ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイのレビュー・感想・評価
全68件中、41~60件目を表示
これは昔話ではない。つい最近の戦後の話だ。
これは難しい。この映画は、なんと評価したらいいのだろう。
彼女は幸福を望んでいたか?答えはノーだろう。
彼女は死への階段をのぼりながら、生きるためではなく、死に場所を求めて生きていた。
そして、歌を歌い続けた。
彼女の人生は、誰かを幸福にしたのだろうか?
幸福の意味を知らない人間が、人を幸福にすることができるのだろうか。
彼女の歌は、彼女の死後も残った。
それは、とても悲しい歌だ。
心の叫びの歌だ。
体当たり演技
ホリデイ役のアンドラ・デイの体当たり演技がすごくて、彼女を見るためだけに観に行っても損はないです。
ただ、タイトルからの印象や、予告編のイメージとは違ってしまっていました。
観る前は、黒人差別を当たり前とする当時の白人の醜さを全面に告発するような、サスペンス映画に思ったものの。
麻薬犯罪化の歴史を描いたヨハン・ハリ著のノンフィクション書籍「Chasing the Scream: The First & Last Days of the War on Drugs」を下敷きに作った作品と聞いてましたが、ビリーを麻薬漬けから救おうと逮捕に関わったジミー・フレッチャー捜査官との恋愛を抜き出して使ったのか、結果的には麻薬被害者としてのビリー・ホリデイの姿と、ジミーのビリーへの「報われぬ愛」がテーマになってしまったような。
もっと連邦麻薬局長官のハリー・アンスリンガーとの対決を軸に描いた方が、タイトルには沿ってたんじゃないかと。
エンドロール後半に、アンドラ・デイが歌う映像がくっついているので、最後まで席を立たない方がいいです。
未だリンチを禁ずる法案が可決されない国
ビリー・ホリデイの負の伝記
重厚な伝記ドラマ
ビリー・ホリディという一人の女性の生き様を力強い歌声と共に描いた本作。「奇妙な果実」というセンセーショナルな歌詞が綴られた楽曲をきっかけに、薬物中毒者であることも相まって追い詰められていく様が容赦なく映し出されていました。
エンタメ要素を排除しかなりリアルに作られているのと、そもそも実話なこともあり、特別ビリー・ホリディに思い入れがない私からすると正直面白いとは思えず。知識不足が故の理解ができない箇所や価値観もかなりありました。
でも歌唱シーンはどれも圧巻でしたし、しゃがれた声で歌い上げ、尊厳を保ちステージに立ち続ける姿は胸を打つものがあります。
ルールに従って良い子で生きることを選ばなかったビリー・ホリディという一人の女性のことを、本作を通して少し知ることができて良かったです。
可もなく不可もなし、個人的には何も響かない
恥ずかしながらビリー・ホリデイの存在については名前は聞いたことあるものの、今作で初めて知った。ジャズ界では有名な方なのかしら?
申し訳ないですが、私としては見終わった後何も残らない作品だった。
主演のアンドラ・デイ、もちろん歌は上手いんだけど、心に響くような、何か訴えかけるようなメッセージ性も少なく…。
それにしても、天賦の才能を持つ歌手の多くがクスリとセックスがお約束のようにセットで描かれて、ドラッグで身を滅ぼしている。ビリーもクスリ漬け、そして男を取っ替え引っ替えだらしない。言っちゃ悪いが自業自得よ。
ただ、不遇な幼少期を過ごしたことには同情する。「奇妙な果実」の歌詞にも衝撃を受けた。
ただ、それだけ。
正直、しんどい
正直、しんどい。
生い立ちやら、過去やら、選ぶ男のしょうもなさやら、セックスの傾向やら、依存症やら、幸せを感じたときに自らそれをぶち壊すことしか出来ないところやら、すべてがしんどい。
今もリンチが止んでいないことも、リンチを罰する法律がいまだに成立していないことも、被害者である黒人がいまやアジア系をリンチしていることも、すべてがしんどい…
それにしてもこんなに愛されてたのか、ビリー・ホリデイは当時から。
それにしてもこんなに孤独だったのか、大スターなのに…
僕らは「『奇妙な果実』を歌ってよ!ビリー!」という客のように、なにも分かっておらず、なにもわかり得ないのではないか…
そんなことを思い知らされる映画、それがこの映画だよ。
何故こんなにも執拗にビリーが狙われたのか、分からないうちはこの映画を分かったとは云えないんじゃないかな、きっと…
美空ひばりを想起した
タイトルで損をしている。ビリー・ホリデイが合衆国政府と法廷闘争をした話かと思ってしまった。ビリー・ホリデイをよく知っているアメリカ人ならそんな誤解はしないのかもしれないが、かなり昔に亡くなったアメリカのジャズ歌手は、当方には馴染みがなかった。
ジャズは飲食店のBGMでインストゥルメンタルをよく耳にする。耳当たりがよくて食事の邪魔にならない。勝手な印象ではあるが、飲食店のBGMはジャズが一番多いと思う。
当方は個人的にジャズをときどき聞く。ビル・エヴァンスやオスカー・ピーターソンといったピアニストが好きで、特にピーターソンが歌う「It's Only a Paper Moon」や、サッチモ(ルイ・アームストロング)が歌う「When the Saint on Marching In」や「What a Wonderful World」がとても好きだ。誰でも聞いたことがある歌である。
本作品でビリー・ホリデイが歌う「All of Me」も聞いたことがあったが、歌手がビリー・ホリデイだとは知らなかった。シャンソンの「Hymne A L'Amour 」(「愛の賛歌」)を長いこと越路吹雪の歌だと思っていたようなものだ。
さて本作品はビリーホリデイの凄絶な半生を描いている。だからタイトルは「ビリー・ホリデイ」だけでよかった。合衆国の弾圧よりも、麻薬の誘惑との戦いの方が多かった気がする。のべつ幕なしに煙草を吸い、男と麻薬に溺れる。麻薬が駄目なら代わりに酒をがぶ飲みし続ける人生だ。人前に立ち続けるのはそれほど魂を削ることなのだろう。
当方は、1989年に亡くなった美空ひばりを想起せずにはいられなかった。万人受けする歌ばかりを歌っていたような印象の歌手だが、実はそうでもない。ビリー・ホリデイが「奇妙な果実」を歌ったように、美空ひばりは「一本の鉛筆」という骨のある歌を歌っている。ジャズも歌っていたが、これが実に上手かった。
国民的な歌姫、早すぎる死、そして必ずしも幸せだったとは言えない壮絶な人生と、共通点はいくつかある。もちろん黒人差別という大きな足枷をかけられていたビリー・ホリデイの苦悩と比較すれば、美空ひばりはまだ幸せだったのかもしれない。
しかしその歌は、あまり歌い継がれているとは思えない。「一本の鉛筆」を歌っている歌手は、当方が知る限り、シャンソンのクミコただひとりである。世界的に有名な「奇妙な果実」とはあまりにもかけ離れている。美空ひばりも魂を削りながら歌ったことでは、ビリー・ホリデイに負けていないはずだ。「一本の鉛筆」がメジャーな歌になることを願ってやまない。
社会派ドラマvs.伝記映画
ジャズシンガー、ビリー・ホリデイとFBIとの長年に渡る確執がテーマのドラマですが、タイトルのような社会派ドラマとしてはちょっと物足らない内容でした。禁止歌『奇妙な果実』に対するネガティブな社会の反応が描かれていないので、FBIが彼女を執拗に狙う理由がピンときません。成功した黒人への嫉妬と言うのが当たらずとも遠からずな感じですが、長官の心境もよく分からず、なんか中途半端な感じです。結果として、いつものショウビズ界の内幕もの中心になってしまっているのですが、逆にこの部分が迫力たっぷりで、ビリー・ホリデイの内面や心境が非常に丁寧に描かれていて壮絶で破滅的な半生はとても見応えがあります。役者では、主役のアンドラ・デイが渾身の演技で、強烈な印象が残ります。
全編ビリー(アンドラ・デイ)のJAZZポーカル堪能できます
ビリーホリディのJAZZボーカルとお話しが時代と共に進んでいく音楽映画であり、伝記映画です。ビリーのJAZZは耳にしていましたし好きでいろいろなJAZZアーティストを聴いてもいましたが、こんな歴史背景を背負ったアーティストとは知りませんでした。自由の国アメリカの闇の歴史の一画(インディアン、人種問題の公民権運動、戦争、JAZZやロツクミュージシャンなどの麻薬もNewsや映画にとりあげられた時代。アンドラ・デイの圧巻の歌声は演技と共に見ごたえがあります。ビリーはアメリカ国の麻薬捜査局(FBI)と戦い、多大な悲惨な過去から強く生きた女性ということが分かる映画でした。映画の最後に→【リンチ法案今だに可決していない】と・・何故?
★Digital7.1ch
★重低音─
★分離度◎
★サラウンド◎残響音やステージ臨場音など
★サイド、後(活躍度)◎
★移動音○
本編ドラマとしてだけでなく、音も良く作られていているので、ビリー・ホリデイ(アンドラ・デイ)のステージ音楽などが全編に散りばめられていますし、エンドロール途中からの歌い上げにも、アンドラが画面いっぱいに出演し熱唱する作品になっているので、音楽ステージを観賞するという目的でも良い作品に仕上がっていると思います。
素晴らしいエンドロールだった。
公民権運動の先駆者なのだから、偉人だと思う。しかし、彼女は薬物の関係でタブー視されている。また、白人の興行に積極的に応じていたので、一部の黒人からも疎まれていたと思われる(彼女だけでなく、薬物使用の理由でチャーリパーカーなとも)。
この映画は伝記映画と言うよりも、アメリカの暗部をえぐった映画だと思う。そして、問題は今でも続いていると、締めくくった事に最大の賛辞をあげたい。
気になる場面があったので、それは、黒人どおしで、侮蔑の言葉を使っているか?と言う事が気になった。もし、使っていれば、意味があるし、あの綺麗なエンドロールにどんな影響を与えるか?が気になった。しかし、良かった。ちゃんと、ニグロと言っていた。
ヒヤリングも駄目だ僕は。
いやいや、やっばり、差別用語は使っている。
困惑
解決
最後の最後に時間が飛ぶ。アンドラ・デイに回帰する。言葉の使われ方がそれで、納得出来る。
だから、
2月22日もう一度見た。やっばり、素晴らしいエンドロールだ。
エンターテインメントとしても、最高だし、我が人生に於いても最高の鑑賞体験になったと思っている。
そして、あのエンドロール。素晴らしいエンドロール。明るくなるのが怖くなるほど涙が流れた。マル・ウォルドロンの『レフト・アローン』を思い出した。
追伸 美空ひばりに似てないですか?美空ひばりも凄い歌手だと思う。彼女のJAZZボーカルは驚天動地ですよ。あまり、しられていないけど。
追伸追伸 ビリー・ホリデイと情婦マノン似てるなと思った。
ビリー・ホリデイってこんな人だったのか。
もちろん、名前は知ってたけど、ちゃんと曲は聞いたことがなかった。
タイトルから、黒人の彼女と差別意識の強い政府との裁判がメインと思って着席。
奇妙な果実という曲の社会的影響力を封じ込めたい政府が、麻薬捜査官を潜入させ彼女を逮捕。有罪確定で、一年と一日刑務所行きだ。
ん?予想となんか違う展開。
さすがアメリカと感じたのが、出所した彼女にすぐ歌う仕事がきて、チケットも完売した事。日本の社会じゃ絶対に有り得ない!こういう所、見習いたいぞ。
それにしてもビリー、自我が強すぎというか人の意見を聞かないというか、なかなか面倒な人だわ。かと言って単独では生きられない、仲間達が守ってあげてる感じ。ずっと依存してるのが、ドラッグ、男、タバコ。結構、モヤモヤさせてもらいました。ずっとドラッグがやめられない彼女、そりゃ何度も捕まるわ。
たくさんの曲が流れて、彼女の歌声が心地よくて、チョコチョコ落ちちゃいましたが、退屈はしてませんでした。
人気はあったのに大変な人生だったんですね。
アンドラ・デイの演技と歌声を堪能
映画としてのクオリティーは相当高い
1人vs USAはキツイ!
今日もなんばパークス。USA vsって裁判と思いきや、
黒人シンガーのビリーが、奇妙な果実を歌うことが、黒人運動を扇動することで、潜入捜査も入れて追求するんだ。ビリーホリデイは、44歳で亡くなったんだ。レフトアローンって曲もあるね。角川映画 キャバレーでもありました。ビリーホリデイ役のアンドラディが素晴らしい。彼女を追求したFBIの長官は70まで働き、ケネディ大統領から表彰されるのは、どうなんやろな!
黒人リンチの法案は2020年にだされまだ通過していない。白人主義の国家 USAだ!
アンドラ・デイの演技は素晴らしかった。
【”「Strange Fruit」は人権の歌なの!”とビリーは言った。生まれ、ヘロインの誘惑、男運の悪さ、執拗な麻薬捜査局や米国政府に悩まされながらも歌い続けた不世出の歌姫の生き様を描いた作品。】
ー 「Strange Fruit」(奇妙な果実)は、陰鬱な歌詞とメロディで構成された歌である。
だが、この歌は長年白人から、謂れなき差別、時にはリンチ殺人まで行われている現代アメリカ人の黒人にとっては、哀しみと怒りの歌であり、白人にとっては忌むべき歌である。
本作では、1940年代後半から「Strange Fruit」(奇妙な果実)を米国政府の様々な妨害(勿論、彼女にも、重い責任はある。)を受けながらも歌い続けたビリー・ホリデイの、様々な苦しみ、悩みに苛まれつつも、歌い続ける姿を描き出している。-
◆感想
・ビリー・ホリデイの愛称だった、”レディ・デイ”から芸名を付けたアンドラ・デイの渾身の演技が見所である。
少し前にビリー・ホリデイのドキュメンタリー映画「BILLIE ビリー」を鑑賞していたので、アンドラ・デイと、ビリー・ホリデイの容姿は全く似ていないな、と思ったがそんなことはどうでも良く、劇中で披露されるアンドラ・デイの歌に、引き込まれる。
・今作は、脚本がやや粗い為、ビリー・ホリデイの哀しくも、短すぎる生涯が多少、記憶にないと理解しずらい部分が有るかもしれないが、アンドラ・デイの渾身の演技と歌が全て吹き飛ばしてくれる作品である。
・ビリー・ホリデイが「Strange Fruit」(奇妙な果実)をフルで歌うシーンは、フラッシュバックの様に黒人差別とリンチのシーンが錯綜し、彼女が背負った重さが漂って来る。
<僅か、44歳で早逝したビリー・ホリデイ。
あのラストのシーンは、彼女も又、「Strange Fruit」(奇妙な果実)になってしまったのか・・、と思ってしまった鑑賞後の味わいが苦き作品。
現代アメリカでも横行する、有色人種への謂れなき差別が消えない限り、何時までも「Strange Fruit」(奇妙な果実)は、どこかで、誰かが歌い、聴くのであろうなあと思った作品でもある。>
全68件中、41~60件目を表示