劇場公開日 2022年5月27日

「テレビサイズの仕上がりが気になるも、彼の魂に心が震える」20歳のソウル たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5テレビサイズの仕上がりが気になるも、彼の魂に心が震える

2022年6月10日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

単純

この手の映画って分かっていても、生きた彼のカッコよさに触れれば、涙しない訳がない…。少々長く感じる部分もあったが、魂を焦がすような気持ちにブルブル震えた、、

映画館に行くと必ず挟まれる予告。その時点でウルウルだったので、覚悟はしていた。畳み掛けるような予告編に対し、中身は細分化されていて、時系列をなぞっていく。題名からして分かっているが故に、序盤で描かれた仲間の心理はちょっと長かった。テンポが早く感情が拾いにくかったので、なおさら。彼の優しさを表すところではあったものの、見せている情報が多くて惜しい。

しかし、彼に転機を迎えるところに入ってくると、グッと温度が変わってくる。高校生パートがいい感じに効き、タイトルが時限となる。そこが凄く苦しく、心をゆする。「市船Soul」の高揚感と生き方を全うするために描かれる、周りの人との関係が儚くも優しい。師と仰ぐ先生の言葉もズシッと響く。ただ、こうして振り返ってみると「良くある」感涙モノになってしまったのかなと思う。もう少し過程も見れたら良かった。

主演の神尾楓珠さんは、言わずとしれた表現者。凄く上手だし繊細。雲の上と仰ぐ先生を演じた佐藤浩市さんも似合うから素晴らしいが、ピントをずらして尺を伸ばすのも勿体なく、もっと掘ってほしかった。また、福本莉子さんが大人びていて素敵なのだが、彼女が「いるだけ」の関係性もなんだか。過程をもっと描いてくれたら厚みを感じられたと思う。

実話ベースだからといって、関係性を明示してくれないと難しい。青春の眩しさは評価できるものの、もう少しいろいろ彼の人となりを見たかった。魂は生き続けているのだから。

たいよーさん。