「再生不能となったロボットのメモリー(記憶)を辿る」アフター・ヤン ゆみありさんの映画レビュー(感想・評価)
再生不能となったロボットのメモリー(記憶)を辿る
ロボットが故障し修複が不可能という事実を突きつけられた時、共に過ごしてきた家族は人間の死として認識する。そしてそのロボットに埋め込まれたメモリーチップからロボットの記憶(?)をたどり、ロボットとの深い絆を再認識し、改めて悲しみに暮れる。人の死を扱うように、静謐な映像はたんたんと流れていく。観るものは自分の大切な人の死を思い出す。また、これから訪れるだろう大切な人の死も考えるだろう。人が生きているうちに脳内の記憶を残すことができないかと考える人もいるのではないだろうか。そういう時代がいつの日か来るかもしれない。実際、死んでしまった僕の大切な人はどんな記憶を残して亡くなったのだろう。僕はそんなことを考えながら、死をテーマにするかのようなこの静かで重いSF映画に浸った。
コメントする