「アニメで時間をかけてやってほしかった」鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 ☘さんの映画レビュー(感想・評価)
アニメで時間をかけてやってほしかった
母がアニメ1~2期&墓場時代のファンで、私自身も幼い頃からゲゲゲの鬼太郎は身近な作品だと感じています。
SNSでの話題性が凄く、2次創作もかなりの数出ており物凄く期待値が高かった中で、友人に誘われて鑑賞しました。
特典とパンフレットが売り切れとのことで(鑑賞した日の午後に特典増刷と聞き崩れ落ちました笑)残念に思いつつも、エヴァQのキャラデザ担当の方が今作のキャラデザをしていたのもあり、ビジュアルの良いバディの様々な面が見られるのを楽しみにしていました。
冒頭からアニメ6期の鬼太郎と猫娘、それを追う廃刊寸前の雑誌記者が出てきて、目玉おやじが謎の島を見ながら懐古する形でストーリーが進みます。
昭和の高度経済成長期に差し掛かった辺りの日本で、血液銀行勤めの水木が秘薬の謎を探りに来た因習蔓延る村が本作の舞台となります。
…ここだけでもかなりよくあるミステリー物の印象が強いです。
この後、水木は移動の列車内で出会った謎の白髪の男(=ゲゲ郎)と村で再開し、村の異常さと妖怪の存在を余すことなく知り、双方の利害が一致しバディを組んで本作の怪奇や黒幕に対峙する…のですが、序盤から最後までかなり色々な場面の説明が端折られて展開が急なところが多く、どこに感情を置けばいいのか迷子になりました。
(劇場パンフレットや特典の内容を見ることができていれば、もう少し展開に納得できていたのかもしれません)
悪そうな見た目の人間はみんなバタバタ退場していき、作中唯一の美女もぶっ壊れて退場します。
ゲゲ郎は(他の方もレビューに書いていましたが)中級ボスまでは難なくあしらうのですが、パワーアップした狂骨となると手に負えないらしく軽やかにやられます。
水木は感情が不安定で、(元々の人を軽んじる性格は置いておいても)物凄く苦しんだり立ち直れないほど悲しんだかと思えば次のシーンではもう立ち直ります。
モブはもちろん重要人物も女子ども関係無しに皆退場するので、(本作はハッピーエンドという感想が多いですが)個人的にはハピエンでもバトエンでもないかなと感じました。
特に残念な点を上げるとすると(全体的なストーリーの端折りすぎな所は勿論なのですが)、終盤の黒幕の風貌と、桜の泉の淵で倒れた水木の後方で黒幕と話すゲゲ郎のシーンは、対比がどこかギャグ物を見ている風に感じてシリアスなシーンなのに話が入ってこなかったです…
ゲゲ郎がご先祖パワーに圧倒されるシーンも、(勿論ご都合主義なのは念頭に置いても)一歩間違えると展開に置いて行かれているように見えてシュールでした。
全体的なストーリーは金田一耕助シリーズをベースに、退場シーンは地獄少女を加え、そこにゲゲゲの鬼太郎要素で蓋をして、呪術廻戦とFateでアクションする感じでした。
水木しげる先生の生誕100周年の記念制作なので仕方のないことですが、もし放映時期が呪術0よりも前であればチラつかなかったんだろうなぁと…
2次創作の盛り上がり通りビジュアルと声優、それを取り巻く因習村という設定は確かにとっつきやすく、それ目的で観る場合は期待通りだと思います。
ただ、一部の過剰な盛り上がり方とは違い、そこまで(というより話題になるような箇所以外には)サービス(?)カット等があるわけではないので、初見時は期待値を上げないほうが楽しめると思います。
SNSでおすすめされているような過去関連回を履修してから…というのもそこまで気にしなくて大丈夫です。むしろ鬼太郎を知らない方は本作を見てからおすすめ回を見る方が整理がつくと思います。
ねずみ男は終始お調子者で安定しているので今作の最重要癒し枠です。出てくれてありがとう…
シナリオ面はありきたり設定に落とし込んでしまっているので、これをもっと丁寧にもう少し尺をかければきっと面白かっただろうな〜と惜しいものを見た気分でいっぱいです。アニメで時間をもう少しかける等してやってほしかった…
鬼太郎誕生という題名通り、エンドロール中〜後に鬼太郎が誕生したところで物語の99%が終わります。冒頭の記者が残り1%です。
あのタイミングで終劇→劇場が明るくなるとは思わず、少しびっくりしました笑
映像の綺麗さや、ゲゲ郎や味方する妖怪たちの惹かれるキャラクター性はとても良く、そして今作の勢いで鬼太郎関連の盛り上がりは勿論、深大寺の鬼太郎茶屋も物凄い盛り上がりを見せており、元々鬼太郎が好きだったので年末に盛況ぶりを感じられてそこも良かったです。
私も久々に深大寺に行きたくなりました。