「考えることをしないで生きてきた男が、突然考えなければならなくなったら…やっぱり考えられない。」そして僕は途方に暮れる kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
考えることをしないで生きてきた男が、突然考えなければならなくなったら…やっぱり考えられない。
三浦大輔作・演出、藤ヶ谷太輔主演の舞台劇の映画化だそうな。
三浦大輔監督は残念ながら今まで自分にはハマらなかった。
イケメン男優を壊して見せる…みたいなところに感心してはいたが、映画自体はどう評価して良いのやら、途方に暮れるばかりだった。
本作では、主演の藤ヶ谷太輔が鼻水を垂らして泣くのだが、結局それもカッコよかったりする。
逃げて、逃げて、逃げまくってきた甲斐性のない主人公。
同棲している恋人から浮気を追及されてアパートを逃げ出すと、親友、先輩、後輩、姉、母と他人を頼っては、またそこで不甲斐なさを露呈して逃げ出す。
そして遂に、逃げ回って生きる達人“父親”と再会する。
父親役の豊川悦司のダメ男ぶりが秀逸。
自ら「牢屋みたいだ」という安アパートの一室で、「ここが一番落ち着く」と言ってのける余裕綽々ぶり。
終盤、藤ヶ谷太輔は髭を生やしてはいるが綺麗に切り揃えていて無精髭には見えない。一方、豊川悦司の髭と長髪は、無精以外の何物でもない印象だ。
劇場出入口の真ん前に貼られていた『仕掛人・藤枝梅安』のポスターの写真とは大違いなのだ。
元々、豊川悦司はこういう役が得意なのだが。
藤ヶ谷太輔は、何度も何度も振り返る。
人は、後ろめたさを感じたとき、つい振り返ってしまうものだ。
大晦日にバラバラだった家族が集まって大団円かと思いきや、物語はまだ続き、どんでん返しが待っていた。
この展開は想像できたのだが、途中でそうはならなかったと思わせるエピソードがあって、どんでん返される。
恋人から別れ話をされたとき、主人公は涙ながらに一つだけ彼女を問い詰める。これには「どの口が言うか」と思うが、つい数日前にダメな自分を親友は見放さないと知ったばかりなのだから、いったい何を信じればよいのやら…という思いだったろう。
そして、主人公が最後にまた振り返り、それまでとは違った表情を見せる。
吹っ切れたように見える彼の表情だが、前に一歩踏み出す晴れ晴れとしたものなどではないと思う。
彼は途方に暮れて、なす術がなく、どうして良いか考えられず、またその場しのぎの人生を歩むに違いない。
彼は成長などしていないのだ。
そして、誰か世話をしてくれる人を渡り歩きながら生き永らえるだろう。
なぜなら、彼のようなイケメンを世の女性たちは放っておかないから。
色男金と力はなかりけり
(ひがみ半分)
他のキャストも皆上手かった。
恋人:前田敦子
親友:中尾明慶
先輩:毎熊克哉
後輩:野村周平
姉:香里奈
母:原田美枝子
今晩は。
今作の豊悦は、凄かったですね。
男としては、あのようには決してなりたくはありませんが、物凄い吸引力を感じた作品でした。
”色男、金と力はありけり、はべりいまそがり・・。”なNOBUでした。
イタタタ・・。石を投げないで下さい!
おバカコメントですので、勿論返信は不要です。
(でも、年下の女性には、モテるんだもん!ホント、スイマセン・・。)