「権力の横暴」モーリタニアン 黒塗りの記録 T Aさんの映画レビュー(感想・評価)
権力の横暴
いつの時代でも権力の横暴は発生する。
実は日本では、当たり前のように発生している。
自白しない容疑者が、裁判も経ずに長期間勾留されるのは日本では日常茶飯事であるという事実を日本人はしっかりと認識すべき。
悪名高い「人質司法」である。
無実の人も、検察が勝手に描いたストーリーに乗せられ、ひたすら長時間の取調べを受け、それを認めなければ延々と勾留される。
さすがに日本では映画のような拷問はないと信じたいが、しかし日本は「取調べに弁護士の同席が認められない」という先進国にはあるまじきルールとなっており、さらに取調べの録画もひと握りの事件にしか適用されないから、実際には拷問が行われている可能性も完全には否定できない。
少なくとも「自白すれば帰れるぞ」「自白しないと職を失うことになる」「家族にも迷惑がかかるぞ」等の精神的拷問は間違いなく行われている。
この映画のような話は、アメリカの、テロ犯罪という特殊な一部の世界だけの話ではない。
実は日本でも起きている話なのである。
アメリカ政府は謝罪していないと映画のラストで紹介されていたが、日本も同じ。
冤罪事件が確定しても、検察も裁判所も、謝罪など一切しないし、誰一人責任を負わない異常な世界がある。
日本でも冤罪事件は山ほどある。
是非日本の映画人にも、この問題を投げかける映画を製作して欲しいと思う。
冤罪で苦しんだ人々が出版した本は日本にも山ほどあるのだから。
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