「歴史と近未来を融合させた哲学的な余韻に残る作品」アフター・ヤン あささんの映画レビュー(感想・評価)
歴史と近未来を融合させた哲学的な余韻に残る作品
景色やインテリア、音楽が(とくにチェロが良い)美しく、ずっと眺めていたい心地よさがこの作品にはある。
ヤンの断片的な記憶をかき集めて紡がれる、“家族愛”とあらゆるメッセージ。ここを観るものがどう解釈するかが、本作の評価の分かれ道かと。
そもそもこの家族は父は西洋人、母は黒人、そして中国人の養女、AIの兄で構成されていて、国も文化も人間、テクノロジーさえも混在している。ボーダレスで現代社会におけるテーマや“家族とは何か”が織り込まれている。
きっと数十年後はこれに近い感じになるのだろうけど、中には劇中で老子の話やお茶の歴史なども語られていて、近未来だけを描いてはいない。
文化テクノロジーだって恋愛感情を持ち、愛も知る。そして自身の“死”や生きることの意味を考えたりするのだと…。
久々のA24が手がけた作品、スタイリッシュでいて、アート要素もたっぷり散りばめられている。
もう一度見たい作品だ。
コメントする