鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎のレビュー・感想・評価
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おなじみのキャラクターはネコ娘以外登場しません(鬼太郎は出ます)が、登場するキャラクターの正体や関係性を想像しながら楽しむのが良さそうです。
「ゲゲゲの鬼太郎」という作品、漫画でもTVでも親しん
できた作品です。特にTVアニメは何度も制作されてきま
したがが、最初に放送されたのが1968年ということです。
2023年時点で55周年ですか。 長寿です・_・ネ♪
今作はその鬼太郎誕生の話との事。ふむ。
観ようかどうしようか迷ったのですが、好奇心の勝ち。
観てみることにしました。 ・-・
作品の予備知識はあまり無い状態での鑑賞です。
さあ鑑賞開始。
…。
冒頭、ある山奥の村に足を踏み入れる男。と
その目の前に現れる影二つ。
鬼太郎と猫娘。(ビジュアルは猫ねーさんです♡)
” この先に入ってはいけない ” (←こんな台詞だったかなぁ…)
警告する鬼太郎。
それでも前に進む男。
洞窟… 廃村… この先に何が…?
そして描かれるのは、終戦から10年後の日本。
ある地方の有力者が亡くなる。起きる相続問題。
有力な資産相続候補と目されるのは、有力者の娘婿。
製薬会社の社長を任されている。
その社長と取引のある会社の社員が水木。(しげる?)
水木は戦争の生き残り。戦争で全てを失った。
そんな自分が戦後の世界で成功するために、親交のある
社長をなんとしてもその家の後継ぎにしなければ…
そんな会社の使命と、この村の秘密を探ろうとする自分の
野心とを胸中に秘め、水木は村にやってきた。
水木の周囲で、相続に関わる人物が死亡する事件が起きる。
事故? いや 殺人なのか?
そのタイミングで、容疑者と疑われる「怪しいよそ者」が
捕まる。その場で殺そうとする村の男たち。
たじろぐ水木。
”こいつら正気か?”
「 殺してはダメだ 」
思わず制止する水木。重苦しい空気が流れるが
” 冗談だ ” で済まそうとする村の男たち。 どきどき。
行きがかり上「怪しい男」は水木に預けられる。
名を名乗らない男を水木は「ゲゲ郎」と呼び、この村に
来た目的を聞き出そうとする。
水木にもこの村に来た本来の目的があった。
戦時中密かに開発された「M」と呼ばれる薬。
その薬を飲んだ人間は、何倍も強い兵士に変身するのだ。
その薬の原料がこの村で作られているらしい。
水木はその秘密を手に入れようとしているのだが
ゲゲ郎の目的が行方知れずの奥さんを探すことと知り…
…とまあ
外界から閉ざされたかのようなこの村で起きる事件は
思いも寄らぬ方向へと進んでいくのでありました。
本編鬼太郎の出番はありません @_@; ゲ
鬼太郎が生まれる前のお話です @_@; ゲ
最後に分かるゲゲ郎の正体とは… @_@; ゲゲゲのゲ
このお話、鬼太郎誕生の物語というより
目玉オヤジ誕生の物語と言えるのかもしれません。・_・
この続きの話が作られる事は無い とは思うのですが
ゲゲ郎の過去の話など、もう少し逆上った話もあるのなら
観てみたいかも。
そんな事を思いながら映画館を後にしました。
(SWで、ルークからアナキンの話に逆上るイメージ)
悪くはない余韻に浸っている感じがします。
観て良かった。
◇あれこれ
■ゲゲ郎さん
着流しの和装で登場。
一見した時点で何故か「はぐれ雲」が脳裏に。 ででんでん♪
" あちきと遊ばない? ” などとは言いそうに無いですが。
それにしてもゲゲ郎のネーミング
ネズミ男(?)のセリフに由来していたとは…
…あれ?
この時点で鬼太郎のパパとネズミ男、面識あるのかな?
■ネズミ男(?)
人間界は住みにくい…とどこかに消えて行ったが
結局はまた、人間界であの姿・状態になるワケですね。
とかくあの世もすみにくい。…のでしょうか。
■猫娘
今回も「猫ねーさん」です。美形です。
スタイルもすっかりモデル体型です。それは良いとして
鬼太郎と並んだときの等身バランスが… ・_・; うーん
■途中までの誤解(わーい)
・ゲゲ郎=年老いた鬼太郎
・奥さん=ネコ娘
…かと思って観てました。 壮大な勘違い。・_・;;
きっと、目玉オヤジの声が鬼太郎の声のように聞こえた
気がしたからです。・∀・エヘ
◇最後に
お腹の中の赤子(鬼太郎)の願いに応えるかのように
ユウレイ族の先祖や仲間の魂が結集するくだり。
その思いが結集しチャンチャンコとなる一連の流れは
あぁ なるほど と、頷きながら見届けました。
人でもユウレイでも、絆がつむぐ糸は強いのですね。
リモコン下駄にも何か「成り立ちの話」って、あるのかな。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
良かった。
良かった。
大人の為のアニメ作品と言ったところ。
連続殺人に因習にとらわれている旧家、繰り広げられる愛憎劇とそれだけで十分に見応えがあるが、何より素晴らしいのは戦争によって心に深い傷を負い、故に登り詰めたいという野望を抱く水木と生き別れとなった妻を探すゲゲ朗の友情。
親友と生まれてくる我が子の生きる未来を守る為にゲゲ朗が下した決断に、不覚にも泣きそうになった。
日本のアニメ映画史に残すべき名作だと思うのだけど、グロテスクなシーンや過激なシーンもあるので子供には向かないと正直思う。
良作でしたが期待値あげすぎました
評判がすこぶる良いので見てみました。そんなに思い入れはなかったのですが、なんか鬼太郎に愛着を覚えてしまいました。不遇な出生、親父の生き方、ラストも胸熱でした。ちょっと期待値上げすぎて、久々に墓場鬼太郎も見て行きました。少し話が上手く行きすぎで、要素が多すぎなのが個人的に残念でした。絵も6期ではなく墓場鬼太郎風だとよかったなあ。それと、最後の爺さんとの戦い、顔を爺さんにしなくて声だけでもよかったんじゃ。コミカルになって残念。
にしてもよく出来ていて、ちゃんとしたスタッフ、キャストなら実写でもイケるように思いました。三池崇史とかアイドル系とかじゃダメだと思いますが。
期待度○鑑賞後の満足度◎ 一番恐い妖怪(お化け)はやはり人間(の欲望)。水木しげるの戦争体験が鬼太郎の原点にあるのがよくわかる。大変面白かった。ただ話に少し破綻があるので星半分だけ減点してます。
①“ゲゲゲの謎”もそうだけど、チャンチャンコが何故鬼太郎の強い武器なのか謎が解けました。
②まさか鬼太郎の誕生に「犬神家の一族」が噛んでいたとは…(って噛んでませんて)
③鬼太郎のTVアニメ第一期が始まった時はまだ小学校2~3年で怖がりだったので恐る恐る観ていた記憶があります。ただ“お化けにゃ学校も…試験も何にもない…”というフレーズには心を惹かれて妖怪(正確にはお化けですが)になりたいなぁ、と思った懐かしい記憶もあります。
④目玉のオヤジはその甲高い声(キタローッって感じ)と茶碗のお湯に使っている姿が印象的なのでチョッとトッポい(ねずみ男とは違う意味で)イメージがあったので、本作のゲゲ朗のキャラにはやや違和感があったのだが、ラストのラスト、水木しげるのオリジナルの画を出してきて母親の墓から出てきた鬼太郎を“水木”が抱き抱えるところで、やはり「墓場の鬼太郎」だわ、と感慨深いものがあった。
⑤ところで、先に「犬神家の一族」に触れましたが、ミステリー的に誰が犯人かは最初の頃から大体察しがついてたら、やっぱりその通りでした。
子供は観れないね。
横溝正史の世界、犬神家と八つ墓村あたりがかなり強く入ってます。
ただし、殺人トリックは妖怪の仕業なので、犯人が誰なのか、がミステリーとしては肝になります。
そして、ここでのラスボス、トキサダは稀代の悪党です。
人殺しはもちろん、幽霊の搾取、近親相姦、さらに孫の体をのっとったあげく、その孫は幽霊となって帰ってはきません。
最後が救いですが、そんなに長い時間彷徨っていたと思うとあんな幼い子が‥といたたまれなくなります。
これは子供は観れないね。
親は小夜さんのこと説明するの無理でしょ。そう考えると、最初に孫が小夜さんに戯れてくるシーンもゾッとします。
鬼太郎の出番も少なく、鬼太郎ファンの子供をぶった斬り、完全大人向けの世界でした。
最後のタイトルバックで、「墓場の鬼太郎」を見せて、「原作無視ではありません!ちゃんとわかって作ってます!」アピールも楽しかった。母親は最後原作に寄せてきますが、その理由も納得いきました。
アニメ好きじゃないので、鬼太郎のアニメも久しぶりに見ましたが、猫娘も綺麗だし、出っ歯男も男前になってましたね。
それほどでも…
これが大人のアニメだとか言っているのが笑える。PG-12なんですよ…。
大人向けということで多少表現は粗くレビューします。
ヒロイン?は成人していないとのことで16〜18くらいと推定される。それに対して主人公は少なくとも30代と予想され、その年齢差だけでヒロインになりきれない。
悪役のお爺さまは、生前の姿が描かれないせいで70歳から10年、◯出しされ続けていたとして、遺影のヨボヨボさからはそこまで酷いことをされた想像ができないことと、あそこまで異常な村の中で育ったのならソレが普通だと思っていそうな年齢でどうやって俗世間並みの感覚を持つことができたのかが不明である。
自分は子孫を残すためにやっておきながら、幽霊族をお家繁栄の糧にしているくせに鬼太郎父と母の2人になるまで捉えた幽霊族に子づくりさせなかった謎。
もう少しちゃんと不満点上げておくと、Mという薬がありながら普通に80歳で死ぬ当主。
制作者本人が使わないのに、なぜMがあると思うのか。実在しても使えない薬だとなぜ思わないのか。
Мのアンプルも出てくるがあの大きさだと5ml程度。それを一本作るのにどれほどの犠牲が必要なのか。普通に血が原料なら 血の量<М となりそうなきも。だったらわざわざ桜なんて使う必要なく定期的に採血する程度で済みそうな気がする。
そして悪事は全部、台詞のみで説明されその場面は描写されることはない。
つまり何をしたのか、何をされたのか、どうやったのか、などはすべて想像で補完するしかなく、作中で説明されることにプラスして、強力な狂骨ができるほどに莫大な怨念が貯まるほどの行為を繰り返して来た。と言う事以外は、視聴者の妄想次第なのだ。
事実として提示された事だけで判断する人にとっては、あまり面白みを感じない。
事実に自分の妄想を入れ込んで、それを含めて事実だと思う人は、楽しめるのだと思う。
はじめに戻るが、どちらが大人なのかと言う事である…。
水木しげるの独特な世界観が失われて、すっかり別物になっていた
BS12で「ゲゲゲの女房」の再放送が始まった。
今回のこの作品は、ゴジラマイナス1のような、鬼太郎マイナス1に相当する物語らしいが、すっかり水木カラーが失われてしまって、登場人物がどちらかというと、コナン君に出てくる人物のように見えて仕方なかった。ストーリー展開も、血液製剤と売血、因習にとらわれた田舎の跡目争いに伴う殺人、と、どこかで見たことがあるような、むりやりなストーリーに感じられた。60年近く前にピントの甘い白黒テレビで、震えながら鬼太郎を見た世代には、なんだかな~だった。
お伽噺の裏に・・・
本作品は水木と鬼太郎父のダブル主役の話である。そしてよく考えてみると、水木は横溝的因襲村”哭倉村事情”の殺人譚および「M」の謎をめぐる話。鬼太郎父は妻を捜し求める話とおおまかに原作「墓場~」に沿った幽霊族の血と血液銀行(水木はそこの社員だが)の話。それぞれの二つの流れの主人公なのだ。原作にこの作品が敢えて付け加えたのが前者の話である。そこでのヒロインは沙代。そして彼女が殺人の犯人。彼女は水木にこの村から連れ出してくれる様、依頼する。玉砕崩れでヘビースモーカーの水木はとんだ「白馬の王子」役にされそうに。そして村の地下洞に彼女と乗り込んで芝居を打つ。しかし裏鬼道長田を前にして沙代はその正体を明かされ水木の首を絞める。だが彼女の行動に裏には酷い因襲と先代時貞翁の醜い欲が。これが”哭倉村事情”である。私はここに「ディズニー流お伽噺」の裏を見た。制作の東映アニメーションはそもそも”東洋のディズニー”たらんとして発足した。その「ディズニー流お伽噺」のテンプレは、後継者争いに巻き込まれたヒロインが多く幽閉されあるいは呪いをかけられ、ドラゴンのような怪物に見張られる運命に陥る。それを「白馬の王子」が多くドラゴンや魔獣を倒して姫を救うというもの。これに”哭倉村事情”を重ねると、テンプレの類似が浮かんでくる。そもそも水木は沙代に「白馬の王子」に成ってくれる様に懇願されているのだから。地方領主はその支配の根源として多く土地神の祭祀を担う。そして土地神は多くの場合、龍神(ドラゴン)や魔獣である。さらにそれを補強する物として錬金術や魔術を密かに行っている。(魔女が奥方)その上で後継者争いを巡ってヒロインを幽閉あるいは呪いの対象とする。(沙代が婿をとれば、時弥の強力なライバルと成ったであろう。)そして時には土地神ドラゴンへの人身御供に供される場合すらある。しかし、それは実は一族の呪術性・血の純粋性を保つ為に行われる一族の男達による惨たらしき所業の隠喩であったのかもしれない。洋の東西を問わず、権力者は近親交配の果てに、凶状に走り衰退していく例が数多見られる。こうした運命のヒロインを本来、「白馬の王子」がドラゴンを退治して救い出すのである。だが本作ではヒロインは救われない。ヒロイン亡き後に、その元凶であったドラゴンならぬ時貞翁の霊を討ち滅ぼす水木ではあったのだが。この様に考えると”東洋のディズニー”たらんとした東映アニメーションが今何故、このような「ディズニー流お伽噺」のアンチテーゼと思われるようなサイドストーリーを原作の鬼太郎誕生譚に加えたのだろうか?私個人の考えすぎなのかも知れない。本来、メインストーリーである鬼太郎父とその妻、そして、人間の欲と凶骨鎭魂の感想を中心にすべきで、邪道であるかも知れない。それについてはむしろ他の人に任せたいと思う。
思っていたほどの怖さはなく、大人向けのアニメ
鬼太郎誕生とは気になる!と思っていたけど、R12とあったので、実はギリギリまで行くのをためらっていました。
鬼滅以上の怖さを想定してたけど、全然そんなことなかった。どちらかというと鬼滅の方が世界観が全体的に暗く表現はエグい、、。話は良いけれども苦手。
これはそんなこと全くなくて、途中に普通に会社員が出てきたり、明るいシーンもあって和まされた。
ストーリーはどこかで見たような遺産相続にまつわる話だけど、それだけでは終わらない。
さらにMという秘薬の製法にも関わってくる。
鬼太郎のお父さんがとにかくカッコいい!
離れ離れになった妻を探して旅してることとか、何があっても守ろうとするところとか、人間に裏切られたはずなのに、水木を信じるところとか、まっすぐな生き様が素敵すぎた。
関さんの声も久々に聞きましたが、安定していて心地よいです。
さよちゃんがまたかわいかった!
鼻緒が切れて水木になおしてもらうところとか、この村から連れ出して欲しいとお願いするところとか、お父さんとのことを水木に知られて妖怪になってしまうところとか、最後もかわいそすぎました、、。
好きな人に知られたくない過去を知られたり、見られたくない醜い自分を見られるのはツライ。
幸せになって欲しかったなあ。
時貞やばすぎる、、時弥くんも鬼太郎のお母さんもかわいそすぎた、、
なぜそこまでして生に執着するんだろう?
鬼太郎の先祖の幽霊族たちの怨念を、同じ幽霊族のお父さんが一手に引き受けるとか、、悲しすぎました。
鬼太郎のアニメの一話で墓場から生まれるシーンを見た記憶があるので、最後はこれとつながりました。
終わった後はなんとも言えない、不思議な感覚でした。魂ごと別世界に持って行かれていたような、でも嫌な気分はなくて、もの悲しくもあり、鬼太郎のおとうさんのかっこよさもあって、見てよかったなあと思いました。
お父さんとお母さんが幽霊族ってことは、鬼太郎も妖怪ではなくて幽霊族なのか。妖怪だとばかり思ってた。
あと猫娘がめちゃ可愛くてびっくりした!
たかが目玉、されど目玉‼️
私にとっては、期待通りの内容でした
ゲゲ郎(かつての目玉親父)は、若いし、背は高いし、声は良いし、戦闘強いしで、全然目玉親父っぽさ無いはずなのに、『早う○○せい』とか「ワシは○○なんじゃ」とかの言い回しや、ゆっくりした話し方は、目玉親父その人。そして、風呂好き(笑)
この映画で泣く事は無いだろうと、思っていましたが、私の1番好きなシーン、ラストの目玉親父にやられました、目玉なのに、目玉だけなのに、父の息子を゙愛しいという気持ちが、ブワッと伝わってきて、涙腺が緩みました。だってタイトルが、鬼太郎誕生ですもんね。
面白かったです、観に行って良かったと思いました。
昭和の世界
傑作です。
脚本がしっかりしていて、スキがなく無駄がなく、しっかりエンタメでもある。
アニメには目を見張る、戦闘シーンは鳥肌モノです。
一貫して、水木しげるの、南方戦線での戦争体験と、理不尽さへの思いが込められていると思う。
そして「昭和の世界」そのものだと思った。
列車の中で子供が咳き込んでいるのに誰も気にもとめず、普通にタバコを吸うシーンから「昭和」の感覚に引き込まれる。
私が子供の頃の、知っている昭和の時代は、3丁目の夕日的な「古き良き時代」ではなかった。モラハラも家庭内暴力も亭主関白として肯定され、教師が生徒に暴力を振るうのは愛のムチ。
権力を持つものが「国のため」「社会のため」「みんなのため」とおためごかしで弱いものを犠牲にするのが当たり前の時代。強いものの論理が社会の正義。そして弱いものも「長いものに巻かれる」それが昭和だ。
列車のたばこの描写は、タバコを好む、成人男性=強者の都合が優先されて、咳をする子供のような弱い立場のものの都合は一顧だにされない、そんな昭和の1場面をさくっと見せていたと思う。
横溝正史ばりのおどろおどろしい田舎の閉鎖社会の遺産相続の話からしてディープな昭和感。そして水木の戦争体験、高度成長期の企業戦士、覚醒剤みたいな謎の血液製剤「M」の製造の秘密等々、それらには、共通して理不尽な昭和の常識が生きている。
胸糞悪さとやりきれなさの中、顔を出す土着の八百万の怪異がなんだかのんびりほのぼのしていて、これも昭和の感じ。
地獄の南方戦線を生き延びた水木が、今度はおためごかしにやられない、「自分自身のために」理不尽への憤りに蓋をし、冷酷で野心むき出しの企業戦士として邁進するが、ゲゲ郎と出会ったことで元の自分が出てくる。そしていつの間にか信頼できるバディになっているのが気持ちが良い。
すべてを忘れているのに、なぜかそこに来てしまう。そして墓場から這い出した奇妙な赤ん坊を抱き上げて、なぜか涙が出てくる水木に、ぐっときました。
ゲゲ郎が背の高い二枚目でびっくり。だけど最初からこいつ目玉おやじだ、と分かるところが絶妙です。妻との愛情物語は切ない。
ラスボス龍賀時貞の下種っぷりが酷すぎ。恨みすら利用して作り上げて使ってきた狂骨に逆に呪詛返しを食らうところには胸がすいた。
父の後をついで、鬼太郎が地道に狂骨を成仏(といっていいのか)させていたとは。
そして、最後の1体があの時ちゃん。時ちゃんが哀れで涙が出ました。
成仏して抱き合っていたのは紗代だったので、本当の母は紗代だったのかも?と思いました。
悪徳製薬会社の富の源「M」が、アヘンなどのように快楽で中毒にして人をダメにするものでなく、疲れを知らず働けるようになるもの、というのがいかにも日本人。覚醒剤みたいな害もなさそうなので、企業戦士は限界なしに働ける、結果企業は儲かる、そして製薬会社は巨万の富を手にするという、全てがウインウインの夢の薬じゃないかと皆が本気で思っていそうなも昭和の時代です。そのための犠牲は、「国のために」で黙殺。これが高度経済成長の裏側と言われたら納得しそう。
人間が儲けるために幽霊を利用するという、畏れも怖れもない所業は日本人のメンタルっぽくないが、戦争で価値観は一変、戦中戦後のカオスで心まで破壊されたとすれば、この時代ならありそうです。
村ぐるみで「M」製造に協力し、長いものには巻かれて黙々と罪もない人たちに際限ない苦しみを与えてきた村人たちも一網打尽というのも感慨深い。
ねこ娘がギャルの美形で、どうしちゃったんでしょうか。
「重い因果を背負わせてしまったものじゃ。」
妖怪漫画で知られる水木しげる氏、だが、それとは別に反戦漫画も多く残したことで知られる。20代前半実際に戦地に赴き、壮絶な体験をした氏が戦争体験者として残した作品はどれも凄まじいもの。
特に氏の自伝的作品である「総員玉砕せよ!」では理不尽な戦争体験が描かれている。配属先のラバウルで所属部隊は彼一人を残して全滅し、一人生きて帰った彼に対して上官は言う、なぜ生きて帰ったのかと。当時の日本軍はお国のために命をささげることをことさらに美化し、それを戦意高揚に利用していた。下手に生き残ったりすれば敵前逃亡として処刑されることもあったという。生き残った水木氏は今度こそちゃんと死ねるようにと次の作戦への配属が決まっていた。だが、マラリアに罹患したために命拾いをしたという。
そんな体験が本作の主人公である水木の体験として劇中描かれている。その名の通り原作者である水木氏を投影した存在として。
本作はそんな水木しげる氏の生誕100周年の記念作品。そう聞くとどうしても本作を鑑賞中、氏の妖怪漫画と反戦漫画のエッセンスをうまく掛け合わせようとした作り手の制作意図が垣間見える気がした。
世間から隔絶されたような閉鎖的な山村、哭倉村。そこは一代で製薬会社を築きあげ政財界を牛耳るまでになった龍賀が支配する村だった。
その村で次々と巻き起こるおぞましい出来事。それはまさに因果応報ともいえるこの村が背負った深い業によるものだった。
龍賀がここまでのし上がれたのはMという謎の血液製剤の存在。その血液製剤こそ、ゲゲ郎の妻をはじめとする幽霊族を拉致してその血液から生成したものであり、その生成過程に必要な人間を村人たちが龍賀のいうがまま拉致していたのであった。
絶対君主として君臨する龍賀、その龍賀に絶対服従する村人たち、他民族である幽霊族を蹂躙することで栄華を極めた龍賀一族。だが、そのあまりに深い業ゆえに一族は村もろとも滅び去ることとなる。
その姿はかつて帝国主義のもと周辺国を蹂躙し、侵略戦争を行ったあげくに滅び去った帝国の姿を彷彿とさせる。あるいは幽霊族の血を搾り取り再度国を復興させようとする龍賀のその姿はまるで近隣国の戦争による特需で戦後復興を果たした戦後の国の姿とも被る。
人間を襲う恐ろしい妖怪たちは人間自身によって生み出された怨念が作り出したものだった。人間が作り出した妖怪によって結局は人間たちが滅ぼされてしまうという皮肉。劇中時貞が外部の侵入を防ぐために怨念でできた狂骨たちを使って結界を張っていたが、逆にその狂骨たちに滅ぼされるという、まさにこれこそ呪詛返し返しとでもいうのか。
だがこれら恐ろしい妖怪は本作では添え物に過ぎない。メインはやはりおぞましき人間ドラマである。
たった一人の強欲で愚かな支配者によって村全体が滅んでゆくこのストーリー。それは一握りの為政者たちが起こした戦争により多くの国民が犠牲となった現実と被るものだ。
劇中の「重い因果を背負わせてしまったものじゃ」というセリフは龍賀のいうがまま罪を犯した村人たちを憐れんでのゲゲ郎のセリフであるが、それはそのまま命令によって人殺しをさせられた兵士たちを憐れむセリフにも聞こえた。
理不尽極まりない戦争体験をした水木氏の思いが見事に反映された作品だったと思う。
登場人物もみな魅力的だった。戦争の傷を引きずった水木のキャラクターはいうに及ばず、鬼太郎の親父のキャラがとても良い。女性客が多いのは彼のキャラクターのせいかも、出来ればゲゲ郎を主役にしてシリーズ化をしてもいいのでは。
そしてこの手のミステリーでは定番ともいえる悲しき宿命を背負わされた沙代も良かった。でもやっぱり突出してたのは黒幕の龍賀時貞。一族の財産を守るために近親婚を続けていたハプスブルグ家のさらに上を行く、恐ろしく強欲なまでの野心家。
まさか、自分が転生するための人間を自分の娘に産ませるとは。その業の深さには地獄の閻魔も舌を巻く。冒頭で卵に閉じ込められていたのが彼だったというのがわかるところだけが今作で唯一溜飲が下がる場面だった。
あまりにも壮絶な物語、滅んだ村はまさに敗戦で焦土と化した日本の姿そのもの。その地の底から這い出して来る赤ん坊、墓場から生まれたそのおぞましき姿に希望を抱かずにはいられない。古きものを駆逐し、新たなる希望の世界を切り開く存在として。それは古きものの象徴である時貞に利用されて狂骨となり、最後までこの世をさまよっていた悲しき時弥の為にも。
劇場の予告編を見てまず見ることはないだろうと思ってたら、巷の評判がすごいことになってたので鑑賞してみたら、ほんとに度肝を抜かれた。
昨年度は「スラムダンク」、今年は「ゲゲゲの謎」と、日本アニメの底力をまざまざと見せつけられた。パンフ買おうと思ったら売り切れだった。
ちなみに血液製剤Mは現在リゲインという名前の精力剤として広く売られている。24時間戦えますか、ビジネスマーン、ビジネスマーン、ジャパニーズビジネスマーン。(噓)
お子さんとは行かない様に!
エクソシストとどちらを観るか迷いましたが、評判が良いので鬼太郎を選択! 横溝正史の世界観+妖怪の物語! 犯人は誰? 目玉の親父と水木がバディとなり、謎に迫ります。
公開から日数が経っているのに、公開二日後に観たナポレオンより入っていましたよ!
目玉の親父は一族の最後の生き残りで人間を見限っているのですが、キャラクターがオットリしているので、あまり伝わってこない。 もっと強く伝わっていれば、ゲゲ郎の『未来を見たくなった』というセリフも生きたのかも?
「鬼太郎-1.0」の意味深さに浸る
元々子供の頃からゲゲゲの鬼太郎ファンであり、アニメでも妖怪の名前を覚えることが大好きでした。
大人になり鬼太郎の存在が遠くに感じてしまい久しくなった今日この頃、映画のレビューが高止まりしているため気になり鑑賞。(鑑賞環境は、映画館の最後列のハイクラスシート。足を伸ばしてリッラックスした状態で鑑賞することができました)
開始早々、森山などの闇深さが巧みに描かれていますね。
また、電車シーンのタバコの煙がこもっている感じ。すごく嫌な感じ(褒めています)が表現されています。
現代ではあれほど煙がこもっている場所も早々なく、あれも一つの「時代」を感じさせるパートです。
村に到着後の「自然の美しさ」と「村社会の閉鎖感、不気味さ」をあれほど巧みに感じられる映画もそうそうないのでは、、、。
前半のテンポのよさから一点、今回はアニメ要素が強くなり、少しだけ退屈してしまいます。描写は派手でグロいのですが、前半の丁寧に不気味に描かれた要素がちょっと崩れ過ぎたかという印象。
それでも、本作最大の見せ場はラストとエンディングですね。なぜゲゲ郎がなぜ目玉の親父となったのか。鬼太郎はいかにして誕生したのか。全てがラストで明かされます。没後のトキくんの言葉にも泣かされます。
今回のテーマの一つは「継承」だと思います。
我々が平然と生きてくるまでには、ご先祖たちが幾重にも戦ってきた歴史があります。
いつかは我もこの世からいなくなる身。後世の人たちに、思ってもらえる先代として、生を全うしたいと思える映画でした。
エンドロールの
子供の頃夏休みだったか、朝のラジオ体操に行く前にモノクロとカラー化された鬼太郎を見てましたが、最近のは全くわかりません。あ、墓場鬼太郎は見てました。
評判が良いとの事でカミさん騙して2人で見に行きましたが、先日見たゴジラ-1.0より面白かったです。
何かの映画や小説に似ているとかはどうでもよく、総じてストーリーは良かった。
戦争の扱いもより真に迫っていたように思います。
子供の頃、祖父さんに戦争話を一杯聞かされましたので、見ていて思い出してホロリとしてしまい、最後のエンドロールの曲を聴き、カ⚪︎ンコ⚪︎ンのフレーズに号泣してしまいました…
なんででしょう…色々思い出しちゃったんですかね…
が、カミさんは途中で寝てしまったとか…
まあ人それぞれか…
騙された。何を見せられてるんだろう?
評判が良かったので見に行きましたが残念な作品でした。
アニメ第4シリーズ世代で墓場鬼太郎も鑑賞済み
妖怪はほとんど出てこない。
ストーリーの新しさもない。
遺産相続争いに見せかけて・・・のストーリー展開は見飽きました。
戦いのシーンのアクションがいいわけでもない。
(所々、呪術廻戦を思わせるところがあるがそっちの方がアクション描写は素晴らしい)
悪い人を悪くしすぎてセンスがない。
タイトルも合ってる?って感じで、確かに鬼太郎は誕生したけれども。
目玉おやじ誕生秘話~消えた妻を探しに~の方がしっくりくる。
終始何を見せられてるんだろうと思い、早く面白くなれと願いながら終わりました。
小学生のころだったら楽しめたかも。
怒りがわきましたが、そのあとに見た「私がやりました」がよかったので幸せな気持ちで帰宅できました。
◆良かったところ◆
釣瓶火ちゃん
龍賀乙米の殺され方
最後のときちゃん
来場者特典がうるっとする
試験もなんにもない
横溝作品みたく、あのまがまがしい世界観はそれはそれで楽しめました。
ゲゲ郎親父のような人間に対してある種冷めた人物と出世を目論む血気盛んな水木
との水と油の交わり具合(座敷牢あたり)が面白かったです。
ただ、朝は寝床でグーグー寝て学校も試験も病気も死だってない、でも運動会はある…
あのほんわかした異界の世界観は本作にほぼ無かったのが残念でした。
でも、ゲゲ郎親父の露天風呂(混浴してたの誰?)だったり木舟がジェットボート(河童連中)になったり鬼火?で煙草をのんだり、と愉快な異界人との、ののほほんとした楽しい空気感もあって楽しめました。
それらは鬼太郎誕生以降に構築されていく世界観かも?で、ひょっとして無いものねだりでしょうか。
何期なのか?アニメで多少見ていたレベルなので分かりません。
すったもんだあった後、記憶が消えてもなぜか涙がでてくる水木が印象的でした。
人間界の深い業を笑ってる異界人が居る気がしました。
後、なぜ孤島の結界が解けたのか(説明聞き逃したのか)分からなかったのと
タイトルにあるように「鬼太郎誕生」名うってる訳なので、鑑賞者もそれを分かっているのですが、鬼太郎が誕生するまでをエンドロール中に説明するのはどうかと思いました。
こちらの作品を辿ってきた情感を一旦途切らせるのは疑問が残るところでした。
アナキンがベイダーになるように、しっかり切らすことなく「誕生」まで見たかったです。
好みのレベルでしょうか
素晴らしくエグい胸糞ストーリー
ゲゲゲの鬼太郎の前日譚。
目玉おやじが目玉おやじになる前の話なので、テレビアニメ見てないよって人でも入りやすい内容だと思います。私もゲゲゲの鬼太郎はテレビアニメは見てないし、キャラクターは知ってるけど設定とかほぼ知らずに見に行ったけど理解できました。
鬼太郎やねこ娘というお馴染みキャラは序盤と終盤に少ししかでない上に、メイン部分は閉鎖された村での後継ぎ争いや殺人といったミステリー、グロ、ホラーとか水木の戦時中の描写も多いので子供を連れて行こう…ってなると少し後悔するかもしれないです。
これPG12…???完全な大人向けな内容だし、少なくともR15くらいでは??
予告からまぁまぁグロめなのは分かってましたが、村ぐるみでの秘薬製造方法や、ヒロイン的な沙代さんの生い立ちというかが胸糞すぎて…直接描写はないものの嫌でも想像させるので鬼太郎というシリーズでここまでやるんだぁ…エグ…となりました。
そんな残酷胸糞描写も多いこの作品ですが、主人公の水木とゲゲ郎のコンビの、お互いの目的の為の協力関係だったのが、段々と絆が芽生えていく感じが自然ですごく良かったです!まさか目玉おやじをカッコいいと思う日が来るとは思わなかった。
最終的に水木は生き残るけど、誰も救われない終わり…かと思いきやエンドロールの後まで見て少し救われた気持ちになりました。
私が行った時には来場者特典もパンフもなかったので、もっと早くに観に行けば良かった〜!と後悔してます。
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