「国家の横暴を告発した勇気を伝える」モーリタニアン 黒塗りの記録 Boncompagno da Tacaocaさんの映画レビュー(感想・評価)
国家の横暴を告発した勇気を伝える
9.11の後のアメリカの法治国家であることを忘れたヒステリー的対応が、アラブやイスラム系の無実の人々を迫害した事実を忘れないために、この時点で映画化されたことは大きい。この社会派映画に取り組んだジョディ・フォスターはさすがの名優である。モーリタニア人を助けた弁護士の根気も素晴らしいが、政府の不正を知った後に任を離れた軍の検察官の倫理感にも敬服する。もちろん、アメリカ政府の過失は大変なことだが、こうして法を武器に無実の外国人のためにカネにならない仕事を担う人がいるところはアメリカの素晴らしいところである。この十年間に数々の政府与党の疑惑が証拠不十分で不起訴になった私たちの国は、むしろこの国の法の支配が大丈夫か襟を正すべきだろう。わが国でも政府の都合の悪いことに黒塗り文書の公開は行われている。
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