鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎のレビュー・感想・評価
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「忘れる」と戦後は終わり戦前が始まってさしまう
オタクの女性には絶対突き刺さるものが多い。
私はキャラクターデザインに惹かれて見に行った。
最新のテレビアニメの鬼太郎の知識などはゼロ。
個人的にいわゆるアニメ声のアニメ演技が苦手なのだが、今回は声優さんがどの人もみんな素晴らしく、特に主人公水木の木内さんの演技と声が素晴らしかった。何で上手いのだろう。全然存じ上げなかったのだが大ファンになってしまった。
あとは音楽が素晴らしい。
バディ要素、横溝+京極+椎名林檎的耽美と昭和因習世界観など、腐女子に突き刺さる要素が満載だ。
水木しげるの従軍体験、昭和の悪習(喫煙や血液銀行など)も容赦なくもりこまれている。比べるのもアレだが、例えば山﨑貴の甘く浄化された昭和感よりは数万倍も真摯さを感じる。
ただ、一見ミステリだが謎解き要素はないし、説明不足の部分やヒロインのキャラクターの掘り下げ不足な部分もあり、「一般映画」として視聴するとそこまで出来が良いとは言えまい。「大人向け」と謳われていて確かにそういう要素はあれど、宮崎駿やスラムダンクのように普段アニメを見ない大人の鑑賞に耐えられるかと言われれば決してそんな事はない。
この映画を一般観客(普段アニメをみない)が鑑賞する際は、あくまで「日本のアニメ」の水準を念頭に多少の忖度を必要としながらならば、かなり観やすい映画だというものだと思う。
⭐︎⭐︎⭐︎
だが、同時期に、戦前、戦中、戦後を描いた映画がこれほど立て続けに公開されたのすごい。
「ゴジラ−1.0」「ほかげ」「窓ぎわのトットちゃん」(あの花〜は未鑑賞)そして本作。
本作とゴジラ、ほかげには敗残兵が登場し、いずれも悪夢にうなされる様子が描かれる。
そして、ほかげと本作ではそんな敗残兵によろ権威への抵抗が描かれる。
ただ、日本の加害性について触れているのは本作のみだ。
この映画の大きなメッセージのひとつに「忘れないで」という事があると思う。
戦争の体験記憶を持つ人がどんどんいなくなっている。
そうやって忘れる事で、戦後は終わり、奇しくも徹子の部屋でタモリの言っていた新しい戦前が始まってしまうのだ。
ゴジラ−1.0とほかげには「戦争を終わらせる」というセリフが共通して登場する。
戦争が終わり、戦後になる。そして、戦後はいつまでもあり続けなければならない。忘れないで。
そのために、語り継いでゆく鬼太郎がいるのだ。
好きな人同士が情熱で作り上げた荒っぽい熱量
まず始めに。
「好き同士がお金を出し合って物を作る」はチープな褒め言葉だし、最近のトレンドですが。
この映画はここに「昭和の泥臭さ」が加わることにより、クラウドファンディングや、好きな原作を制作するためだけに立ち上げたプロダクション。
……みたいな都会的なスマートさとか、優しい愛情がなくなります。
泥臭くて好き過ぎて情熱的……これすなわち、同人誌です。
しかも、有明でガリガリアナログで原稿を描いていた頃の。
好き過ぎて全ての作品や原作を隅から隅まで読み解いてから、その場面が頭の中でグルグル回って夢にまで見る所まで来てやっと書き出すような。
そんな熱量で書かれ、ここに描かれたことを読んだか読まないかで、原作の場面への感じ方が変わってしまう、そんな映画でした。
以降ネタバレ含む部分の感想:
・親父さんも水木氏も、右側を欠損したり隠したりしていてどちらも水木先生から生じた事の示唆なのだろう。
水木という名前、ゲゲというあだ名を二つに割ってできた本質が同じ生き物なのかもしれない。
・その上で実際の先生の暮らしの理想に近いのが親父さんの方、もしも地元が違えばあったかもしれない未来として描かれるのが水木氏の方というという書き分け
・姿や時系列をこのように回収するとは思わなかったし、その理由が、あの頃は子どもだった子ども達へのメッセージでもあって良かった。
・妖怪の呪いを受けたことで妖怪族になった親父さんってことなのだろうと。
ダラダラして退屈だった
初鬼太郎!
怖いゲゲゲ
たしかに見応えありました。
子供向けの妖怪退治ものではなく、大人向けのサスペンスホラーとでも言うのでしょうか「怖い系」「グロい系」の作りでした。
実は子供の頃、あんまりゲゲゲの鬼太郎を見た覚えが無いんですよね。
理由は多分「怖かった」から。
そんな子供心に怖かった鬼太郎が大人になってもやっぱり怖いと感じる作りでした。
というか当の鬼太郎は冒頭とラストにチラリと出てくるだけなんだけど。
そうね、ちょっと批判すると、クライマックスからエンディングまでグダグダにかんじました。
結界穴下の血桜での最終対決のくだり、クドいというか、いまいちしっくりこなかったなぁ。
ゲゲ郎はいつの間にか目玉だけになってたし、ゲゲ奥さんは→いつの間にか墓地に埋められてたって事なのだろうか?
ラストのラスト辺りで描写の端折りを感じてしまいましたね。自分の見逃しだとしたら申し訳ないが。
本来なら子供向けシリーズだろう作品が見事に大人向け作品に仕上がっていました。
ゴジラ-1.0もそうだけど子供の頃に親しんだシリーズが大人になった今でも楽しめるなんて本当にありがたいと思います。
大人も子どもも見る価値ありまくり。
ゲゲゲの鬼太郎懐かしいな、鬼太郎の誕生話についてか、まぁ観てみようと軽い気持ちで鑑賞すると、終わった後とても惹き込まれていた自分がいた。
まずキャラデザが現代風で、自分的にそこも魅力の一つだった。そしてなんと言っても鬼太郎の父(ゲゲ郎)イケメン過ぎやしないか!!言動に行動に、特に戦闘シーン。スルスルと動くダイナミックな映像は映画館だからこそ良いところが存分に伝わってきて良い意味でゾクゾクワクワクさせられた。
いつもそこにあるけど見ようとしなかったもの、妖怪も幽霊も、そこには人間の汚い所も含まれていると思った。
閉鎖的な空間では変化を1番嫌う、なぜなら思い通りにならなくなって困る人がいるから。しかし、小さな石ころ1つでも投げ入れたら一瞬で崩れてしまう危うさも共存している。これはそんなお話だった。
小さい子ども達も思ったより見に来ていて、龍賀家に隠された内情や、時貞が沙代をお気に入りという意味、権力ある人間の欲望、大人は言わずともわかるけど、子どもたちはどうだろうか。しかし、この作品はそれ以上に印象に残る作品の一つだった。意味が分からないながらも、子どもなりに汲み取って、大人になった時ふと手に取って見たくなるような、そんな作品になっているように感じた。大人も子どもも見て損はないし、もし自分が子どもの時に見ていたら特別な作品の一つになっていたとも思う。
最後の水木と鬼太郎のシーンにはグッとくるものがあった。
見てよかったな。とても見応えのある104分だった。
「君のことを忘れないよ!」
熱烈なファン、ではないかもしれない…… けれど。
1968年の“白黒アニメ”「ゲゲゲの鬼太郎」をリアルタイムで観た世代。
漫画「墓場の鬼太郎」も(いつの間にか)全部読んでいる。
子供だったけど、陰影の強い鬼太郎の世界と、自分のいた世界がなぜか重なってすごく魅かれた。(今も)魅かれている。
『「ゲゲゲの鬼太郎」のファンです』などとわざわざ言わないけど、鬼太郎のいる世界は、(まさに“幽霊族”のように)空気のように、いつも♪どこかで、下駄の音♪がしてといたと思う。している。
まず!
久しぶりに、鬼太郎のストーリーを観ることができたのが、なにより幸せな時間だった。
鬼太郎の父さんと母さんの物語。鬼太郎誕生の前日譚(タイトルの登場のタイミングがいい)。
物語は、確かに、犬神家だったりマトリックスだったり…、かもしれないけど……。水木ワールドを膨らませたストーリーは、「理不尽な戦時中の物語」、「依代(よりしろ)の物語」、「無念に亡くなった者たちの物語」等が絡み合っていた。
盛りだくさんだけど、そこが更に良かった点だと思う(幽霊よりも妖怪よりも一番怖いのは、欲で膨らんだ人間というのもね)。
『血桜』が美しかった。
最後の30分は、せつなくて、ずっと涙がこぼれていた。
エンドロールが最高。
ゲゲゲの鬼太郎の、言ってみれば最初の物語なのに、音楽は、静かにながれて余韻があって…。音楽も幽霊族にピッタリ。
聴くだけで、じわっと涙が出てきた(音楽は川井憲次さんなんですね。納得)。「なに、これ。なになに、この音楽」って。
そしてそして、一緒に映し出される水木しげる先生調の絵を観たら…(TVアニメも漫画もこの映画も)すべてが結びついて…
静かな衝撃だった。
また泣いた。………。
鬼太郎のお母さん。
今まで(決して美しくはない)幽霊のイメージしかなかった。でも、
この映画で、(生前?は)明るくて、綺麗な人だったとわかって、それが、なにより一番よかったこと。
お母さんが、血桜の根本で夫の耳もとで囁いたとき、聞こえなかったけどなにをささやいたか…すぐわかった。
それだけでも涙…でした。
映画を創った、関わった人達の「鬼太郎ワールド愛」がすごい映画だと思う。
取って付けた感
ミステリーとして話を進めるなら、また子供向けの作品でないなら尚更、もう少しお話の展開も構成も人物描写も丁寧に積み上げて欲しかったというのが率直な印象。
あの家族や村長(?)も、みんないろいろワケありで様子がおかしい割にちゃんと説明されなくて、欲しがってる「M」とやらも、(雑に説明されるけど)その製法も効能も、もう一つピンと来ない。あの島の意味や大穴、お屋敷と地下で繋がってるって話も。
最初、時貞翁が死んで、血液銀行に電話が入った場面。「血液銀行ってどんな銀行なのか・主人公はどんな仕事をしているのか」冒頭としては状況説明という意味でちゃんと描くべきシーンのはず。しかしデスクに大勢の社員が着いているものの、机上には作業中らしき書類も筆記用具も見られない。
「ははぁん。ちゃんとディテールを描く気がない系ね。」
序盤でそう思ってしまうと、全てを目を細めながら見る感じになっちゃう。
で、全体がボヤっとして掴みかねているおかげで、観客としては分かりやすくて善良そうな登場人物(沙代と時哉)に感情移入。作り手はその二人に「可哀想な役回り」を押し付けて、最後に主人公たちが「救い」を与える。主人公の手柄の為に登場人物が奉仕するという、すごく「雑」な話に見えてしまった。
基本的に主人公たちが直接戦う敵妖怪は「狂骨」になるんだけど、この妖怪って有名なの?ただただ相手に危害を加えるだけのモンスターってこと?妖怪ってそういうものじゃないって思ってたんだけど。
登場シーンから何の説明もなく、その上「これは只の狂骨ではないぞ」って。「只の狂骨」を知らんのよ。
「ゲゲゲの鬼太郎」は、第二期の再放送を見ていた世代の私。
まだまだ当時子供の私には怖いシーンばかりが印象に残る「苦手なアニメ」の部類だった。
その後、第三期以降の放送はかなりカジュアルでポップになったとは聞いていたけど、(年齢的にも)食指が動かなかった。結局私にとっての「ゲゲゲの鬼太郎」は、物語ではなくキャラクターの集合体として認識されている。
そういうこともあって、ラストに出てくるスタイリッシュでヒロイックな鬼太郎にも私は馴染みがなく、どうにも最後まで私は「外様」な感じでエンディングを迎えることになった。
最後に男の子を成仏させる的な、あの「感動風」やり取りは、個人的にすごく取って付けた感があって、悪い意味でこの映画全体を象徴するシーンに見えた。
高く評価されている方も多い様なので、私が乗り切れなかったんだと思うけどね。
原作の「鬼太郎の誕生」は読んでおくに越したことはない。 横溝や因習...
大人向けの鬼太郎
鬼滅の刃+呪術廻戦かよ
【”令和版「八墓村」鬼太郎バージョン。”欲に駆られた人間の醜さに塗れた一族が第二次世界大戦前から行っていた恐ろしき事が徐々に暴かれて・・。後半の展開は恐ろしくも、とても切なくて心に沁みる作品である。】
ー 鬼太郎と目玉おやじの誕生までを、昭和31年という戦後復興期を舞台に描いたとても良く出来た作品構成に魅入られた作品である。-
◆感想
・昭和31年、血液銀行に勤めていた水木は、強大な影響力を持つ龍賀一族の当主、トキサダが亡くなった事で、啼倉村へ足を運ぶ。
ー 一族勢揃いの中、重々しくトキサダの跡継ぎを顧問弁護士の男が告げるシーンや壁に掛かったトキサダの写真など、正に「八墓村」である。-
・その後、後継ぎに指名されたトキマロは怪死し、更に殺人事件は続く。
ー 金田一耕助は来ない。が、龍賀一族が戦前から開発していたクスリの恐ろしい製造方法や、それにより龍賀一族が日本に多大なる影響を与えていた事が徐々に分かるのである。-
■幽霊族の生き残りのゲゲ郎が、美しき妻を探しに啼倉村へ来ていて、水木と接触しお互いに心を許す辺りから、物語は更に面白くなる。
そして、水木の所に来てしきりに東京に生きたがる美しき娘、サヨの姿。
ー まさか、サヨがなあ・・。-
■水木が経験した、第二次世界大戦末期の愚かしき日本帝国軍将校の描き方は、故水木しげるさんが腕を無くした経験した事そのモノであろう。
・後半は、サヨが抱えていた哀しき真実や、ゲゲ郎の妻や多くの幽霊族が囚われ、血液を採られクスリの原料にされていた事や、それにより咲く真紅の桜の木と共に、最早化け物と化した死んだ筈のトキサダが孫の身体を乗っ取り、金屏風の前でニタニタ笑う姿は、おぞましき限りである。
だが、ゲゲ郎の妻のお腹には赤ちゃんが居る事が分かり・・。
ー この辺りから、周辺の女性達の涕泣が聞こえてくるようになる・・。-
・そんな、トキサダに対しゲゲ郎は対抗するが妖力が通じない。そんな中、ゲゲ郎と共にゲゲ郎の妻を探していた水木は、敢然とトキサダに対し、斧を振り下ろすのである。
ー トキサダの妖力の元になっていたしゃれこうべは破壊され、化け物達は結界を出て行く。そんな中、ゲゲ郎は身を呈してそれを防ごうとするのである。-
<墓に、息絶えたゲゲ郎の妻を埋め村を去ろうとする水木の耳に音が聴こえてくる。それはゲゲ郎の妻が命懸けで胎内で育てて来た赤ちゃんが墓から出て来る音であった。
水木は、その赤ちゃんを一度は殺そうとするが、友人になったゲゲ郎が命を張って自分や村人を助けようとした姿を思い出し、赤ちゃんを連れて村を出るのである。
鬼太郎や、目玉おやじが後年、悪なるモノから善なる人を守る姿勢はここから芽生えたのだなあ、と思いながら劇場を後にした。
今作は、物語構成もその時代背景を含め実に上手く、見応える作品であると思います。>
鬼太郎の洒脱な実父と最愛の実母の登場
鬼太郎には目玉おやじが居たので、
実父など考えたこともなかったが、
着流し姿に下駄が何ともかっこいい。
しかも父は強い!
実母も居たのだ!
父曰く、美しい!
人間にはとても優しいのだそうだ。
そうだとは、よくわからないのでそれは見てのお楽しみ…
鬼太郎誕生は、
水木先生の奥さんへの愛情と戦争への怨念が鬼太郎を誕生させたのだろう。
本来、強者が弱者を助けるのがあり前なのに、
政府や軍隊、政治家が庶民を甚振り苦しめる。
その最大の被害者が絶滅危惧種となった幽霊族のようだ。
それなのに鬼太郎の実母は人間族にも優しく、そんな優しさに父は惚れた。
故に生命を捨てて最愛の妻の存否の探索の旅に出たのだ。
何とも美しい話だ。
そして、愛妻が優しくした人間族に、
そう尊厳ある人間性を解放するために、
見えないものを見る開かれた心を取り戻すために水木も鬼太郎の父も母も一つになって、
鬼太郎が誕生した!
と言うのは私見です。
お粗末でした。
( ^ω^ )
鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
漫画家・水木しげるの生誕100周年記念作品で、2018〜20年に放送されたテレビアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」第6期をベースに、
シリーズの原点である目玉おやじの過去と鬼太郎誕生にまつわる物語を描いた長編アニメーション。
昭和31年。
鬼太郎の父であるかつての目玉おやじは、行方不明の妻を捜して哭倉村へやって来る。
その村は、日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族が支配していた。
血液銀行に勤める水木は、一族の当主の死の弔いを建前に密命を背負って村を訪れ、鬼太郎の父と出会う。
当主の後継をめぐって醜い争いが繰り広げられる中、
村の神社で一族の者が惨殺される事件が発生。
それは恐ろしい怪奇の連鎖の始まりだった。
声優陣には沢城みゆき、野沢雅子、古川登志夫らテレビアニメ第6期のキャストのほか、
鬼太郎の父を関俊彦、水木を木内秀信が演じる。
「劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!」の古賀豪が監督、
テレビアニメ「マクロスF」の吉野弘幸が脚本、
「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の副監督・谷田部透湖がキャラクターデザインを担当。
ストーリーはそこそこ面白いが、色々と辻褄が合わない微妙な作品
鑑賞動機:水木先生10割
完全に大人向けだったので観て良かった。PG12だったと後から気づいたけど、グロテスク描写(も描写以外)も多々ありなので(いいぞもっとやれ)。
水木先生の飄々とした軽みが足りないのはやや不満。
ここまでアクションに力を入れているとは思わなかったので、嬉しい驚き。
エンドロールで原作につながっていて震えた。
来場者特典を今開けたんだけど…これはズルい…。
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