「エンターテイメントを期待して観に行くと、何かが大きく物足りないと感じました。」グリーンランド 地球最後の2日間 野球十兵衛さんの映画レビュー(感想・評価)
エンターテイメントを期待して観に行くと、何かが大きく物足りないと感じました。
ディザスタームービーは大好きなジャンルなので期待して観に行きました。
ですが何かが大きく物足りないと感じました。
それが何かを辿っていけば、このジャンルにつきものの、どうしようもない絶望感とそれに立ち向かっていく悲壮感の描写かな?と思いました。
今作は、科学者でもなければ軍人でもない、どこにでもいる一般市民の家族が主人公という切り口が斬新だったのが裏目に出たのかな…と感じてしまいました。主人公のみならず人類は降り注ぐ隕石に対してただ傍観するのみなんだもの。一切立ち向かわないんだもの。
かといってその厄災に対しての絶望感もあまりなさそうなんだもの。
助かりそうな選択肢を終始、匂わせているのがダメだったのかな?
しかも一般市民とはいえ、何故か?(ここの説明全く無し)「“選ばれた民”であるが故にどのみち助かる運命にあるんでしょ?」が絶望感を削いでしまったことは否めません。
テーマの“家族愛”に重点を置きすぎてしまったのがキャッチコピーの「~地球最後の二日間~世界崩壊まで残り48時間」のディザスター描写を割いてしまったのかな?
またせっかくの設定の割には徹底した破壊描写も、もうひとつだったような気もします。
主人公一家が右往左往する様の描写の連続が正直うんざりとさえ感じてしまいました。(私が家族愛の薄い人なのかなぁ…)
そして登場人物が「マジクソ夫婦」を除けば善人ばかりなのも、緊迫感に欠けたような気もします。
基本的に人間の性悪な部分を徹底的に描いて、その対比として性善な部分を例外的に美しく描く程度にしていてもよかったのかも。
そして何よりも楽観的すぎるラストが興醒めでした。
せっかく走馬灯の伏線を張りながら、呆気なく助かってしまったラストは大いに不満の残るところでした。
主人公がそれこそ走馬灯を脳裏に思い描き、いよいよ終末カウントダウンを耳にしつつ暗転していくカットで締めくくる、そのまんまのバッドエンドの方が良かったように思いました。
私はてっきりあのカットで終るものかと思っていました。
私が暖かい人の情けも、胸を打つ熱い涙も知らないで育ったから、こういったレビューになったのかなぁ。(そんなことない!生前のお母さん!ごめんなさい!)