「ちょっとシリアスに展開し過ぎかな」彼女が好きなものは つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっとシリアスに展開し過ぎかな
いくつかレビューを読むと、神尾楓珠の演技力不足により安藤の苦悩が描ききれてないとあった。
物語序盤に良いと感じたところは、同性愛者である安藤が悩んでいなかったことだ。(終盤に結局悩んでいる描写があるが)
少し前に、同性愛の方が書いたある記事を読んだ。その方は漫画だか脚本だかを書く方で、同性愛者を主人公にした同性愛関係ない物語を書いたそうだ。
すると、編集だかプロデューサーだかに「ゲイなんだから苦悩させないと」と言われたという。
その方は「何で?」と思ったと語った。私もそう思う。同性愛者だから苦悩しているはず、苦悩するはず、というのはヘテロセクシャルの願望だ。
戦争映画なんだから反戦メッセージのはずという思い込みと同じだ。
ゲイの苦悩を描けてないから日本は遅れてるという意見も目にした。これもどちらかといえば逆な気がする。
同性愛者が主役級で登場する映画で、そのことで悩んでいる作品は1割くらいだろう。
つまり、苦悩している作品のほうが遅れていると言えなくもない。
もちろん同性愛者の苦悩をメインにした作品もあるので、それはそれでいいが、本作はそのカテゴリではない。もっと単純な青春の物語だったように思うし、BL漫画と実際のゲイは違うってところを絡めた成長の物語だった。
話を元に戻すと、ゲイに告白するも、そもそも女の子を好きじゃないからノーチャンスっていう、コメディみたいな作品を期待していたわけで、どちらかというと前半は中々良かったけれど、結局悩み始めた後半のほうがイマイチに感じた。
とはいえ、全体としては中々面白かったのではないか。はしゃぐ山田杏奈が良かった。