「シネフィル系映画オタクの品のある小津オマージュ」アフター・ヤン 冥土幽太楼さんの映画レビュー(感想・評価)
シネフィル系映画オタクの品のある小津オマージュ
本作のコゴナタ監督はvideo essayという、映画監督の映像から様々な作家性を分析するという動画を何本もつくっていた生粋の映画オタクである。
そこでは小津安二郎、ベルイマン、ヒッチコック 、ブレッソン、ゴダールなどの大巨匠の作品を取り上げており、彼の作風もそれらの作品を土台とした映画の美学が通底していることがわかる。
特に小津への敬愛は相当なもののようで、
本作でも何回かその片鱗をみせていた。
しかしそれもこれ見よがしなオマージュでは一切なくて、さりげなく品がある。
家族愛というテーマ、定点カメラや建築などの空間へのこだわり、細やかな小津イズムが感じられる。
サントラは日系アメリカ人のaska matsumiya氏が手掛け、リリィシュシュのカバーソング、UAの水色などが使われており、テーマソングは坂本龍一に頼んだりと、日本オタク的な側面もみえて、映画、音楽マニアとしてはそういうマニアックな楽しみ方もできる。
意外だったのはオープニングのダンスバトルで、彼の作風的に考えられないようなテンションだったので、あのようなこともできるのかと伸びしろのようなものを感じた。
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