホリデイを熱演したのはアンドラ・デイ。
ビリー・ホリデイのニックネーム「レディ・デイ」にちなんで自分の芸名もアンドラ・デイと名付けたほどビリー・ホリデイを崇拝していた彼女の唄う『奇妙な果実』は映画の中の最大のハイライトと言ってもいい。
彼女の演技とビリーに寄せた歌声を堪能できる映画。
映画としてのクオリティーは相当高い
映画としてのクオリティーは相当高い。
茶と赤を基調とした画面構成、カメラの動き、俳優ひとりひとりの配役と役作り、ジャズ、テーマの深淵さ。
そして、オスカー主演女優賞にノミネートされたアンドラ・レイの演技と歌唱。
どれをとってもスゴイ。賞賛に値する。
でも高い芸術性がありながらも娯楽性に欠け暗い話なので一般受けはしないと思う。
玄人好みの良作。
1人vs USAはキツイ!
今日もなんばパークス。USA vsって裁判と思いきや、
黒人シンガーのビリーが、奇妙な果実を歌うことが、黒人運動を扇動することで、潜入捜査も入れて追求するんだ。ビリーホリデイは、44歳で亡くなったんだ。レフトアローンって曲もあるね。角川映画 キャバレーでもありました。ビリーホリデイ役のアンドラディが素晴らしい。彼女を追求したFBIの長官は70まで働き、ケネディ大統領から表彰されるのは、どうなんやろな!
黒人リンチの法案は2020年にだされまだ通過していない。白人主義の国家 USAだ!
アンドラ・デイの演技は素晴らしかった。
麻薬の件で当局に目をつけられようがつけられまいが、あの放蕩三昧では遅かれ早かれ同じような最期を遂げたに違いない。
ユナイテッドステイツはタイトルに要らないと思います。
ビリー・ホリディだけが相応しい。
それだけ、その生き様が劇的であった。
【”「Strange Fruit」は人権の歌なの!”とビリーは言った。生まれ、ヘロインの誘惑、男運の悪さ、執拗な麻薬捜査局や米国政府に悩まされながらも歌い続けた不世出の歌姫の生き様を描いた作品。】
ー 「Strange Fruit」(奇妙な果実)は、陰鬱な歌詞とメロディで構成された歌である。
だが、この歌は長年白人から、謂れなき差別、時にはリンチ殺人まで行われている現代アメリカ人の黒人にとっては、哀しみと怒りの歌であり、白人にとっては忌むべき歌である。
本作では、1940年代後半から「Strange Fruit」(奇妙な果実)を米国政府の様々な妨害(勿論、彼女にも、重い責任はある。)を受けながらも歌い続けたビリー・ホリデイの、様々な苦しみ、悩みに苛まれつつも、歌い続ける姿を描き出している。-
◆感想
・ビリー・ホリデイの愛称だった、”レディ・デイ”から芸名を付けたアンドラ・デイの渾身の演技が見所である。
少し前にビリー・ホリデイのドキュメンタリー映画「BILLIE ビリー」を鑑賞していたので、アンドラ・デイと、ビリー・ホリデイの容姿は全く似ていないな、と思ったがそんなことはどうでも良く、劇中で披露されるアンドラ・デイの歌に、引き込まれる。
・今作は、脚本がやや粗い為、ビリー・ホリデイの哀しくも、短すぎる生涯が多少、記憶にないと理解しずらい部分が有るかもしれないが、アンドラ・デイの渾身の演技と歌が全て吹き飛ばしてくれる作品である。
・ビリー・ホリデイが「Strange Fruit」(奇妙な果実)をフルで歌うシーンは、フラッシュバックの様に黒人差別とリンチのシーンが錯綜し、彼女が背負った重さが漂って来る。
<僅か、44歳で早逝したビリー・ホリデイ。
あのラストのシーンは、彼女も又、「Strange Fruit」(奇妙な果実)になってしまったのか・・、と思ってしまった鑑賞後の味わいが苦き作品。
現代アメリカでも横行する、有色人種への謂れなき差別が消えない限り、何時までも「Strange Fruit」(奇妙な果実)は、どこかで、誰かが歌い、聴くのであろうなあと思った作品でもある。>
生々しいのがウリ。生き様映画。歌が良い。熱演。ただ主観では「vsアメリカ政府」だったろうが、実際は違うだろう。
アネサ・フランクリンだかの「リスペクト」とチョット被るが1940年代
と時代は遡るから、黒人差別の事態は深刻。
主人公の名歌手を実際の歌手であるアンドラ・デイが体を張って、声も張って熱演、熱唱
ただ、謳い文句の「サスペンス・エンターテイメント」というより
一人の歴史、時代に翻弄された歌手の生々しい人生。
感動というより、まるで本人がいるような人間的生々しさが良い。
歌が素晴らしい。
セック・ス&ドラッグ&アル中で聖人君子ではない。
「奇妙な果実」の歌詞も主題のようで、実はなんか違う感じ。
とにかく複雑で生々しい「生き様」映画なのだ。早逝だったけど差別に負けずよく頑張った!
結構近代に黒人差別どころかリンチもまかり通っていたのは事実。
彼女も出生、育ちが特殊で、大変な苦労がトラウマになっている。
あと有料パンフ見たら結婚歴が2回、同棲歴が1回だから・・
どうりで黒人の俳優さん入り乱れてわけわからん、正直、区別つかん(差別では無くて、正直な視覚的感想)
勿論、黒人初の連邦捜査官は強烈な印象です。清濁・・とはこのこと
っーかこの部分は事実???
まあジャズが好きな人が音楽を楽しむ映画です。確かに
彼女は人種差別と戦っていたと思う。
ただ皮肉にも、麻薬局の長官が時の大統領に表彰される史実が出るのだけれども
アメリカ政府を侮ってはいけない。本気になれば大統領ですら葬り去れるのだから・・
まあ現実には「VS」というより、歌詞の取り締まりに権限なんてない連邦麻薬局
に、「いわれのない執拗な嫌がらせ」されたということだねぇ、まあ彼女もヤクやってその部分は悪いから
「つけ込まれて、転ばされた」のだと思った。ところで麻薬局とFBIどう違うの?なんか無料リーフレットだと「FBI」
有料パンフだと「連邦麻薬局」
ただ主人公ビリー・ホリデイから観た主観に忠実な可能性大。
連邦麻薬局は鬱陶しいウザい「敵」だったのは相違ない。
All of me
第二次世界大戦からビリー・ホリデイが亡くなる1959年までのニューヨークが舞台になる。一言で言えば麻薬ダメ、人種差別酷いということになるんだろうが、当時のジャズミュージシャンのほとんどがジャンキーだった(ヘロインやることが'hip'カッコよいことだったらしい)ということを考えると、また違った見方も出きる。
ジャンキーだらけの当時のジャズシーンで最も成功を納めていた(うちの一人)のビリー・ホリデイがスケープゴートにされたんだろうね。薬物やったって別に世間(超保守的な当時の白人社会からは徹底的に嫌悪されただろうけど)的には叩かれたりしないし、どうということはなかったんじゃないかな、多分。すぐ復活だし。50年代の保守的な白人社会に対して戦う英雄と思う人も多かったかもしれない。
生い立ちが悲惨すぎて、だから、薬物だし、だから、ああいう歌を歌えた(薬物じゃなくて、生い立ち)という一面もあったのかもしれない、"奇妙な果実"もいいけど"All of me"は良かった。官能的でぞくぞくした。
60年代に入ると音楽はジャズからロックに。社会も動き出す。黒人公民権運動、キング牧師、マルコムX、ムハメド・アリ、サム・クック…。
jazzが好きな人、jazzに興味のある人、これからjazzを聴いてみようと思っている人、是非観てください。
実話ものだけど、評価は極端に分かれると思います。
今年36本目(合計309本目/今月(2022年2月度)8本目)。
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★この前に、「地球外少年少女(後編)」もみましたが、この映画にレビューの需要はないので飛ばします。なお、ネットフリックス契約者は、6話を全て見ることができ(映画館では、前半3話、後半3話で別れる扱い)【4話が全体に繋がるネタバレ】なので、下手にネットフリックスを見て映画館に行くと、事実上意味がなくなる点に注意です。
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さて、こちらの映画。
女性のジャズ音楽の実在する人物で、一方で(当時の)黒人問題の向上や公民権運動等にもかかわった人物のお話。実話ベースですので、あることないこと書けないという状況です。
主にストーリー全体を通して、彼女が歌いたかった「奇妙な果実」((当時の)南部での黒人差別を告発する趣旨の歌詞」を歌うか、それを良しとしない(黒人の向上を良しとしない)白人との戦いという軸で描かれます。また、ストーリーの関係上、あることないこと書けませんし、ストーリーも基本的に生まれから没するまで一本軸で進みますので(時間ずらしは原則なし)、この混乱要素もないです。また、当時のフィルムが残っていたようで、一部、当時のモノクロ映像が入るなど、原作に忠実だなという印象です。
…と、ここまで書けば、いわゆる「人権を扱う映画」なのだから評価4.0なのはなぜ?という話になるのですが、彼女の人生を扱った映画だからです。実際、映画内で「奇妙な果実」も含めて、(ジャズ)音楽という「音楽の話」は4割ほどしか出てこず、残りの6割は何かというと「大人の営み」と「薬物問題」です(彼女は生涯、自身が染めた薬物問題に苦しんだ)。
このため、この映画はレーティングこそR15扱いですが、「ギリギリモザイクがかからない」扱いのR15であり(ギリギリ映っていないというだけに過ぎない)、この「大人の営みのシーン」も3回か4回は登場します。
後者は、日本では(当然、非合法ですが)入手可能と言えるものと言えないものとが混ざっており、中には「容易にアクセスできる薬物」まで扱っているので、うーん、これどうだろう…という気がします。
この映画の予告編やここの特集などからでは、そこまで読み取れないからです。特に映画館で数週間前からやっている予告編では、「黒人の人権運動にかかわりつつ、ジャズにも携わった」というようにしか読めないところ、始まるとその話題は4割ほどで、残りの大半はこうした話題なので…。かつ、R15だと、R18と違って「あからさまなシーン」まで出ませんので、多少の差(14歳、13歳)だと見に行くことも想定できますが(実話ものである以上、家族で見に行くことは想定可能)、「大人の営みのシーン」も結構きついので(モザイクこそかからないものの、ただ単に「ギリギリ映していない」に過ぎない)、家族で見に行くと凍り付くんじゃないか…というところです。
結局のところ、いわゆる「予告編からわかるはずもない展開に突然飛ぶ」というのをどこまで許せるかというのは人それぞれですが、先週の某怪獣映画が「それを裏切った」ために警戒度がアップしている中でこの映画ですと、やはり評価点は下がるのではないかと思う一方、「とある某怪獣映画のチョンボ」をこの映画に押し付けるのも無理難題な話であって、どこまで考慮するかはかなり微妙です。
評価に関しては下記のようにしました。
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(減点0.8) 要は上記に尽きるのであり、「某怪獣映画の、予告編からわかりようもない無茶苦茶な展開に飛ぶ」ことに対して、現在警戒感が強くなっているこの数週間、「女性のジャズシンガーで、人権思想等を扱った映画なのだろうから、家族で見に行こうかな」と親御さんが考えると凍り付く状況になっており(特に大人の営みのシーン)、それも予告編からは一切扱わないので(そして、誰もが映倫のサイトなんて見ない)、ここはどうなのかなぁ…とは思います。
ただ、「予告編に書いていないことを突然言い始めて苦情が殺到した」某怪獣映画とこの映画は明らかに無関係で、関係のないことで評価点を下げるのも変な話である一方、「大人の営み」のシーンに関しては、何らか配慮が必要だったのでは…とも思え(実際、あそこまで描写しなくても、日本でいえばG指定かPG12指定でも足りる。「大人の営み」はおまけにすぎないため)、そういう点がちょっと惜しいです。
といっても、アメリカ国内で人種差別等が今でも残っていることは周知の事実であり(現在のアメリカで、表立ってデモ活動等がされないのは、コロナ問題によるところが大きい)、そこを扱ったという点においては、極端に「予告編から読みようのないことを突如6割もし始める」という点のみで1.5も2点も引くのかという点はありますので、そこは考慮しています。
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