クーリエ 最高機密の運び屋のレビュー・感想・評価
全31件中、21~31件目を表示
予習なしでも楽しめる
あわや核戦争という歴史の鉄火場を舞台にしたストーリー、ものすごくヒリヒリする。どこまでが本当のことかは分からないけど、キューバ危機を二人の男と家族の人間ドラマに落とし込んでくれたので、私みたいな不勉強な歴史オンチでも難なく面白がれた。
命を賭けた信念と友情のドラマで、捕まった後のペンコフスキーとウィンの再会シーンは泣ける。処刑という結果は同じでも、あの情報を知って死ぬか、何も知らされないまま死ぬかは大違い。それが大違いになるのが人間という生き物だなあと思ったり。
ベネディクト・カンバーバッチが本当にすごいし、ジェシー・バックリーの気丈な妻役もよかった。ペンコフスキー役のメラブ・ニニゼの表情も見ごたえがあった。彼が演じた焦燥も諦観も覚悟も、やりすぎてないけどドラマチック。
目玉スープは何の目玉なんだろう。DHAは多分に含んでそう。気持ち悪いとかの前にとにかく不味そうなのが見事というか。私ならハムを見せられて1秒ももたずに陥落してる。
スパイ行為のスリリングなシーンはしっかりエンタメになっていたし、全体に画づくりもかっこよくて、上質な映画にありつけたなーという満足感でいっぱい。監督の次回作はミュージカルを下敷きにした作品らしくてこれも楽しみ。
平和な世界を守る配達人
公開二日目の夕方の回
チケット買おうと思ったらほぼ満席
この手の映画で満席、流石カンバーバッチ効果かと思ったが女性は2割ほど
何故ここまで人気なのかは分からない
いつもより緩い体型の主役が冴えないサラリーマンを演じるも、どうしても敏腕スパイに見えてしまう
この体型が後の伏線に
音楽は緩やかなのだが何故か漂う緊張感
画作りやキャストにも妥協がなく
50年代末からキューバ危機までの、大国のチキンレースで世界が破滅に向かっている時代の雰囲気を魅力的に描いている
いざ亡命作戦開始となり、ハリウッド映画なら息をつかせぬカーアクションで最高潮に持っていくのだろうが、イギリス映画の脚本ではそんなに上手く事は進まずあっけなく全員拘束
その後の監禁生活でみるみるやつれていく主人公
そうか、これはカンバーバッチの減量チャレンジ映画だったんだ
ラスト近くに主人公とソ連側の協力者が取調室で再開するシーン、
実際にあのやりとりがあったら主人公が帰国することはできなかったと思われるので脚色なのではないかいと思うが、
政治家ではなく市井の一個人の正義感や勇気が世界を破滅から救うという頭の下がる映画だった。
彼らが守ってくれた平和な世界を私たちは当たり前と思わず大切にしていかないといけない
よかった
冷戦下のソ連は怖いもの見たさでワクワクする。あんな感じで行き来するのは楽しそう。
東西を超えた熱い友情と信頼が描かれている。モンタナでカーボーイ生活をさせてあげたかった。
それほど過酷な暴力は描かれないが、充分骨身に応えそうな収容所ぶり。特に毛布を取り上げられて切れるのは、本当につらそう。
最後のご本人登場は、明るい人柄がうかがえる。
ただちょっと眠くなるところもあり、嘘くさくならない範囲でもうちょっとハラハラしたかった。
スパイに仕立てられた男の物語
政府にスパイに仕立てられた男の奮闘劇。
この物語、スパイをさせられたサラリーマンの逃げれない人生かと思いきや話が進むにつれ、立場は違えど互いに未来を描こうとする2人の男の友情物語であることがこの作品の裏にあることが語られます。そして最後の2人の会話に目頭が熱くなるものを感じました。
当時のイギリス、ソ連、アメリカの事情等も随所に見え隠れすることで、情報がこの様に取得されてたといった史実の確認も出来、良かったです。また政府と個人のそれぞれの考えの違いや、後半に掛けてサスペンスの緊迫感も増し面白かったです。
この物語、史実を元にしてるのですがその史実を知らないで見た方が楽しめると思います。
ソ連の痺れる恐怖
無事に亡命したら、どうする? との問いかけに、 GRUの大佐は答える。
『モンタナに行ってカーボーイになる』
もう、その答えで、映画ファンなら『レッドオクトーバーを探せ』でショーン・コネリーとサム・ニールのシーンが暗示されて、密やかな宣告を受けるだろう。
このロイヤル・シェークスピア・カンパニー出身の監督ドミニク・クックの映画ファンをくすぐるサービス精神に驚かされるのは、それだけでない 役者の充て方 メラーブ・ニニッゼもジェシー・バックリー も、見事に変身していて、 水を得た魚のように名演をしていた。
そして、あの収容所のジワジワする冷酷さ 寒い国から帰ってきたスパイの国の映画スタッフは未だに世界一のスパイ映画を作ると感嘆した。
【脱線王】史上最高のファースト・レディ
感想文のタイトルが、いきなり映画から脱線してるんですがw
「キューバ危機」と言うと、記憶に残る最も衝撃的な人物は、ケネディ大統領夫人であるジャクリーンなんです。高高度偵察機U-2のキューバへの偵察飛行で、準中距離弾道ミサイル1基、中距離弾道ミサイル3基の存在が確認された後、ホワイトハウスは、後にエクスコムと呼ばれることになる国家安全保障会議執行委員会を立ち上げ対応の協議を開始します。しかしながら、結論を得るには至らず、協議は紛糾。最悪の事態をも覚悟した警護担当のクリント・ヒルは、大統領夫人であるジャクリーンに状況を打ち明け、その時が来たらホワイトハウス内の核シェルターへの退避の説明をしようとした、その夜。ヒルの言葉を制して、ジャクリーンは毅然として言い放ったとされています。
「核シェルターへの避難を求められた時、私が取る行動について、あなたに知らせておきます。私はキャロラインとジョンJr.の手を取り南庭に出ます。兵士の様に、そこに立ち、全てのアメリカ人と同じ運命に立ち向かいます。」
いや、あなた立場考えて下さいよぉ。って言いたくなりますけどね。鳥肌もんですし、ファースト・レディの決意たるや。歴代の大統領は、この言葉を噛みしめて欲しい。
映画の話に戻りますと。
物語の主役は、運び屋のグレビル・ワインですが、歴史を変えた仕事をしたのは、GRU大佐オレグ・ペンコフスキーであり、核戦争の回避に、彼が提供した情報も寄与しているのは間違いありません。
◆アナルディ作戦
1962年のソ連・キューバの軍事協定後、キューバには秘密裡に大量の物資と要員が運び込まれます(アナルディ作戦)が、アメリカは「まさか核兵器が持ち込まれているはずはない」と捉えていました。実際には、60発の弾道ミサイル、42機の爆撃機が搬入済み。ただし、この時点では肝心の「核弾頭」はミサイルに装着されておらず、ミサイル基地にも搬入されていませんでした。
多数の貨物船の出入りを不審に思ったアメリカは、偵察機を飛ばし続けますが、CIAは、制裁を受けているキューバへの支援物資と言う結論付けを繰り返します。
この段階で、キューバに核ミサイルの配備計画がある事を確信しているものは、CIAの中にはいませんでした。ただ一人、長官であるマコーンだけは、その疑いを持っており、そこに「キューバにおける諜報活動で得られた情報」が届きます。サンクリストバル一帯に、ただならぬ質量物が搬入された情報を受け、U-2偵察機による偵察飛行を実施。
ペコンフスキーが提供した見取り図・仕様書に記載されている寸法・質量、と、キューバからの情報、偵察飛行による写真を突き合わせて分析を行い、CIAは「アメリカ本土を攻撃可能な弾道ミサイルがすでに配備済みである」と結論付けます。
映画では、ペコンフスキーがミサイル基地の位置がわかる地図を入手したと描写されていましたが、場所の情報はキューバ国内の諜報活動で得たものと見られている、と言うのが史実です。無論、そこにミサイルがあるという推測は、情報解析の結果であり、ペコンフスキーからの技術仕様の情報が無ければ、アメリカ本土に届くミサイルの配備の有無は分かりませんでした。
◆フルシチョフの本音を読む
キューバ危機は、最終的にフルシチョフが譲歩したと認識しています。「キューバにソ連のミサイルがあり、それは、アメリカ本土を攻撃可能な飛距離を有したものである」と言う事実に対して、当時、すでにソ連を直接核攻撃可能なICBMを有していたアメリカが、キューバに対して過激な制裁を即発動しなかったのは、ExCOM(国家安全保障会議執行委員会)におけるリュウェリン・E・トンプソン(当時国務省のソ連問題担当顧問)の発言と提言があったからです。「フルシチョフに交渉の機会を与えるべき」。ペコンフスキーなどのソ連から収集した情報を分析していた彼らは、「フルシチョフは何らかの取引を目的にミサイルを配備した」と考えていたからです。
この提言が無ければ、一気に空爆と侵攻に傾き、少なくともソ連領内からトルコ・西欧のアメリカ軍核ミサイル基地への攻撃は、不可避だったでしょうから。
1962年10月28日、ワシントンD.C.のソ連大使館は、ケネディが開戦を決意したとの誤報をクレムリンに発しますが、フルシチョフはミサイルの撤去を発表しました。冷静になり譲歩したんです。
キューバ危機の教訓は、その後のアメリカの外交戦略に活きています。
常に、じゃないけど。
結局、脱線したままになったけど、十分に長文になったので終わりです。
映画は、とってもリアルで、怖くて、満足の行くクオリティでした。
良かった。
同ジャンルの過去作と比較しても、上位に入るレベルだったと思います。
それは世界を救うビジネス
クーリエ
小口の荷物や書類を海外発送するための「国際宅配便」
航空便を使用した配送サービスの一種
本来は外交官業務の一環で
外交文書を本国と各国の大使館・公使館等の間
あるいは大使館・公使館相互間などで運搬する業務のこと
1960年第初頭の米ソ冷戦がピークに達し
米国の若き大統領ジョン・F・ケネディ
ソ連の脳筋書記長ニキータ・フルシチョフ
宇宙・核兵器開発の過熱と共に両勢力の核戦争への
カウントダウンは始まっていると言われた時期は
スパイの応酬だったようです
そんな情勢下でソ連の高官オレグは
フルシチョフの暴走を危惧し核戦争を回避する
ため内部文書をアメリカへリーク
アメリカはイギリス諜報機関を経由し
オレグの情報を得る手段として
何も知らない英国人ビジネスマン
グレヴィルに真相を知らせぬまま仕事として
カフスボタンを目印にオレグに接触させます
グレヴィルとオレグは予想以上に馬が合い
グレヴィルは真相を知らぬまま最初の仕事で
外される予定でしたがうっかり知ってしまい
最初は怒りますが自分のした事の重要性
オレグの亡命の可能性などを心配し
「仕事」を継続することになります
奥さんに(前科のある)浮気を疑われてもやめません
しかしその情報により
ソ連の核兵器開発は遅れている事などが
判明していきます
(世界の諜報活動史上最も有益な情報だったと
言われているそうです)
そんな間にソ連はキューバにミサイル基地を設置
した事をアメリカ政府が察知
互いに銃を向けている状態の一触即発状態
両国の緊張感はピークに達する中
最後の仕事でグレヴィルはオレグの亡命も
手伝う事になりますがKGBに計画はバレて
おりオレグもグレヴィルも投獄されてしまいます
グレヴィルは獄中で自分のしてきた事に
後悔があったのかなかったのか
ただ希望は捨てずに
本質的な情報への関与の否定を貫き
オレグの事も漏らしません
半年後に(真相を知った)妻との接見が
認められキューバ危機が回避された事だけ知らされ
オレグが望んだ事が実現した事を知り
同じく獄中にあったオレグにそれを
大声で伝えるのでした
オレグは処刑されますが
グレヴィルは人質交換によりイギリスへ
その後帰ってこられるのでした
その後アメリカとソ連の間には
ホットラインが結ばれたのです
カンバーバッジ特有の変わり者キャラが
徐々に首を突っ込んでいったグレヴィルの
微妙な気持ちを上手に表現していたと思います
スパイものといっても007のような
決して派手さはありませんが
60年代のクレムリンの雰囲気など
よく世界観が出ているビジュアルで
入り込むことが出来ました
こうした冷戦下の話はWWⅡに比べると
少ないですがこれから増えてくるのかも
しれませんね
義理人情
評判も上々、予告も面白そう、ということで鑑賞。
全体的に飽きることなく見れたのですが、なんでしょう超面白い!とまではいきませんでした。もちろんベネディクト・カンバーバッチの肉体改造や表情の作り方などはさすがだなと思ったのですが、登場人物たちの現在地が分かりにくいなと思いました。割と物語はスローに進んでいくのですが、モスクワに行っているのか、祖国にいるのかが分からず、少々混乱してしまいました。
終盤の拷問シーン。現実はもっと悲惨なものなのでしょうが、脚色された今作の拷問シーンもなかなか辛いものだと思います。そこを逃げずにキチンと描いた点はとっても評価できます。ウィンとアレックスの男同士の堅い友情もしっかりと確認でき、ラストのシーンに繋がっていくのも非常に熱いです。
核戦争を食い止めたのが一般人という事実にも驚きましたが、映画館でとてもしっかりしたスパイ活劇を見れたのはとても良い経験だったなと思います。ただ、自分はあんまりでした(^_^;)
鑑賞日 9/24
鑑賞時間 17:50〜19:55
座席 H-8
カンパーバッチのラストの役者魂は驚くけど
うーむ。後半30分は画面に目が釘付けになるが、それまではどちらかというと静かな展開で緊張感を感じられない。
てもその監禁シーンも他の映画でよく見る光景だけど。
画面が変わる毎にそこが、ソビエトなのか?イギリスなのか?アメリカなのか?良く分からんし、どんな機密を流していたのか分からないので、エンタメ要素が無く盛り上がらない。
まあ、意識してそういう作り方をしてないのだろうけど。
キューバ危機を回避した男達を世間に知らすべく作った社会派映画という感じ
大国同士の冷戦状況は、遠い昔の話となった。
アメリカとソ連が対立していた1960年代初期が時代背景となっている。正直なところ、ソ連が崩壊して30年が経過した。冷戦下の緊張感が私に伝わってこない。まだ、ヒトラーやスターリンが健在だった頃の話の方が緊張感を持つことができる。
私が平和ボケしてしまったのか?
現在もアメリカ・ロシア・中国は対立しているが、核戦争を選択するとは思えない。大国同士の冷戦は終わり、現在はテロとの戦いとなった。
主人公のカンバーバッチがKGBに逮捕されてからが、本当に面白くなった。上映開始して1時間半は前振りだ。また、カンバーバッチも減量して、熱演している。
第二次世界大戦中、ヨーロッパの駐在武官で諜報活動をしていた日本陸軍の小野寺少佐は、連合国側もその活動を評価している。アメリカの原爆開発やソ連参戦という最重要事項の機密情報を大本営本部に送っていた。彼が諜報活動で一番心掛けていたのが人との信頼関係の構築であり、そのことがこの映画でも描かれている。
余談だが、CIAのエージェントを演じている女優さんは、歌手のオリビア・ニュートンジョンに似ていて美人だ。
最後、ウィンが運んだものに
胸が熱くなりました。
ペンコフスキーが命を賭けて、何を成し遂げたかったのか。
我々観客は彼の目的が正しいものであると、今だからこそ確信を持って言えるわけです。
だからこそ私はウィンがペンコフスキーに吉報をもたらすシーンに胸が熱くなってしまいました。
史実物、スパイ物としても王道ですし、私自身は友情物語として惹かれました。
何気なく映る食事演出もさりげなくグッドです。
この手の映画だと、史実描写やアクション描写、愁嘆場などをモリモリにしがちな所を、抑え目にし、2時間を切る尺に収めるタイトな語り口も良いです。
両国政府や無謀な指導者達に対する、一歩引いた目線、何なら批判的な目線も好感です。
また、主演のカンバーバッジと、もう1人の主演であるニニッゼ、この2人の演技アンサンブルの味わい深さだけでも、この映画を見る価値は十分にあります。
本作の時代背景は冷戦時代ではありますが、作中から伝わる切迫さ、核の脅威は、中国や北朝鮮に脅かされつつある現代の日本においても無縁ではないでしょう。
2人の主役をはじめとする登場人物に胸を打たれるのは、こうした事情もあるのかな。
この作品の情景が今日的なものとも言える状況は残念としか言いようがありませんが…。
全31件中、21~31件目を表示