劇場公開日 2021年10月29日

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「モーリタニアン人は無実か?テロ予備軍か?」モーリタニアン 黒塗りの記録 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5モーリタニアン人は無実か?テロ予備軍か?

2022年6月21日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

2021年(イギリス)監督:ケビン・マクドナルド。

2015年。一冊の本が出版されました。
「グァンタナモ収容所 地獄からの手記」
著者は9・11の協力者を疑われたモーリタニア人のモハメドゥ・ウルド・スラヒ。
黒塗りだらけなのは、彼を救うために奔走した弁護士ナンシー・ホランダー(ジョディ・フォスター)が
請求したモハメドゥの調書が、黒く消されてほぼ読めなかった事を、皮肉ったのです。

9・11以後、キューバのアメリカ軍基地に併設されたグァンタナモ収容所。
人間の尊厳を否定する拷問が行われたことで有名ですが、幾ら政治犯でもテロ予備軍でも、
人間としての最低限の人権は守られるべきなのでは?

ましてモハメドゥは無実の可能性がとても高かったのです。
不屈の弁護士ナンシーの心血を注いだ努力。
起訴する側のスチュアート中尉(ベネディクト・カンバーバッチ)ですら、
黒塗りの調書にアメリカ政府の違法性を感じるのでした。

まあ本当に想像を絶する長さの拘束・拘禁。
水責め、3日間も寝せない、同じ無理な姿勢を6時間も続けさせる、酷い拷問でした。

その拷問を積極的に認めたラムズフェルド。
そして正義の人のような顔をしたオバマ前大統領も、同じ穴のムジナ。

この告発の映画はBBC制作のイギリス映画なのも皮肉ですね。
原作に惚れ込んだベネディクト・カンバーバッチが一番に映画化を望みました。

ただし、収容されていてその後に自由の身となった収監者の13%が、
テロ活動に戻ると言った、ショッキングなデータがあるのも事実です。

過去鑑賞

琥珀糖