「イーストウッドリスペクトとモノマネをはき違えている!!」マークスマン バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)
イーストウッドリスペクトとモノマネをはき違えている!!
午後のロードショー案件なんて言われるようになってしまったリーアム・ニーソン映画。今回も間違いなく、その類である。
簡単に言うと、地上波で放送されていれば、何となく観るけど、劇場にまで足を運んで観るものか……ってことを和らかく表現しているだけだ。
監督のロバート・ロレンツは、以前は『グラン・トリノ』『アメリカン・スナイパー』などクリント・イーストウッド組として活躍していた人物であるが、今回の内容が正に、イーストウッドみたいな(特に近年の)作風である。
同じく2022年1月に公開される『クライ・マッチョ』もメキリコから国境を越えて、アメリカに子どもを連れてくる物語であるし、メキシコの麻薬カルテルや人身売買なんていう、メキシコが舞台とされるものではもれなく付いてくるような設定を堂々とやっていて、そこにリーアム・ニーソンがキャスティングされているものだから、B級感が増して仕方がない。
それでも絶賛できるような大きな裏切りがあれば…..と思ったが、案の定な展開の連続であるし、メキシコの治安の悪さは置いておいても、頑固な老人と少年の絆や友情というのも、イーストウッドのみならず、様々な映画で使い倒されている設定なだけに、もはや設定とキャストでは全く魅力が感じられないと思っているのは、私だけではないはずだ。
変に長い尺を使って少年とのドラマを入れているものの、神を信じる少年と、神など信じない男の温度差も中途半端。薄いドラマ部分に尺を使いすぎて、アクション映画としても画的に退屈。爆発なんかも控えめで、地味な銃撃戦をするリーアム・ニーソンが観られるだけだ。
イーストウッドへのリスペクトは凄く伝わってくるのだが、リスペクトと似たモノマネ作品を作るのは別問題。テイストは違うがライアン・ゴズリングの監督デビュー作『ロスト・リバー』がニコラス・ウィンディング・レフンのモノマネだったのを思い出した。
どういう経緯なのかはわからないが、ガソリンスタンドのシーンで『アイス・ロード』でも共演したアンバー・ミッドサンダーが店員として3分ぐらい登場するが悲惨なことになってしまう。それが一番ショックだった。
これは日本だけに言えることかもしれないが、ビジュアルデザインが『ファイナル・プラン』に似ているのも問題で、『アイス・ロード』が『スノー・ロワイヤル』にビジュアルを似せているのもそうだが、何故ダメな映画に似せようとするのだろうか……。