「証拠がなければ、希望もない。」モーリタニアン 黒塗りの記録 ノリック007さんの映画レビュー(感想・評価)
証拠がなければ、希望もない。
日本では、人気のない裁判映画ですが、実話です。
裁判では、証拠の裏付けで必要不可欠です。
映倫区分は、「G」なので、誰でも鑑賞することはできます。
上映時間は、2時間9分ですが、中身が濃く、ずっしりと来る傑作です。
2019年12月3日、安倍晋三首相は、「桜を見る会」の招待者名簿を、野党議員が資料要求した直後に、内閣府が障害者雇用職員に廃棄させていました。
2021年5月8日、黒塗りされた「赤木ファイル」を提出されました。
2021年8月17日、黒塗りされた「ウィシュマ・サンダマリ」に関する1万5千枚を超える資料が提出されました。
日本には、証拠は破棄され、黒塗りされ証拠しかなく、希望はありません。
日本では、証拠と法律に則って容疑者を裁くことはできません。
過去を忘れる者は必ず同じ過ちを繰り返すので、今になっても、同じようなことが繰り返されている今、映画として制作され、公開され、鑑賞するべき映画です。
原題は「THE MAURITANIAN」で、モーリタニア人ということで、モハメドゥ・ウルド・スラヒのことです。
邦題は「モーリタニアン 黒塗りの記録」で、モハメドゥ・ウルド・スラヒに関する黒塗りされた証拠ということです。
邦題の方が、映画をよく表しています。
モーリタニアは、アフリカ北西部にあり、大西洋に面した、イスラム教国家です。
グアンタナモ収容所は、米国と国交がないキューバにある米国軍事施設です。
ソ連がアフガニスタンに侵攻し、米国は反ソ連勢力のオサマ・ビン・ラディンを含むタリバンを支援していました。
2001年9月11日、米国同時多発テロから、20年も経過しました。
若い人は、米国同時多発テロ等を知らない人も多いです。
米国同時多発テロ等については説明はありません。
米国同時多発テロ等については知っていることが前提でストーリーが進みます。
米国同時多発テロ等が理解できないと、この映画を鑑賞しても、理解できません。
米国同時多発テロに関する映画「ユナイテッド93」、映画「ワールド・トレード・センター」、映画「華氏911」やアフガニスタン戦争に関する映画「アウトポスト」、映画「キル・チーム」、映画「ホース・ソルジャー」やイラク戦争に関する映画「フェア・ゲーム」、映画「記者たち 衝撃と畏怖の真実」、映画「バイス」、映画「バグダッド・スキャンダル」を鑑賞して、理解しているとこの映画も理解できます。
特にグアンタナモ収容所での出来事が描かれ、この映画と合わせ鏡のような映画「ゼロ・ダーク・サーティ」を事前に鑑賞することをお勧めします。
この映画が理解できないようであるならば、上記の映画の鑑賞をお勧めします。
最後は、宗教が救いをもたらします。
宗教を理解できないと、この映画も理解できません。
日本で、宗教を信じる人はいません。
ほぼ時系列に沿ってストーリーは進みますが、所々でモハメドゥ・ウルド・スラヒの過去についてのストーリーが挿入されています。
実話映画ですが、登場人物が絞り込まれているので、ストーリーを把握しやすいです。
無罪を主張する困難さと本物のプロフェッショナルを感じました。
スタッフとキャストには、感心させられました。
パンフレットには、スタッフとキャストがこの映画に込める気持ちが書いてあるので、
購入して、読む価値はあります。