劇場公開日 2023年1月13日

「Mr.クズ男の憐れ逃亡珍道中...  周囲の本気に向き合えないダメ青年が逃げ続けた先で自分のダメさに打ちのめされるセンチメンタルなダメ!ダメ!ダメ!映画」そして僕は途方に暮れる O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0Mr.クズ男の憐れ逃亡珍道中...  周囲の本気に向き合えないダメ青年が逃げ続けた先で自分のダメさに打ちのめされるセンチメンタルなダメ!ダメ!ダメ!映画

2023年1月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 2018年に上演された同名タイトルの舞台を原作として、三浦大輔監督、主演のKis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔さんがそれぞれ舞台版から続投した映画化作品。
 仕事もプライベートもいい加減で意図せず周囲の人たちを怒らせてしまうダメ青年が、堪らず逃げ出して逃げに逃げた末に近しい人たちの温情に気付いて更生・・・・・・すれば良かったんですが自分のダメっぷりにむせび泣くにとどまるお話です。
 これがもし、きちんと更生して成長する筋立てなら解り易くて共感も得られるヒューマンドラマになったのでしょうが、本作は主人公のダメっぷりにどっぷりと浸かってその余情と情感を堪能するいわば私小説あるいは純文学のようなテイストがその持ち味です。そのあたり、ワンテーマにとことんまで耽溺する有り様はまさに舞台劇原作、というところかもしれません。
 いうなればラストでようやく主人公は自分が傷つく準備をし、他人を傷つけることに無自覚であることを止める意志を示したわけでしょう。
 己の矮小さに向き合った時点でもうそこに余情は生まれないわけで、それを思うとやはり純文学的に楽しむのが作法なのかな、と個人的には感じました。
 エンターテイメントとしてはそのあまりの情緒へのフォーカスぶりに消化不良感を禁じ得ませんが、他方でアイドル映画としてはアリかとも思いました。

O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)