「自由=許す」モーリタニアン 黒塗りの記録 Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)
自由=許す
モーリタニアン人、モハメドゥ・ウルド・スラヒ(タハール ラヒム)の無実を証明する弁護士のナンシー・ホランダー(ジョディー フォースター)とテリー・ダンカンの功績は偉大な実話だ。ナンシーには自分の生活すらなく思えるし、無実を証明して、人の命を助けるために書類から証拠を導き出すため何年もかかっている。
この映画自体は米国政府の悪の温床グアンタナモ収容所で、無実の人間の命の尊さを証明できる貴重な作品だし、多言語に訳された、モハメドゥ・ウルド・スラヒの手記により、もっと有名になった。でも、果たしてこの映画を2時間以上にする必要があったろうか?どこかを削った方がいいか考えてみたが? 私の心の中で迷いがあり結論付かなかった。
2つばかり感激したことを記しておく。
アメリカ同時多発テロ9.11に関与した疑いで逮捕されたモハメドゥ・ウルド・スラヒThe Mauritanian 。検事スチュアートコウチ(ベネディクト・カンバーバッチ)はモハメドゥ・ウルド・スラヒに対する軍の拷問や長期の隔離、極寒の気温やヘビーメタルを聴かせたり、母親の逮捕だけでなく死を脅かしたりなど、扱いが書かれていた書類を読んで、クリスチャンとして、人として、この場を立ち去し、同意できないから検事を降りるという正々堂々とした態度に好感が最ももてた。裏切り者と後ろ指を刺されながら、職場をさるが、そこには自分が何をしているのかわかっていて、自信が漲っていた。その後、彼は、この仕事を去っても、弁護士として、活躍していた様だ。
モハメドゥ・ウルド・スラヒは裁判すら受けられないまま、グアンタナモ米軍基地で地獄の日々を送っていたが、2009年12月、裁判で法廷へのビデオリンクを介して証言することができた。このシーンも好きだ。
2010年3月、モハメドゥは手紙を受け取り、訴訟が成功したと知ったが、アメリカ政府が訴えたので、釈放されるまでには実際にはさらに7年かかった。それに、お母さんは既になくなっていた。
9.11の後の冬、私は友達にあいにベルギーに行ったが、EU入国はスキポール空港だった。その時の入国管理局での中東系の人々の列は長く、一人ひとりは9.11に関係していなくても、民族でこれだけの不条理があったから、攻撃された米国での軍の取り調べは想像がつくね。