鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎のレビュー・感想・評価
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妖怪よりも人間のほうが怖い作品
戦争帰りの水木が
血液製剤の秘密を得るために
懇意にしている社長を跡継ぎにしようとして
龍賀一族の醜い跡継ぎ争いに参加をした
そして、龍賀一族が次々惨殺される
殺され方がグロいというよりも
わざとグロく演出している感じがする
目玉がつぶれたりする
妻を探している鬼太郎の父と出会い
村の秘密を暴こうとする
アクションヒーロー的な作品ではなく
全体的にサスペンスっぽいが
妖怪が怖いというよりも
村の人間が狂っているように感じることが恐怖
人間の醜い欲望とか村での因習などで
妖怪を利用していて
妖怪よりも人間のほうが狂っているように感じる
時貞が自分の子供たちは頼りないので
国家のために妖怪の力をつかって
孫の体を乗っ取ったのとか
近親相姦をしていたとか
グロい描写以外でも全体的に子供向けじゃないので
全体的に大人向けの作品に見える
結局、因果応報なのか
村の住人は全員亡くなって村は壊滅してしまう感じだった
ねずみ男はコミカルで作風が
作品が違う感じに見える
「大儀」や「国家」を掲げる
お偉いさんは嘘くさいと水木は
戦争で思い知らされたことは
原作者の水木しげる先生の体験が影響しているのかなと思った
ノイズの少ない良質な、胸のすききらない作品
「胸のすく思い」という言葉は使ってきたが、「胸のすききらない思い」は人生で初めて使った気がする。
原作はおろか過去のアニメ作品も子供の頃見たような気がする程度。登場キャラクターをふんわり知っているのだから人生のどこかで触れたことがあるだろう、くらいの知識の乏しさ。
鑑賞のきっかけは、因習村だという感想を見かけたため。
きちんとした因習村は不気味な題材としてとても好きだが、雑な因習村はコントだと思っている。
作品冒頭。新聞社のデスクが並ぶシーンで、部屋が白んでいた。
この描写に、現代にそれっぽいものを描く昭和レトロ物語ではなく、昭和の物語なんだ、とハッとした。
昭和という時代は、男女共に煙草をどこでも吸うのが当たり前で、人が集まる部屋は煙で白む。
私たちが生きていてほぼ見ることの無いこのような光景は、しかし空想のファンタジーでは無い。描写に正解はある。
こういった丁寧な描写は、作品に没入するにあたって作品の外側を思い出すようなノイズが、この作品に無かったことの証のように感じる。
物語舞台は、因習村だった。
因習村作品に求められているもの、外的要素はもちろん、作品から受ける印象、陰鬱であったり不気味さや胸糞の悪さ等、そういった要素がきっちり盛り込まれていた。
こういったものは、ホラーのような耐性が有る無しで分類されると思う。
そういった意味では、子供向けでは無いと思う。そもそもPGもあるが、「人間の醜さ」みたいなものを含んだ作品を子供に積極的に見せたい人は少ないだろう。
そういった要素に抵抗の無い人であれば、そういった作品に求めているものがちゃんと入っている作品だった。
ホラーと同じでそういった物に特化した人はもっとおどろおどろしいものを求めてしまうのかもしれないが、この作品はちゃんとそれはただの舞台装置であり作品が描きたいメインテーマではない、というところもしっかりしていた。
物語としては意図的に特定の登場人物1人に感情移入して見て欲しい、という作りはしていなかったように思う。
たまたま誰かと感性が近くてそのキャラクターに移入してしまう、というパターンはあるかもしれないが、それほど移入はしないんじゃないか。と思ったが、エンディングで涙している人の気配を劇場内に感じて驚いた。
あるいは、登場人物に前持った思い入れがあり、自分の中で積極的に移入する対象があるのかもしれない。事前に登場人物を自分の中にインストールしていたら、物語はひどく重く心にくるだろう。
まず終わり方としては、特定の登場人物に感情移入を積極的に行っていなくても、まるで晴れない気持ちにさせられる。BADエンドでは決してないが、ハッピーエンドと評することは絶対に無いだろう。
そういった終わり方もまた1つと楽しめる人は、オススメ出来る作品だと思った。
”救われて欲しかった”
ストーリーは全体として後味の悪いものだった。だが、それが良かった。
「龍賀紗夜が時貞のお気に入りであったことがわかった時」「時貞が時弥の魂を追い出し、体を乗っ取るシーン」では特に悲しくなった。
龍賀一族の中で、好感の持てた龍賀紗夜と長田時弥には救われてほしいと願った。しかし、結局報われなかった。
龍賀の業「M」の製造の背景には、日本の敗戦がある。
自国の敗戦について、もっと知らなくてはならないと思った。
邪悪で楽しめたが、ヒロインの結末は雑に感じた!!
鬼太郎のご両親の悲壮感溢れる戦いと、龍賀爺のこの上ない邪悪さを楽しめました。種崎敦美さんのお淑やかな演技が上手く、沙代さんから恋愛関係なくこの人だけは守らなければと思わせるものを感じましたが、退場の仕方が雑すぎて何かガッカリしました。何でもかんでも狂骨にして安く感じました。例えば、「私は水木さんと幸せになるのよ!」と爺に特攻するか、隠れて最後一緒に脱出できたが龍賀は呪いで村から出れない為、水木が気が付いたら居なかった、等で良かったのではと思います。水木は観客視点のキャラだと思いますが、口数が多くあまり魅力を感じませんでしたが、真夏にスーツ・ネクタイ姿を貫き、また物理攻撃が強くて少し笑えました。サバイバルホラーで大人の男性は子供を庇護する役割があると思いますが、沙代さんの事は特に何とも思っていないように感じて物足りないです。水木しげるさんの着想を上手く膨らませたストーリーにしていますが、龍賀兄妹の中には有名声優なのにモブキャラに感じる人物も多く、またゲゲ郎と目玉の親父はキャストが違う事もありキャラの断絶というか別人に感じる為、練り直す余地があると思います。また、個人的には「傷物語」の時のシャフトの絵柄と演出で本作を観てみたいと妄想しました。結論としては、「М」の謎を解き、ゲゲ郎の奥さんを探し、沙代さんを東京に連れて帰る、の3つのミッションをどう達成するのかを考えながら観ていた時は、小説みたいで楽しかったです。沙代さんのようなきれいな言葉遣いでお淑やかな女性は絶滅危惧種だと思います。前半、皆口裕子さんの声がエロかったです。
6期の鬼太郎の誕生秘話?
映画を見終わった感想はこれでした。
ゴジラ、翔んで埼玉、鬼太郎のうちどれを見ようかと悩んだ末に選んだのが鬼太郎です。
翔んで埼玉はそのうちテレビでもやるかもしれないけど、皆さんのレビューを見る感じだとこの作品がテレビ放映されることはもしかしたらないかもしれないと思いまして。
ゴジラも評判は良さそうでしたが、考えてみたら元々あまり興味ありませんでした。
6期鬼太郎の怖いパターンの話のような進み方でした。
もういい大人なので、これを見ておしっこをちびるようなことはないくらい、の怖さと言ったところでしょうか。
ただ他の方も言っているように、子供に見せるにはいささかショッキングなシーンもあります。
怖がりの人が見るなら覚悟はした方がよろしいかと。
鬼太郎のパパは家族思いのイケメンでしたよ。
ただ、6期鬼太郎のオープニングに繋がるパパの最後のシーンはちょっと無理やり感を感じました。
あくまでこれは6期鬼太郎の前日譚、だというならアリかと思います。
エンディングテーマがBUCK-TICKのRONDOだったら泣いてたかも。
妖怪よりも人間の方が怖い
最近のテレビアニメの鬼太郎は『悪の妖怪を倒す正義のヒーロー』になってしまった。
まぁ、その設定自体を否定するつもりはないが、往年のファンのなかには受け入れられなかった人もいたと思う。
今回の作品は登場人物の殆どが金の亡者で『触らぬ神(妖怪)に祟り無し』という禁忌を侵して妖怪を利用し、制御出来なくなって悲惨な末路を辿る。
本来の水木先生のコンセプトを踏襲したシナリオだったと思う。
そうした意味ではこの作品を作ってくれたスタッフの鬼太郎愛を感じるな。
安直なヒーローものを期待して観に行くと「なんじゃこりゃ」になるかもしれないが、
本来の鬼太郎はこんな話が多かった。
戦争で地獄の体験をした水木先生は妖怪よりも人間の方が怖いってことを知っていたんだと思う。
期待して見たらつまらなかったです
鬼太郎のテレビシリーズが好きなのでとても楽しみにしていたのですが、モチーフばかり重くてストーリーは子供向けというか子供騙しの内容でがっかりしました。
また、後の目玉おやじ(ゲゲ郎)がアニメの博識でお人よしな目玉おやじのイメージと結びつかず、私は何を見せられてるんだ?という気持ちにもなりました。墓場鬼太郎のようにアニメシリーズと全く別物として楽しめる内容ならそれもいいのですが、ノリはニチアサなので混乱します。
女の子の設定にしても正直ストーリーに必須とは思えず、無駄に可哀想なことになっていましたし
女性ファンをつけるために男性キャラ2人を仲良くさせるためのダシにされているようで気の毒でした。
創造
鬼太郎シリーズはテレビでやってたものを見ていた程度ですが、今作はPG12指定になってエグさ全開になってると効いたので、これは観に行かなきゃなと思い鑑賞。特典はビジュアルカードでした。
最初は和製ミステリー、中盤からはホラーとグロテスクの応酬、最終的には悪しき文化への絶望と微かな未来への希望が描かれており、今までの鬼太郎とは一線を画す作品に仕上がっており、年齢を重ねた今だからこそぶっ刺さるものになっていました。
裕福な暮らしを求めるため、付き合いのある社長が領主になるかもという情報頼りに哭倉村へとやってきた水木、そこで事件に巻き込まれるが、それには村の文化が関係していて…といった感じのあらすじです。
村で次期領主が殺されたタイミングでやってきた謎の男、名前を名乗らないのでゲゲ郎と呼んでおり、のちの目玉おやじという事が観てる側には分かっていますが、作中の人々はそんなことは知らないのであまり良くない目で見ているのが印象的でした。
最初は互いを信用していない、それどころか互いに人間を信用していなかったゲゲ郎と水木、そんな2人が酒を飲み、タバコを吸い、腹の内を割って話していく内に相棒になっていく過程も推理ものでたる真相に近づく感じがあってとても好みでした。
途中挟まれるアクションシーンが素晴らしくて、ゲゲ郎の身体能力の高さにも目を見張るものがありましたが、一騎当千の如く次々とやってくる敵でさえ全て薙ぎ払い、その場にあるものを全て武器に変えていくスタイルがカッコよかったです。アクションシーンが特別多くない作品だからこそ、このシーンの作画の滑らかさは際立っていました。
展開が一つ進むごとに一族の誰かが殺されるのですが、殺し方が中々にエグくて、PG12指定でもギリギリなんじゃないかってくらいのレベルでした。
時麿は時貞が沙代に体を求めていた事と同じような事をしようとして、妖怪に目玉を貫かれて死にましたし、丙江は時貞と沙代の事を報告しようとしたら、妖怪に連れ去られ、そのまま尖った気に体ごとグサリ、ここでも烏に目玉が食いとられるという刺激的なシーンがありました。
康子は書物をあさっていた沙代を脅したら、首ごと掻っ切られ、そのまま祀られるような状態で死んでいたりと見る人によっては気持ち悪くなるんじゃないかむてレベルにはエグかったです。
図らずしも、鬼太郎や水木たちが助かるはずのシーンでもその惨さは続いていき、部下たちは焼かれ切られのやられ放題、抗った幻治も体を切り刻まれ、乙米は目からパイプで体ごと貫かれ、そのパイプの先端から目玉だけ飛び出て大量出血…もうここら辺は唖然としながら見ていました。
村で時貞がやりたい放題だった事が終盤明かされ、沙代との間に遺伝子を残すために近親相姦をはたらいていたり、時弥の体に魂ごと乗り移って、時弥は地獄の底へ…。妖怪たちの血を「M」という薬品に改良しビジネスとして動かしている裏で、妖怪たちは干からびて息絶えているといった残虐な状態で、それを高らかに笑う時貞はほんまもんの悪でした。
金こそが正義、権力こそが正義と謳う時貞に向かって、お前の人生はつまらないとはっきり言い切って時貞を永遠の痛みに封じ込める事に成功した水木と下下郎の表情は少しだけ明るくなっていました。
少し残念だったのが、最終的に妖怪が巨大化しての決戦になってしまったところです。盛り上がってはいましたし、見応えも十分あったのですが、安易に巨大化しちゃったかーと思ってしまいました。
現世への扉を開いてしまったが最後、閉じ込められていた妖怪たちが村へと飛び出していき、村人を焼き尽くし、考三は克典の乗る車に轢かれ、克典はそのままクラッシュして血まみれに…。外から来たゲゲ郎たちは無事で、悪しき習慣を黙っていた村の人間は1人残らず死ぬという容赦のない描き方でした。
大人子供女男なんて関係なく殺していくので、現代では珍しい平等に殺していくというスタイルは痺れました。
ラストシーン、生まれてきた鬼太郎を抱きしめる水木。怨念を全て受け入れて目玉おやじの姿になったゲゲ郎、彼らが生きる未来を"見てみたくなった"という締め方が姿や感情も相まってジーンとくる終わり方になっていました。
声優陣は全員本職、だからこその喜怒哀楽にダークな世界観が完璧に表現されており、1シーン1シーン毎に感情が突き動かされていました。
ミステリーとホラーの完璧な融合、戦争や人間の愚かさを余す事なく描き、妖怪という存在の脅威をこれでもかと示した傑作でした。
偶然にも戦後の日本が舞台だった「ゴジラ-1.0」と同じく残された者の物語というのもまた良くて、この時代をメインに据えた映画が今後増えていくんだろうなと思いました。当時の事を知らない自分が、こうして作品を通して見識を深められる事が喜ばしい限りです。
鑑賞日 11/21
鑑賞時間 12:00〜13:55
座席 A-1
とてもよかった
横溝正史みたいな雰囲気で鬼太郎ってこんなだっけ? あまりに評判がいいから見た。鬼太郎にはアニメも漫画もあまり親しんでこなかったのだけど、水木しげるさんの戦争体験の自伝本や『河童の三平』『劇画ヒトラー』などは読んだ。またお世話になっている青林工藝舎にも所縁の深い人物だ。
主人公は企業マンの水木で、ラバウルの戦場帰りなのだから水木しげるさんを主役に据えている。ミステリーの構成の物語がとても面白い。昭和30年代の雰囲気と、トンネルを抜けていくとある村に、巨大な湖と島など、舞台が最高でわくわくする。ジムニーで行ってみたい。
娘さんがやけにぐいぐい来るなと思ったら、それなりの事情があって腑に落ちる。しかし、水木は彼女の事情にドン引きで、引かないでやってくれよと思う。ちょっとの付き合いでは人柄は分からないけど、引いてしまうのはかわいそうだ。俺なら同情する。若い時なら無理かもしれない。
クライマックスのバトルが激しく派手で、それまでの不気味な怖さとは真逆な雰囲気のアクションで、しかし映画である以上そうした方が多くのお客さんは興奮して受けるのかもしれないけど、オレには普通のアクション映画みたいで残念だ。
車いすのおじさんをもっと見たい。存在感がすごいのに、ちょっとしか出ない。
横溝正史風
話はそこそこ悍ましいのだけれど、色が明るいというか、作風が明るいというか…。
どうやら目玉親父の若かりし頃を描いているようで、野沢さんが目玉になった親父の声をあててるのが感慨深い。
冒頭、記者の台詞回しが妙に気になる。
語尾を伸ばすような口調で、妙に現代チックだ。同じような台詞回しをするキャラはいなかった。
アレは何か意図でもあったのだろうか。
まぁ、人の所業の悍ましい事ったらなくて…その人を狂わすものが権力と金だった。
ホラーな感じは全然なくて、サスペンス色が強いのかな?ゲゲ郎が金田一耕助に見えたりする。
もっとおどろおどろしい感じでもいいんじゃないかと思うのだけれど…なんかウリが無いようにも思う。
昨今、幅を効かせているコンプライアンスのせいかもしれない。
つまらなくはないのだけれど、面白味も薄いというか…中途半端な印象だった。
未来を照らした改変
とにかくエンドクレジット後の有名なあのシーン、水木が赤ん坊鬼太郎を投げ捨てなかった!
もうここに尽きる!
新たに物語が良い方向に紡がれたと感じ、いたく感動しました。
水木先生没後、絶対に変わらないと誰もが疑わないであろう超有名シーンがまさかまさかの新しい世界線を産むとは…この改変を支持し、この決断をした方々を賞賛したく思います。
話の構成も良く。太平洋戦争〜昭和までを体験する事ができた
ゲゲゲの鬼太郎という事で予告を一切見ずに行きました。
話の構成はしっかりしていて面白かったです。
作品の中で一番惹かれたのは昭和の時代の描写、太平洋戦争の描写でした。
近年ではすっかり戦争を体験した世代が少なくなるなかで第二次世界大戦が美化されたりしっかりと描く事がほとんどなくなったように感じます。
そんな中で当時前線にいた水木しげる先生が描く当時のお話というのはやはり圧倒的なリアリティがあり、安っぽい美化や安っぽい描写とは違う圧倒されるものを感じました。
ゲゲゲの鬼太郎とは一見ほとんど関係無いように聞こえる太平洋戦争の話ですが、恐らく水木しげる先生と重ね合わされた水木というキャラクターの回想と話の構成がしっかりマッチしており、全く違和感無く話が入ってくると共に、作品を通してのメッセージやテーマ性というものをしっかりと感じました。
また、演出なども非常にレベルが高く映像も綺麗でした。
エンタメとしてだけではなく、文化としても非常に評価できる作品だと思います。
昭和の因習ホラーをはじめて見る人のための映画
事前の評判や周囲からの勧めもあって早々に見てきました。
とてもとても面白かったです。
ゲゲゲの鬼太郎あまり知らない人でも(この作品だけで)楽しめる作品だと思います。サスペンスやミステリー要素もありあり、アクションももりもり、妖怪物で悪魔を倒す。
キャラクターのその後や登場人物たちの顛末などあまり幸福とは言い難いのに、映画を見た後の読後感は爽やかでした。昔のドラマの「トリック」に近かったです。
◾️大人向けか否か
私は正直この作品は「子供向け」だと思います。
「近親相姦」や「謎の風習」「人間を材料に薬を作っている」ことなど、テーマは重いのですがそれらについては描写や当事者の感情など掘り下げることがなく、それ以上に「アクション」「謎解き」「ファンタジー」要素が大きいため「鬼太郎を見て育った中学生ぐらいの子供たちが自発的に見にいく」感じなのかなあ?
◾️表現の美しさについて
とにもかくにも、始終絵がとてもきれいでした。背景から人物の動きなど素晴らしいです。
昭和30年と言う舞台、タバコでいっぱいのオフィスや電車。戦争の面影が残る若者たち。病院の売血など、レトロな雰囲気がとても良かったです。
特にタバコの描写で、ポイ捨てが「そうそう!」となりました。
◾️時代描写について
背景などは昭和ではありますが、出てくる登場人物の価値観が令和だなと言う思うこともままありました。
それはやはり女性たちの自立した姿が特にそうだと言えるでしょう。今の世の中と違って、昭和であればインターネットなどはありません。戦後。さらに閉鎖的な環境であればこそ、身分の高い者たちは、選民民族である自負が強くなり、お役目を「幸福」だと教育され、外の世界は野蛮だと考えたとも思います。
にもかかわらず、多くの女性キャラクター達は今の環境が不幸だと嘆いていることです。そういった感覚が現代であるからこそ、エンタメ感が強くなってよかったです。
◾️冒頭の病院について
あれ、売血の病院ですよね。血を売るために殺到している人。無理やり血を抜かされる幽霊族…に、うまくできてる!!と思いました!「あれ、伏線だったのかー!」と思いました!
当時の資料、あまり残ってないんですが、血を売るために殺到している人。無理やり血を抜かされる幽霊族…に、うまくできてる!!と思いました!
◾️全体を通じて
世界に誇る日本のアニメーション。この作品をきっかけにゲゲゲの鬼太郎の他の媒体作品を見てみたいなと思いました。
惜しむらくは、この2人の間妖怪と人間のバディをもっと見てみたかったです。いずれ何かしらの媒体で、親父と水木が言葉を交わすようなものなどが見れたら嬉しいです。
ーーー
2024/01/16
2回目 音声ガイドつき
音声ガイドもいいと聞いていたので見に行ったんですが、本当によかったです…!
気づいてもらいたい箇所を案内するので「えっ、こんなところにこんなことが?」という感覚です。
しかし、このシステムってどうなってるんでしょう?
子供連れでは行かない方が良いかも
大人用に作られたホラー要素のあるゲゲゲの鬼太郎だと感じました。大人が見ればそれなりに面白いけれど、子供が見るにはストーリーが少し複雑かも?と思うのと、怖いシーンやビックリするシーンや赤黒い血がブシューッというシーンもたまにあり、子供は怖がるかも知れないので子供連れでは行かない方が良いかも。
あと、水木という登場人物(水木しげる?)を主人公として、ボロい着物を着て下駄を履いた人間と同じ姿をしているけれど幽霊族である鬼太郎のお父さんが活躍する内容なので、鬼太郎と猫娘は最初と最後にほんの少しだけしか登場しません。鬼太郎と猫娘の活躍を期待して行くとガッカリするかも知れません。
好きな人同士が情熱で作り上げた荒っぽい熱量
まず始めに。
「好き同士がお金を出し合って物を作る」はチープな褒め言葉だし、最近のトレンドですが。
この映画はここに「昭和の泥臭さ」が加わることにより、クラウドファンディングや、好きな原作を制作するためだけに立ち上げたプロダクション。
……みたいな都会的なスマートさとか、優しい愛情がなくなります。
泥臭くて好き過ぎて情熱的……これすなわち、同人誌です。
しかも、有明でガリガリアナログで原稿を描いていた頃の。
好き過ぎて全ての作品や原作を隅から隅まで読み解いてから、その場面が頭の中でグルグル回って夢にまで見る所まで来てやっと書き出すような。
そんな熱量で書かれ、ここに描かれたことを読んだか読まないかで、原作の場面への感じ方が変わってしまう、そんな映画でした。
以降ネタバレ含む部分の感想:
・親父さんも水木氏も、右側を欠損したり隠したりしていてどちらも水木先生から生じた事の示唆なのだろう。
水木という名前、ゲゲというあだ名を二つに割ってできた本質が同じ生き物なのかもしれない。
・その上で実際の先生の暮らしの理想に近いのが親父さんの方、もしも地元が違えばあったかもしれない未来として描かれるのが水木氏の方というという書き分け
・姿や時系列をこのように回収するとは思わなかったし、その理由が、あの頃は子どもだった子ども達へのメッセージでもあって良かった。
・妖怪の呪いを受けたことで妖怪族になった親父さんってことなのだろうと。
怖いゲゲゲ
たしかに見応えありました。
子供向けの妖怪退治ものではなく、大人向けのサスペンスホラーとでも言うのでしょうか「怖い系」「グロい系」の作りでした。
実は子供の頃、あんまりゲゲゲの鬼太郎を見た覚えが無いんですよね。
理由は多分「怖かった」から。
そんな子供心に怖かった鬼太郎が大人になってもやっぱり怖いと感じる作りでした。
というか当の鬼太郎は冒頭とラストにチラリと出てくるだけなんだけど。
そうね、ちょっと批判すると、クライマックスからエンディングまでグダグダにかんじました。
結界穴下の血桜での最終対決のくだり、クドいというか、いまいちしっくりこなかったなぁ。
ゲゲ郎はいつの間にか目玉だけになってたし、ゲゲ奥さんは→いつの間にか墓地に埋められてたって事なのだろうか?
ラストのラスト辺りで描写の端折りを感じてしまいましたね。自分の見逃しだとしたら申し訳ないが。
本来なら子供向けシリーズだろう作品が見事に大人向け作品に仕上がっていました。
ゴジラ-1.0もそうだけど子供の頃に親しんだシリーズが大人になった今でも楽しめるなんて本当にありがたいと思います。
大人も子どもも見る価値ありまくり。
ゲゲゲの鬼太郎懐かしいな、鬼太郎の誕生話についてか、まぁ観てみようと軽い気持ちで鑑賞すると、終わった後とても惹き込まれていた自分がいた。
まずキャラデザが現代風で、自分的にそこも魅力の一つだった。そしてなんと言っても鬼太郎の父(ゲゲ郎)イケメン過ぎやしないか!!言動に行動に、特に戦闘シーン。スルスルと動くダイナミックな映像は映画館だからこそ良いところが存分に伝わってきて良い意味でゾクゾクワクワクさせられた。
いつもそこにあるけど見ようとしなかったもの、妖怪も幽霊も、そこには人間の汚い所も含まれていると思った。
閉鎖的な空間では変化を1番嫌う、なぜなら思い通りにならなくなって困る人がいるから。しかし、小さな石ころ1つでも投げ入れたら一瞬で崩れてしまう危うさも共存している。これはそんなお話だった。
小さい子ども達も思ったより見に来ていて、龍賀家に隠された内情や、時貞が沙代をお気に入りという意味、権力ある人間の欲望、大人は言わずともわかるけど、子どもたちはどうだろうか。しかし、この作品はそれ以上に印象に残る作品の一つだった。意味が分からないながらも、子どもなりに汲み取って、大人になった時ふと手に取って見たくなるような、そんな作品になっているように感じた。大人も子どもも見て損はないし、もし自分が子どもの時に見ていたら特別な作品の一つになっていたとも思う。
最後の水木と鬼太郎のシーンにはグッとくるものがあった。
見てよかったな。とても見応えのある104分だった。
【”令和版「八墓村」鬼太郎バージョン。”欲に駆られた人間の醜さに塗れた一族が第二次世界大戦前から行っていた恐ろしき事が徐々に暴かれて・・。後半の展開は恐ろしくも、とても切なくて心に沁みる作品である。】
ー 鬼太郎と目玉おやじの誕生までを、昭和31年という戦後復興期を舞台に描いたとても良く出来た作品構成に魅入られた作品である。-
◆感想
・昭和31年、血液銀行に勤めていた水木は、強大な影響力を持つ龍賀一族の当主、トキサダが亡くなった事で、啼倉村へ足を運ぶ。
ー 一族勢揃いの中、重々しくトキサダの跡継ぎを顧問弁護士の男が告げるシーンや壁に掛かったトキサダの写真など、正に「八墓村」である。-
・その後、後継ぎに指名されたトキマロは怪死し、更に殺人事件は続く。
ー 金田一耕助は来ない。が、龍賀一族が戦前から開発していたクスリの恐ろしい製造方法や、それにより龍賀一族が日本に多大なる影響を与えていた事が徐々に分かるのである。-
■幽霊族の生き残りのゲゲ郎が、美しき妻を探しに啼倉村へ来ていて、水木と接触しお互いに心を許す辺りから、物語は更に面白くなる。
そして、水木の所に来てしきりに東京に生きたがる美しき娘、サヨの姿。
ー まさか、サヨがなあ・・。-
■水木が経験した、第二次世界大戦末期の愚かしき日本帝国軍将校の描き方は、故水木しげるさんが腕を無くした経験した事そのモノであろう。
・後半は、サヨが抱えていた哀しき真実や、ゲゲ郎の妻や多くの幽霊族が囚われ、血液を採られクスリの原料にされていた事や、それにより咲く真紅の桜の木と共に、最早化け物と化した死んだ筈のトキサダが孫の身体を乗っ取り、金屏風の前でニタニタ笑う姿は、おぞましき限りである。
だが、ゲゲ郎の妻のお腹には赤ちゃんが居る事が分かり・・。
ー この辺りから、周辺の女性達の涕泣が聞こえてくるようになる・・。-
・そんな、トキサダに対しゲゲ郎は対抗するが妖力が通じない。そんな中、ゲゲ郎と共にゲゲ郎の妻を探していた水木は、敢然とトキサダに対し、斧を振り下ろすのである。
ー トキサダの妖力の元になっていたしゃれこうべは破壊され、化け物達は結界を出て行く。そんな中、ゲゲ郎は身を呈してそれを防ごうとするのである。-
<墓に、息絶えたゲゲ郎の妻を埋め村を去ろうとする水木の耳に音が聴こえてくる。それはゲゲ郎の妻が命懸けで胎内で育てて来た赤ちゃんが墓から出て来る音であった。
水木は、その赤ちゃんを一度は殺そうとするが、友人になったゲゲ郎が命を張って自分や村人を助けようとした姿を思い出し、赤ちゃんを連れて村を出るのである。
鬼太郎や、目玉おやじが後年、悪なるモノから善なる人を守る姿勢はここから芽生えたのだなあ、と思いながら劇場を後にした。
今作は、物語構成もその時代背景を含め実に上手く、見応える作品であると思います。>
醜悪な人々とかつて夢見た未来
物語や演出はよくあると言えばそうだがそれでも面白く見せるのは良い作品です。
戦後の復興期の日本で因習が蔓延る村で資産家が死亡から始まる物語
と書けばサスペンスものだが見ていくにつれ大義を掲げているが実際は自分らのためなら何を犠牲にしても大義だからと自分に酔う権力者の醜さと傲慢さ
犠牲や自分の悪徳行為に村の者は誰も罪悪感を持たないむしろ犠牲にななれて光栄だろと他に強いる精神性といったどちらが怪物かわからなくなる登場者達、それ故に人々が襲われるのは悲劇ではなく因果応報でカタルシスを感じました
観たあとは色々考えてしまいました
鑑賞特典は鑑賞後に見ましょう、鑑賞後に見ると目頭が熱くなりした
今だからこそ見るべき映画
原作墓場鬼太郎の要素を入れつつ、戦後の話なのに現代人にも伝わるようなメッセージ性を含んでいて、映画鬼太郎作品としてこれほど完璧な作品を出してくるとは思わず、ある意味で圧倒された。Netflixの悪魔くんにここから繋がっていくと気付いたときは鳥肌が立った。
この映画は、よくある妖怪がめちゃくちゃ出てきて妖怪大戦争!ではなく、ただじっとりと弱火で煮られるような醜悪、憎悪、憎しみ悲しみが混ざり、人間とは?生きるとは?という水木しげる大先生の考え方などの本質的な部分にもしっかりと踏み込んでおり、ストーリーとしては大変満足した。
作画においては中盤アクションシーンも今までの鬼太郎にはない、グネグネとした線で素早さと奇妙さを掛け合わせたような不思議なのに力強いモブサイコのようなアクションシーン描画が素晴らしい、ここを見るだけで2000円の価値があると言っても過言ではない。最後の戦闘はちょっとドラゴンボールっぽい作画だが、それはそれでラストバトルにふさわしい迫力があって良かった。
細かい部分ではゲゲ郎が船を漕いでいるシーンで水木しげるっぽい作画の顔をしているのも良く、作画スタッフがいかに細部にまでこだわって作画していたかがよく分かった。
序盤から流れる夏のじっとりした田舎風景もすごくリアルで、今もしかして夏だったか?と思わせるような音響も素晴らしい。
もっと細かい部分だが、原作墓場鬼太郎で鬼太郎が吸っているタバコがピースだ。それを水木が吸っていることに細かな鬼太郎造形を感じて大変興奮してしまった。
そこから推察すると、6期猫娘があの等身になったのも、墓場鬼太郎のリスペクトからなのか?という推測を立ててしまうのだが、製作陣が狙ってやったかは不明である。
作画は全体的に綺麗で、作画崩壊している箇所がほとんど無いように感じられた。ここは逆に度肝を抜かれた。
人間は愚かだが、最後のエンドロールまで見ると、愚かだが慈しみの心まで忘れてはならないと感じさせてくれる深い作品だった。今まで見たアニメ作品の中でもかなりクオリティが高いと感じた。まさか鬼太郎でここまで感動する日が来るとは…
この感じの作画・雰囲気でもう一つ作品を作って欲しい。
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