「繰り返し見たくなる魅力的な映画」彼女が好きなものは やまあんさんの映画レビュー(感想・評価)
繰り返し見たくなる魅力的な映画
山田杏奈さんのファンなので鑑賞しました。ネタバレあります。
舞台挨拶を含めて3回見ました。繰り返し見たくなる素敵な映画です。
山田杏奈さんは「ひらいて」の愛ちゃんに続いて表現が難しい役でしたが、素晴らしかったです。
ただし「山田杏奈かわいい」だけではレビューにならないので、あえていろいろ書きます。
まず原作を読んで、結局は男性が書いた小説だな、という印象を受けました。視点が主人公の男性目線から動かないんですね。三浦さんは安藤くんの成長(大人になるための通過儀礼?)のためだけに登場したのかな、と思いました。
でも映画は三浦さんの視点からの景色や心情も丁寧に描写されていて良かったです。体育館で演説するシーンとか。
ただし三浦さんが安藤くんを好きになった理由が少し弱いかと。本屋で出会う、秘密を共有する、急接近する、という感じです。三浦さん自身も同性愛で悩んでいて、異性を好きになりたくて安藤くんで試した、というのなら対等な関係だと思いますが、そうではないんですね。
それと小野くんが三浦さんと安藤くんの会話を盗み聞きして、体育館で亮平くんに伝えただけで、クラス中どころか他学年にも噂が広がっているのは少し無理があるかと。いくら小野くんがクラスの中心人物でも、良くも悪くも無関心だったり輪に入れない人もいると思います。
100パーセント完全に他者を理解することは可能なのか、という問いをこの映画に勝手に見出していたのですが、三浦さんは安藤くんを理解したいと思い、安藤くんは三浦さんを理解したいと思っているので、その分かり合おうとするプロセスが大切なのかな、と思いました。
最後は「遠距離は無理」という非常に現実的な理由で別れてしまいますが、「BL星」という架空の世界に逃げ込むのではなくて、ちゃんと「地球で暮らす」みたいなセリフがあって良かったです。
ふたりともこれからも現実世界で生きていかないといけないですもんね。摩擦も空気抵抗もゼロにならない現実で。ゼロにして世界を簡単にして分かったフリをするのは楽だけれども。
3回見た時点では、まだ全ては理解できていないです。込められたメッセージは深いと思います。
でもあまり深く考えずに何となく見るのも全然アリだと思います。
いろいろ書いてますが、間違いなく見る価値のある映画です。
とりあえず、とにかく、オススメできます。
「ウンチマンZ」の落書きはともかくとして。