「モヤモヤが消えない青春映画」彼女が好きなものは バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
モヤモヤが消えない青春映画
評点が高く気になっていた作品。上映終了日どうにか間に合い鑑賞。もちろん原作は未読ですし、これまでにテレビドラマにもなっていたそうですがそちらも未見です。で面白かったのですが、観賞後すごーーーくモヤモヤしているんです。すごーく葛藤しているんです。
この軽い描き方ってどうなのか?ってことです。
青春映画です。本作。同級生に同性愛者が居る青春映画です。青春映画のテイストそのままに性の悩みを持つ主人公や周辺の人たちが描かれます。LGBTを題材にした物語は(あくまでも僕が観てきた作品は)深刻な物語がほとんどでした。考えなくては、理解しなくてなならないことだという意識が高まりました。しかし、深刻ゆえに敬遠されやすい作品であったかもしれません。深刻な話は決して娯楽作品ではないからです。ということは多くの方に知ってもらうことは難しいのかも?
ですが、本作は「さらり」と描いています。もちろん適当に描いているというわけではありません。ですがオールオッケー展開なのです。主人公の周辺が奇跡的に理解ある人々でいい人だらけなのです。ゆえにエンタメ青春映画に仕上がっていますから深刻な気持ちにならずに知ることはできるのではないでしょうか?こちらの方が多くの方に知ってもらえるのだろうか?でもこのような伝わり方で良いのか・・・・?
わかんないなぁ。わからない。どっちが良いのか?
最近鑑賞した「パーフェクト・ノーマル・ファミリー」のエマを思い出すと、そんなに簡単に解決できちゃうものなの?思っちゃうのです。明快というよりは複雑なテーマの割にはなんとなーく、なんとなーく、似たようなテーマの金八先生の二週にわたった前後編を見たような、ゴールありきの綺麗なまとまりに違和感を感じてしまっている自分がいるのです。同性愛、命、カムアウトなどがどうにもファッション的に扱っているように見えてしまうのです。「ま、いいよ」で終わることか?それ?????って感じの連続なんです。そんなパラダイスな世界じゃないぜって。作中「実際はファンタジーじゃないぜ」ってセリフがありますが、本作全体は超ファンタジーでは?よいのかな?このパラドックス。
ただ、辛い作品ばかりでは食わず嫌いがふえるだけ。食べやすいものから始めるって大事ですよね。そーいう意味では本作の存在意義はあるかな?なんて思ったり・・・でもなぁ。
あぁ、わからない。ただ現時点ではこの評点ですねー。どうしてもこのテーマを軽く扱っている感じが僕自身受け入れられないのです。いろんなことが上澄ばかりで。いただけない軽さ。
観賞後に読んだ監督のインタビュー記事に、「この映画がLGBTQを描いた映画と言われない日が来てほしい」とありました。言われない日とは世間の意識が変わる日だと思うのですが、監督自身は「LGBTQを感じさせない映画」を作ったに過ぎないのではないだろうか?なんて思ってしまいました。アプローチが違うのでは?なんて思いました。
原作を読んでこのモヤモヤを払拭しようと思います。