「檻の外から動物を見る」彼女が好きなものは よっちゃんイカさんの映画レビュー(感想・評価)
檻の外から動物を見る
最近この手の映画を観ると「うわー青春だなぁ」と思っておじさんになったということを自覚させられるという負の循環?に入ってる。
それはさておき、山田杏奈さんがとびぬけて可愛い。
ひらいてとは真反対の性格の女子高生を演じていて「もう僕は彼女の虜だ。」とまで思ってしまう。
それくらいの何かを持ってる。
これから先国民的女優になっていくんだろうなと思った。
脚本自体は2時間で話をよくまとめたなという印象。(原作小説未読だが)
初デートから告白までがゴッソリ飛ばされてるのが気になるが、そこが山田さんの演技力で補完されててすごいなと思った。
特に、冒頭から純の性格や境遇、出逢いをテンポよく描いてまとめた手腕は見事。
さらに池袋でのアニメイト→水族館のシーンで三浦のゲイの方々への見方がよく表現されていた。
彼女が作品の中でゲイを見るのが好きというのは檻の外から動物たちが動き回る様子を見るのと同意義であるというのがわかって見事。
僕自身も三浦と純のカップルをいつしか好きになっていたので最後の最後に別れようという話になったのは残念。
だけれどもそういう感情も僕が外から映画の中の彼等を見て思ったこと、即ち檻の外から動物を見ていたんだなと気づいてしまった。
けれども、彼女があれだけ割り切って純の前でBL本の話をしていたのだから僕も割り切ろうと思う。
僕の中の彼等はこれからも良き友達であるんだろうなと思う。
後、前田旺志郎くん演じる亮平が良い奴すぎて「くぅ〜」となった。
何度彼に救われたか。
三浦さん演ずる小野くんも「くそっこいつカッケェな。」と何度思ったかわからない。
登場キャラクターを皆魅力的に描いてたのがすごい。
そして主人公の純。
神尾さんが周りと相入れられない孤独な少年を好演していた。
大人と付き合ってるから周りよりは大人を知ってるような気になるけど、中身はやっぱり子供で自分の気持ちにうまく折り合いをつけられない具合が身に沁みた。
純が病室でお母さんに自分の心情を吐露するシーンは素晴らしい名シーン。
何度この純に泣いたかわからない。
周りと違う自分が嫌で周りに合わせようともするけれどもやっぱり合わせれない自分が嫌で嫌で消えてしまいたい。
そんな気持ちはゲイだろうが腐女子だろうが男子高校生だろうが女子高校生だろうが社会人だろうが誰もが経験したことがあるのではないだろうか。
少なくとも僕は経験したことがあったので本当に号泣した。
【追記】
タイトルも「彼女が好きなものは」と下の句を想像させるようになっているのも良い。
彼女に限らずみんなの好きなものを考えながら見るとまた違った深みが出る。