劇場公開日 2021年12月3日

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「山田杏奈のまつ毛の演技を見よ!」彼女が好きなものは わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0山田杏奈のまつ毛の演技を見よ!

2021年12月4日
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紛うことなき大傑作!!!

ゲイであることを隠している男子高校生とBL好きを隠している女子高生のラブストーリー。これを原作からタイトルを変えたところから偉い。最後のシーンのカタルシスが増しますね。

予告編で何となく話の流れが分かってしまうのですが、そこに決着させるか…という。余韻バッチリのラストカット&エンドロール明け。本当に素晴らしかった。

何より山田杏奈でしょう。「ひらいて」に続いてとんでもない演技。特にまつ毛の動かし方で感情を伝えてくるシーン。素晴らしい女優さんです。前田旺志郎さんも「うみべの女の子」に続いて当て馬適性を遺憾なく発揮していました。

ただのBLものとかラブストーリーではないなと思ったのが、ゲイでありながら結婚や育児に憧れているという点。高校生だから、ゲイ同士で養子等を使って子育てする発想には至ってないけれど、彼自身の苦しみがよく伝わってくる。

そして、当事者性にフォーカスが当てられていた点。とある展開のあとのホームルームのシーンは意図的に観客に課題を突きつけてくる作りになっている。この人たちが幸せなら良いじゃんではなく、社会構造や通年を重すぎずぶつけてくるのが素晴らしかった。

だからといって、マイノリティだからと甘やかさないキャラクターも見事に配置されている。また、同じシーンを別の登場人物がどう捉えていたかを見せるシーンもある。一つひとつの描写がとにかく丁寧だった。

強いて言うなら、今井翼の役柄は普通に不純行為にあたるよなーせめて大学生とかにしておけなかったかなと。家庭持ちということがポイントということも分かるので好みの問題でしょう。

未成年の主張シーンは、「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」や「サマーフィルムにのって」に匹敵するカタルシスでしたね。それで最後の駅のシーンですよ。素晴らしいです。

わたろー