「本当に恐れるべきは生きた人間」鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 ナナシさんの映画レビュー(感想・評価)
本当に恐れるべきは生きた人間
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とても感動的な作品です。
あらゆる所に伏線が張られていて、終盤に怒涛の伏線回収に震えました。
本当に恐ろしいのは妖怪や幽霊ではない。「生きた人間」なのだという事を再認識できます。
水木は不当な会社に通いながらも、人間として真っ当な精神の持ち主です。だからこそ村の人間の狂気さが増し悍ましく感じられます。
水木とゲゲ朗の関係性の変化にも注目です。
「煙草一本くれぬか」に「嫌だね」と返した水木中盤では水木〝自ら〟ゲゲ朗に煙草を渡します。
幽霊族である自分を助けた珍しい人間。だから哀れみをかけて水木を敵から救ったゲゲ朗。
救い救われ、信頼を築き次第に友と認識する。
呼び方の変化も印象的でした。
お主→水木
この作品の凄い所は人間の気持ち悪さを最大限描いている所です。
私たち人間は、何かを得る為に何かを失わなければならず、大切なものができると弱くなります。
ゲゲ郎はこの事をよく理解しています。
希望を持っても免れない運命もあるのだと。
だから水木(友)に自分の命よりも大切な妻とお腹の子を託しましたね。
EDが一番重要だと思います。
全てを忘れても感覚的には覚えていて、本能的に動かされていた水木。
頭の片隅には親友であるゲゲ郎の姿。
使命感もあったのかもしれない。
けれども赤子を抱く姿は父そのものでした。
感嘆しました。
また考察含め楽しみたいと思います。
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