「真相が見えそうで見えない」ブラックボックス 音声分析捜査 bionさんの映画レビュー(感想・評価)
真相が見えそうで見えない
これぞミステリーって感じだね。最初は、誰でもわかるミスディレクション。イスラム過激派のテロだったら話が終わってしまう。ここからが本番。二重三重にミスリードされ、真相が見えそうで見えない。マチューが真相にたどり着くまでもドキドキだけど、たどり着いた後にも、もう一波乱が。心臓バクバクMAX。
マチューは、音声分析にかけては神の耳を持っている。プロペラやエンジンの音を周波数レベルで聴き分けることができる。謙虚だったらいいんだけど、傲岸不遜で、協調性がない。
こういうエンジニアいるんだよね。一緒に仕事したくない。当然、マチューの同僚も快く思っていない。
なので、マチューには感情移入することはないんだけど、この作品、音へのこだわりがすごい。ボイスレコーダーに残された明瞭な音、かすかに聞こえる周囲の音、分析システムを通じてマチューの鼓膜に到達する音の波を体験できる。音響施設がいい劇場で鑑賞しないともったいない。
ボイスレコーダーだけでなく、ドライブレコーダーも真相への手がかりとなる。音と映像をふんだんに使い、よく練られたミステリーで、とても満足な一作でございました。
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