「鬼太郎誕生を6期ベースで新訳」鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 烏丸沙鴎さんの映画レビュー(感想・評価)
鬼太郎誕生を6期ベースで新訳
前提として比較的鬼太郎ファンでアニメ3期がメインの年齢です。(3期は鬼太郎は人間とのハーフ設定)
『鬼太郎誕生』をやるという話を聞き「最初の墓場から産まれる辺りをしっかりやるのか?」と映画館に向かいました。
面食らったのは登場したのが6期の鬼太郎と猫娘だったので「あ、違う話か」とそこで認識。
なので、一部の方が言っている原作「墓場鬼太郎」とは真っ直ぐ繋がらないのでご注意。(そうすると目玉のおやじと鬼太郎母は幽霊族の血が人間に取っては有害であるのに売血したことに……)
鬼太郎の誕生する話は数パターンあり、その1パターンを原作ベースに6期で新訳し、それ以前の話を書いたという話。
話としては、準主役として「目玉のおやじ」の昔の姿とその戦いが見られたのは熱かった。幽霊族の強さや霊毛チャンチャンコならぬ元となる霊毛ミサンガ? など見どころは沢山。
主人公の水木もパターンにより性格が違うが今回はストーリーを牽引する野心的でトラウマを抱えたThe・主人公という設定。しかし、これよりより人間くさい人物になっているので魅力は増したと思う。
妖怪・狂骨も鬼太郎設定でかなり凶悪なものに。
鳥山石燕画の狂骨はけっこう可愛いです。
ストーリー的には正統派ミステリーの起承転結、因果応報。霊能力を持った金田一耕助を見てる気分。
ただ何故ここまで絶賛されているのかがわからない。
PG12だから絵描けたという意見も見かけましたが血液銀行などの設定を出すためでしょうし、墓場 or 原作クラスのグロさまでは達していません。
鬼太郎の腹の中に蛇飼ってるとか本当に第一関節から先がちゃんと飛んでいく指鉄砲とかやったら今のファンは離れてしまうと思いますが(笑)
エログロという文化を経てよりマイルドに大衆向け・子供向けにされたものに対する「抵抗」を6期と今回のゲゲゲの謎から感じました。
ただこの作品はどこに対して何を狙ったものだったのかがハッキリせず、それが全て尾を引いた印象もあります。
6期が終了してから4年、その頃小学生だった子供に向けているのか、近年の仮面ライダーなどと同じで大きいお友達向けコンテンツを狙いなのか、そうするとPG12は果たして正しかったのか、R15やR18でもっと激しくしたほうが良かったのかなど疑問は尽きません。
個人的には総合的に見ると、どっちつかずで歯痒く感じました。
期待してたベクトルとは違いましたが、映画館でも楽しめました。
ただここまで大絶賛されるレベルのものではないです。
娯楽作品としては楽しめるアニメでした。