「俺は乙女だった…? ここまでやるならEDはビリー・アイリッシュじゃなくてピクシーズにしろっつーの。」真夜中乙女戦争 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
俺は乙女だった…? ここまでやるならEDはビリー・アイリッシュじゃなくてピクシーズにしろっつーの。
人生に絶望する大学生の「私」が、カリスマ的な魅力を持つ謎の男「黒服」に出会ったことにより、「真夜中乙女戦争」と名付けられたテロ計画へと足を踏み入れてゆく、というクライム・サスペンス。
「私」が憧れる女性、「先輩」を演じるのは『オオカミ少女と黒王子』『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の池田エライザ。
謎の男「黒服」を演じるのは『横道世之介』『ピースオブケイク』の柄本佑。
ー真夜中を愛する者は乙女である。真夜中を憎む者もまた乙女である。乙女は女だけではない。男だって乙女である。愛する者は乙女だ。愛される者、愛されない者も。愛せない者も乙女であろうー
…いやっ、カッコいいこと言ってる風だけど、これって全人類が乙女ってことやないかーいっ💦
という感じで、冒頭からずっこけさせてくれる抱腹絶倒の傑作コメディ。
もうこれただの『ファイト・クラブ』の劣化コピーやん。こんなもんで金を取るなよ。
全体的にクッソ馬鹿馬鹿しい映画。
「かくれんぼ同好会」の「かくれんぼ」って、秘密結社の比喩なのかと思いきや本当にかくれんぼをやるサークルだった…。そんな大学生おるんか!?
そして、なんか突然池田エライザのPVが始まる。
「黒服」の仲間達全員ではないちもんめやってたり、「黒服」の悪戯行為がマジでしょうもなさすぎたり、組織のトレードマークが猫ちゃんだったり…。
本当にアホくさいんだけど、役者陣がクソ真面目に演じ過ぎており、ギャグなんだかシリアスなんだか、なんかよくわからないものになっている。
唯一本作を正しく理解しているのは柄本佑。
ー好きなのか…?茎わかめ…。ー
この一言の破壊力は凄まじい!異常にシリアスな顔が最高に笑いを誘う。絶対にあの顔は完全に笑わせにきてるやん🤣
その後の全力ダッシュ逃避行といい、完全にストーカーなアプローチといい、「黒服」が面白過ぎる!
彼の出ている場面は全て最高ですね。
流石名優の柄本佑。本作の本質がギャグであることを理解した、最高にコミカルな演技でした。
「私」と「先輩」のポエム合戦とか全部カットして、「黒服」の日常を描き続けてくれていたら本作の評価は爆上がりしていたと思う。
「黒服」の見た目や言動も相まって、本作はほとんどジェラードンのコント。
笑えるっちゃ笑えるんだけども、別に映画にコントを求めているわけじゃないし…。
誰がどう見ても『ファイト・クラブ』の丸パクリなんだけど、本作の問題は20年以上前の作品である『ファイト・クラブ』に優っているところが一つも無いところ。
これなら『ファイト・クラブ』をレンタルして観賞した方が、経済的にも内容的にもお得である。
最後の東京破壊計画。
東京を破壊しても社会のシステムを破壊することは出来んだろ、という当たり前なツッコミは置いておくとして、あまりにも半端ない火薬の量に驚く。
あれだけの破壊を引き起こすのにどれだけの火薬が必要なのか、柳田理科雄先生に計算して欲しい。
もう開き直って、エンディング曲を「Where Is My Mind?」にすれば良かったのにね。