「主張の強さ」彼女が好きなものは Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
主張の強さ
前半は心に響くものがない不思議な映画なの。
展開はすごいんだけど、登場人物の心情に寄り添えなくて、なんだかただ見てる感じ。
主人公はゲイなの。でも「普通に結婚して、家族を持ちたい」って悩んでるのね。
そんなときにBL好きのヒロインに会って、ヒロインが主人公を好きになって、主人公は「この子となら、普通の生活ができるかも」って、好きでもないけど付き合うの。
この決断が最悪だよね。人間を手段として扱うとは何事かっていう。
そうせざるを得ない主人公の「普通になりたい」って強い想いがあるんだけど、そこが入ってこないんだよね。だから「こいつ最悪だな」という感じで見て、心に響かないの。
でもヒロインにゲイであることがバレて。それだけなら良かったんだけど、それを聞いていた同級生が、ちょっとした事情があったために「お前、あいつがホモだって知ってたのかよ」と体育館で叫んでしまい、全校に主人公がゲイであることがバレます。
この体育館で叫んじゃう展開も無理があったなあ。まあ、分かるけど、作者の都合の方が強いよねっていう。
そしてこの映画は、ここからが面白いの。
心情をそんなに細かに描いてこないけど、「ゲイについてどう考えるか」っていうところで、みんなが主張を出してくるのね。そこが面白い。
観てて、色々と思ったけど、前半で感情移入できないのは、ゲイのラブシーンに気持ちが入っていかないのもあるんだよね。男二人の絡みを観て「いいなあ、愛し合ってるなあ」ってならないの。
だから主人公の悩みにも寄り添えなくて。頭では分かってるけど、心が付いていかない。作中でも「いざとなったら、みんなキャラみたいに扱ってたろ」みたいな台詞があったけど、そうなんだよね。ここを「そういうことか」って分からせる表現があったらいいのに。
山田杏奈は超絶美少女封印だね。この役は「そんなに可愛くない女の子が頑張ってる」っていう役だった。まだ演技が付いていかないけど、もう少しかも知れないから頑張って欲しい。