「「シネマ de 刑事訴訟法」としても優れた一本」モーリタニアン 黒塗りの記録 talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
「シネマ de 刑事訴訟法」としても優れた一本
〈映画のことば〉
「両親や親戚と七面鳥を食べたいなら、出ていって。疑念を抱いたまま弁護しても勝てない。私の時間を無駄にしないで、出て行って。」
〈映画のことば〉
「無実を信じていないなら、なぜ弁護する。なぜ、わざわざ悪党を助ける。」
「弁護される権利はある。」
刑事訴訟では、公訴官(日本では検察官)と刑事弁護人とは、刑事被告人の有罪を求める側と無罪を求める側ということで、いわば敵対関係として語られることが多いと思いますが、本作のような作品を観ると、公訴側と弁護側とが協力して事件の真相を解き明かそうとするのが、刑事訴訟手続の本当の理念であることが良く分かります(訴訟という場において、起訴状に記載された罪の成立及び求刑が妥当であることを主張するか、無罪…あるいはより軽い罪・量刑を主張するか、その立ち位置の違いだけ。)。
その意味では「シネマ de 刑事訴訟法」という観点からも、優れた一本だったと思います。
(追記)
まったくの余談ですが…。
本作では9.11同時多発テロに絡むアルカイダの一派の訴追をアメリカ軍が担当していることを、最初は奇異に感じました。
しかし、さすがに公判請求(起訴)まではできないものの、日本でも、自衛隊に対する犯罪は自衛隊(警務隊)も捜査ができますから、アメリカの場合は、そういう犯罪については軍隊が起訴までできるのかも知れないと思い直しました。
本作は、いわゆる実話モノということですから、その点にも脚色はないと考えていました。
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