「まさに異界、村」鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 ベッラさんの映画レビュー(感想・評価)
まさに異界、村
日本のなかで、異界になりつつある村。そこに鬼太郎誕生が蔓のように絡まって、実話怪奇物語が育っている。
戦争の爪痕がまだあるなか、影を許さず、やみくもに光を求めた日本が産み出したのは、濃くて、深く深く落ちた闇。その隠されて深い闇は今も脈々と日本の底に流れていると思う。鬼太郎誕生にはその暗闇が哀しく切なく愛しく描かれていたのは凄かった。ある意味その暗闇は鬼太郎の存在そのもののよう。同じように戦争、戦後を描い「ゴジラマイナス1」で放射能の影響で産まれたのがゴジラみたいに。
だから鬼太郎もゴジラも愛されてるんだろうなと思う。
いろいろ深く考えればそんな風にたくさん評される部分はあるけれど、そんなこと抜きにしてゲゲゲで育った昭和の小学生は、最初の頃のおどろおどろしいタッチの水木先生の世界観が手放しで嬉しくて、実は三回観に行っている。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花光」といわれても、やはり闇には何かいると思うしげるファンにはたまらない妖怪愛あふれる映画だった。
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