プロミシング・ヤング・ウーマンのレビュー・感想・評価
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ネタバレ厳禁!!だけど…
翻訳物ミステリ好きなら気づくんじゃないかな?
自身ももしやと思いながらの鑑賞。そう数年前、年末恒例ミステリランキングを席巻した『その女アレックス』。オチも含めあれが元ネタなんじゃないかと思えるほど。
ただ、劇中の音楽や印象的な色使い(特に赤)など映画としての楽しさや、男に突きつけてくる問題意識は流石。
最後に自身の恥を告白。
ラストのワンショット、あれを涙だと思い違いして、ヒロインは彼を愛していたんだと涙した私。
すぐここに書き込んで余韻に浸っていたんだけど、調べてみたらあれはウインクらしい。
それだと全く違う意味ですね。
速攻で最初のを削除してこれに書き直し。
無知って怖いなぁ、と再認識させられた(恥)。
最後の逆転がこの作品のテーマを薄めてしまっていると思います
米アカデミー賞で脚本賞を受賞ということで、楽しみにしてました。だから期待度MAX。自分の中でハードルを上げて観に行きました。
う〜ん、思ったより並の作品でした。悪い映画ではないですが、もひとつ心に響きませんでした。
欠点らしい欠点はないんですよね。けど「これはスゲェ!」とか「思いつかなかった!」とか「めちゃくちゃ感動した!」と心を動かされるほどではありません。痛快でもないし、すごく切ないわけでもない。
映画館を出た後、何なんだろう、この腑に落ちない感じは……ってずっとモヤモヤしてました。
で、メモを見ながらストーリーを思い返してみてだんだん分かってきたんですけど、まず思ったのは、主人公にいまいち感情移入ができないという点です。
主人公のキャシーは、毎週、バーやクラブに行っては立てないほど酔ったふりをします。すると大抵、男性が声をかけてきて、一線を越えようとします。その瞬間、彼女は正気に戻り、女性が酔っているのにつけ込んで一発ヤッてやろうとする卑劣な男を懲らしめるのです。
キャシーが何故そんなことをしているのかというと、大学時代、親友のニーナがコンパでベロベロに酔わされて、アルという男にレイプをされてしまったからです。しかもその時、その場には何人もの学生がいて、動画まで撮られてしまいました。ニーナは、その事件を苦に心を病み、自殺に追い込まれます。
だから、酔った女性を引っかけてヤッちゃおうとする男たちを憎むのは分かります。でもニーナの事件と関係のない男を懲らしめるのはちょっと違う気がします。酔ったふりして騙すのも良いやり方と思えないですし、毎週そんなことをしているということにも付いていけません。彼女が毎週、クラブで酔ったふりをするに至った経緯とか理由が欲しいです。
あるいはキャシーがブッ飛んだ人物に設定されていたら気にならなかったのかもしれません。スーパーヒーローかサイコかどちらかだったら、そもそも感情移入できないものとして観るので。でもキャシーって男に媚びない強い女性に見えて、意外に普通なんですよね。
彼女は成績優秀な医大生でしたが、ニーナとともに大学を辞め、今はおそらくフリーターとしてカフェで働いています。彼氏もおらず、30歳の誕生日には両親から「実家を出ていってほしい」という意味でスーツケースをプレゼントされます。
そんなイケてないアラサーの彼女の前に大学の同期であるライアンが現れ、二人は恋に落ちます。
一方でキャシーは、ニーナの事件の関係者に、ニーナと同様の苦しみを与えていきます。ただ、当時アルを弁護したグリーン弁護士だけは「過去のおこないのせいで自分が許せない」と告白したため、許します。
こうしてキャシーの復讐は、アルを残すのみとなりますが、ここでニーナの事件の現場に、ライアンがいたことが判明します。ニーナはライアンに別れを告げ、アルへの復讐に向かいます。
そしてこの後、彼女はピンチに陥り、最後に逆転劇があるのですが、これこそがこの映画の最大の欠点だと思います。このラストシーンのせいで観客はちょっと救われた気になってしまうんですよね。
救われることの何が悪いんだと思われるかもしれませんが、この映画の場合、テーマをぼやかしてしまっているんです。よくよく考えると誰も救われていなくて、ただただ観客をちょっとホッとさせるためのラストになっていました。
日本では近年、テレビでコンプライアンスという言葉をよく耳にするようになり、表現がどんどんソフトになってきていますが、きっとアメリカもそうなんだろうなと思いました。
これがアメリカンニューシネマの頃とかだったら、おそらく最後の逆転劇はなかったんじゃないかなぁ。観客に、モヤモヤを残したまま劇場を後にすることを強いたと思います。
設定とかアイディア自体は面白いので、ここから本当に描きたい部分を尖らせたら良い作品になった気がしますが、何か色々忖度したのかなという印象が強いです。だってキャシーが男を懲らしめるようになった経緯や理由をまともに描くとしたら、たぶん吐き気がするようなシーンを描かなきゃならないじゃないですか。ラストも救いのないまま終わったらなかなかハードです。そんな描き方をしたら今時、クレームがめっちゃ来そうですもん。
それでも覚悟を決めてトラウマになるような映画を作ってほしいと切に願います。Netflixとかクラウドファンディングとかなら、可能性あると信じたいです。
人間模様
復讐劇だけど、主人公が幼少期から優秀で輝いているニーナに依存し生きてきたが、そのニーナを自殺に追いやられ、自分の存在も空虚になってしまった事への自分の為の復讐であるように思えた。そうなるには親の過干渉があると言いますが、キャシーの母親がそんな感じなのかなと。
ニーナの死により大学を中退、30歳になるまでずっと自分の人生を歩む事も出来ず、服装も部屋の内装も時が止まったまま。
そういった主人公自身の問題を凄く感じました。
それと他の人物の人間性。
結局保身にはしるライアン。平然とキャシーを焼いたジョー。
ジョーは自分を取り巻く相関も含めて我が人生において傷がつく事は有り得ないのだなと。そういったものはジョーにとって小さなゴミであり簡単に取り除くのだなと。
色々な人間性も観て取れる作品でした。
復讐するより医者になれ
復讐方法にただただガッカリ。
てっきり体の一部分を切り取ると思って
楽しみにしていたのに、脅すだけ、、、?
銃社会でこんなショボイやり方してたら
まず自分が殺されそう。
過去のことを引きずる人って人生損してるなぁ、と
改めて実感。
さっさと優秀な医者になって、
医療事故に見せかけて半身不随にさせるとか
色々方法はあっただろうに、、、
「ラストに驚く」の謳い文句も
これだけネタが出尽くした時代では
「あーこういう感じね」となってしまい
期待を超えるものになかなか出会えず残念。
復讐劇、重いテーマをポップに描いた良作
大学時代にレイプされた上に自殺をしてしまった友人の復習の為に、酔った女性をお持ち帰りしようとする男にワザと引っかかるような罠をしかけ、それにかかった男たちに制裁を加えていく。という内容なのでもっと見ていられないような凄惨な復習を繰り広げる映画なのかな…と身構えていたがそんな事はなかった(こう思った一因に本作のジャンルがクライム、スリラーとなっていたから。ホラー映画ではない)いやぁ…男の自分がいうのもなんだけど、酔ってる女性を見つけて泥酔状態と分かったらお持ち帰り、意識がはっきりしない間にセックスをしようとしたりして、女性が酔ってないと分かった途端、行為を止めたり言い訳をする。全ての男がこうとは言わないがこれでもか、これでもかと男の気持ち悪い部分、汚い部分、バカな行為を観せられる。男の自分から観てもムカつく男のオンパレード。性犯罪、性差別が一向に減らないのって、何も加害者が男性ってだけでなくて周りの女性すら被害者の女性の敵になるところに原因があるんじゃないでしょうか?事務長の女性は訴えられたらレイプ加害者の前途有望な男性がどうなってもいいのか?となんと加害者をかばうが、自分の娘がその立場になりそうになると急にうろたえ、怒りを爆発させる。所詮他人事だから、被害者の身になって考えられない人が多いんでしょうね…映画自体は音楽や服装のカッコよさ、復讐劇と恋愛シーンのバランスのよさなど復讐劇や重いテーマの内容の割にポップに作られていて良作。衝撃のラスト含めて映画館で観るべき作品
愛する人を失ったキャシーの心は枯渇しきって満たされることはなかった...
愛する人を失ったキャシーの心は枯渇しきって満たされることはなかった。
キャシーはニーナを愛していたのだと思う。復讐だけが現実につなぎとめる鎖だったのか。
どこかに死場所を求めていたようにも見えた。
昼はコーヒーショップの定員、夜は復讐魔とPVやキャッチから想像通りのPOPな復讐劇かと思いきや、そのまま終わるわけもなくまさかの展開に言葉を失う。
グリーン弁護士を許した?(ニーナの名前を憶えていた)のは彼女なりの慈悲なのか。
だれもがあのドラッグストアーでの甘美な世界に浸りたいはずだったのに。
衣装、音楽は最高にあっていたと感じだ。It's Raining Menくらいしかわからないけど。
知らない、関係ないでは済まされない傍観者の罪の意識を考えさせられ、身をつまされる思い。
背負い続ける十字架のような映画
予想だにしなかった衝撃のラストが待ち受けている。最後に本当の復讐劇が完成する。
これだけ後に重く引きずる映画もなかなかない。
フェミニストでなくても、自分に身に覚えのない人も、世の男性は全員観た方がいい作品。
変わった作品ですね。
アカデミー脚本賞を受賞した本作なんですが、あんまり上映してるとこがないんですよね。で、公開から半月、やっと見る事が出来ました。
受賞は逃したけど作品賞や監督賞、主演女優賞何かにもノミネートされてました。
脚本賞を受賞しただけあって一筋縄では行かない変わったストーリーで、中々面白かったです。
アニメばかりじゃなくてこういった映画もヒットしてもらいたいものです。
うーん…
もっとクソ男たちをボコボコにする映画かと思ってたら暴力で解決する話じゃなかった。それが出来るのがフィクションのいいところやと思うのに。
それはそれとして、ラストで主人公(女性)が死ぬってゆーのが、「女は命をかけないと復讐することすら出来ない」てメッセージになってしまってない?てゆーのが引っかかる。ストーリー的には別に死なんでも復讐出来たやろ。
現実には復讐なんて実現できひんけど、過去を葬って これからものうのうと生きていくぜみたいなクソ男共に、そうは問屋が卸さんぜよ的なオチつけることで溜飲下げさせる感じなんかな。
過去をなかったことにして生きてる現実のクソ野郎に対して、震えて眠れ的なメッセージなんやろか。
まあそうは言っても男性は観た方がいいと思うし、男の自分は観てよかったと思う。
あーゆークソな振る舞いとか行為、見て見ぬふりはしないようにします。
最高の結婚式へ
夜な夜な酔ったふりをして男にお持ち帰りさせ、そんなクズ男たちに制裁を加えるキャシーの復讐劇。
彼女は何故男を誑かして復讐をするのか?
前途有望なはずの彼女の身に何が起きたのか?
バー→酔うふり→お持ち帰り→復讐のワンパターンで終わると思っていたら、ラストで思いっきりカウンターパンチを食らった。
正直、淡々と続く前半は退屈で、復讐モノにしては弱い印象。
ウトウトしてしまったこともあってなかなか設定が入ってこない。
でもそれが後の復讐へと活きてくるとは⁉︎
淡々としたプチ復讐が、ラストにかけて加速するテンポに上手い具合に効いてくる。
そして、あの展開はあまりにも呆気なくて、「まさかそのまま終わるってことはないよね」と思っていたらそのまま終わった。
そして、予想とは違う形での最後の復讐に嬉しくもあり悲しくもあり。
気持ち良いようで気持ち悪い、あのラストはなんと形容すれば良いか。
ただのフェミニズム映画で終わらせたくない。
ってかフェミニズム映画でも、復讐映画でもない気もする。
流石に自分はこんなじゃないと思いたいけど、現場に居合わせたら、気づけば傍観者になっているかもしれないし。
クズ男どもは口を開けば言い訳ばかり。
「あの時はガキだった…」
本当に男辞めたい。男女どうこうの問題ではないかもしれないのだけど。
キャリー・マリガンはおばさんにも少女にも見える年齢不詳さとなんとも言えない色気。
彼女の行き場のない叫びや苦しみが、あのナース姿に全て現れているような気がした。
またすごいもん観させてもらいました。
すごくいい
始まりから終わりまで、他ごとを考える隙もないくらいに観入ってしまった。久しぶりにいい映画だった。主人公のキャシーを演じたキャリーの演技が際立って上手いと思った。華麗なるギャツビーの時はとても可愛い女優さんだと思ったけれど、素晴らしい演技ができる女優さんだと思う。サスペンス好きな人にはかなりお勧めできる映画かな。ラストはあれでよかったのかな?悪かったのかな?もう一度確かめたくてじっくり観たいけれど、近くの映画館は上映が終わってしまうので、DVDで見直したい。
なぜアカデミー賞取れなかったのかと思うほど感動した。セリフがいい...
なぜアカデミー賞取れなかったのかと思うほど感動した。セリフがいいし、脚本賞は納得。映像、衣装、音楽もいい。主演が最高。もともとファンだったから彼女を見に来た。
人生を変えて恋人とサイコーの時間を過ごす中に現れた映像のトラウマ。すごいトラウマを描いている。ノマドランドなんかぶっ飛ばすくらいの力、フラフラになって女が立ち上がってる話なのに。十七歳が評価されるヨーロッパと、これが評価できないアメリカの差だ。
死んだ後、男たちを震え上がらせるのもサイコー。
彼女を殺した男たちが処理し抹殺する場面でロマンチックな音楽が流れるところがすごい。男性の幻想で世界を覆う物語性。
彼女は、強くもないのに、正気だったと見せるだけで男たちが萎えるという設定が面白い。
酒に入れるドラッグの話も、医学部の話も、過去なら許されたとされる話も、男の未来を奪うなという話も、トレンディなのに。
胸糞でも痛快でもない
過去の出来事に縛られていた女性が過去に折り合いをつけ幸せを掴もうとしたが掴めず幸せを諦めた話で不運で悲しい話だと感じた。
良い作品だし見て良かったとは思うが傑作とまではいかないかな。
意図的に現在の主人公の視点のみで描かれているので主人公の行動や言動から過去を推察するしかなく一歩引いた視点で見ることになってい感情移入があまり出来なかったし、驚きがあったのは冒頭部分位で後半は予想内の展開で少しだけ退屈だった。
何一つ男にはわからない
男性の友人と見に行き、はっとしたのが彼の「ニーナの動画が実際に観客には見れないので、アルたちがやったことの酷さの程度がわからない」という言葉。
現実でも、女子中学生がレイプされれば同情されても、酔わされたセックスワーカーがレイプされたら、そんな仕事をしているから、隙があったから、仕事でしてることなのに?なんて言われる。
怪我の有無や、抵抗したかしないか、相手が顔見知りかどうかなんて関係ない。
レイプされる側がどんな人間であろうが、どんな状況であろうが、事後にどんな態度であろうが、レイプはレイプ、魂の殺人なのである。
そこがわかってないと、上記のような無神経な感想が出る。
説明はしたが、友人はピンと来ないようだった。
彼には一生わからないだろう。
元恋人ライアンの誠実さのない態度も、死んだはずのキャシーからのメッセージに裁かれる。
「これで終わったと思ってる?」
SNS全盛時代、これからの彼のキャリアは終わったも同然だろう。
ひょっとしたら、メッセージはまだ続くのかもしれない。ライアンが着信拒否にしたとしても、着信拒否にしたからありえないと思っていても、いつ来るかわからないキャシーのメッセージに脅かされ続けるだろう。
アルたちも、キャシーを殺してすぐに警察に連絡していれば、つまり自分達のしたことを今回こそは真摯に受け止めて行動していたなら、裁判で一級殺人はくらわないだろうが、証拠隠滅を図った悪質な殺人ということで重罪確定となるだろう。
キャシーの名前が、キャサリンではなくカサンドラなのも象徴的だった。
カサンドラは呪いにより、予言を人に信じてもらえなくなったトロイの王女でもある予言者の名前だ。
キャシーの言うことも、きっと誰も信じてくれなかったのだろう。
ただの幼なじみで親友と思われたニーナとキャシーの関係が、聡明なキャシーをなぜあそこまでの復讐に駆り立てるか最初は不思議だったのだが、ラストで納得。
キャシーにとってのニーナは、単なる幼なじみや姉妹のようなものではなく、崇拝の対象であったのだ。
聖なる存在を冒涜され壊されれば、信者はキレるに決まっている。
だがそれも、その信仰の外にいる者からは理解のできないことなのだ。
最初から最後までずっと釘付け
始まりで一気に引き込まれて、その後中だるみもなく、ずっと面白い!
キャシーがなぜそうなったのか、段々とわかっていくストーリーもいいですね。
伏線回収が見てて気持ちいいですね。
この後どうなるの!?と目が離せなかったです。
本当によくできてる良い作品です!
久しぶりに落ち込む映画を見た。
私は女性だけど共感しにくい部分も多かった。なぜ弁護士は許す?なぜ関係ない男を誘う?あの誘い方は男性だけが悪いのだろうか。ちょっとわかんない。
復讐のラインが曖昧。復讐を理由に死にたかったのかな?とさえ思った。本人の情緒が狂気なのは理解はするけれど、映画ならば最後はこんな終わりじゃダメでしょ。
私ならちゃんと奴等の貶められた姿を観るまで死ねない。手錠が外れないように入念に薬で抵抗できないようにしておく。動画をとって脅してでも自首をさせる。それじゃダメなの?他にやり方あったでしょ。
自分が死んだあと、もし弁護士が裏切ったら?もし思ったような制裁が奴らに下されなかったら?どーーすんの!死に損じゃん!
あまりに浅はかな復讐劇に情けなくなった。
あとは親の気持ちを思うといたたまれない。彼女は死に場所をさがしていたのかもしれない。失望の中で復讐を自分が死んでもやり遂げたかった‥のかなぁ。無理やり納得させながら帰ったものの‥とにかく落ち込んだ。
ものかなしい
町山智浩が「この作品はコメディです」って得意げに言う作品はコメディではない。
この作品も得意げにコメディだと言い切っていた。
ブラックウィドウもコメディだと言い切っていた。
違うじゃん。
もの悲しい。
最後までハラハラさせられた。
みなさんが語るメンタルな部分は割愛して。
衣装が可愛らしかった。
曲が印象的だった。
心を殺された側の叫びは伝わらない
キャシーにとってニーナは大切な友人であると同時に、その生き方や人格を心底尊敬している人物だったんですよね。そのニーナがレイプされ集団で見せ物にされて笑われて、訴えても弁護士に印象操作され言いくるめられ、その後(おそらく心を病んで)死に至ってしまった。
序盤のキャシーは明確な相手に復讐しているのではなく、適当に声をかけてくる男を泥酔したフリで騙していますが、ニーナと一緒に心を殺されて投げやりに生きている状態に見えました。
そこにかつてのニーナを傷つけた人間達が幸せに生きている様子を目の当たりにして、復讐劇が始まる訳ですが。キャシーからすれば復讐成功のハッピーエンドだったんだと思います。あのあと生きていたとしても、ニーナを殺された怒りや悲しみが消えることはなかったでしょう。
この映画で一番怖かったのは、弁護士以外誰も自分の過ちを悔やむ様子がないところです。特にライアンが逆ギレした様子すら見せるのには「もうやめてくれ...」という気持ちになりました。お願いだから傍観者として人の尊厳を傷つけ心を殺した一因になってしまったと後悔してくれ、と。
そしてエンドロール後、途中で少し席を立っていた正面の男性が連れの女性に「この映画ならいいかなと思って途中トイレ行っちゃった」と笑いながら言っていました。ああ、この映画に出てきた「後悔しない側」の人達と分かり合えることは一生ないんだろうなと思いました。
赦せない!!
あまり詳細を説明しないタイプの作品だったため、鑑賞直後は細かいところに囚われて「む??」となってしまったが、時間を置いて冷静に振り返ると、どうやらありきたりな復讐劇という枠には収まらないようだ。
最後のオチから察するに、どことなく『セブン』の結末を想起させる、自らの死を以って計画が完了する深慮遠謀だったように思える。
といっても、幼馴染の仇への復讐である本作と、サイコパスによる計画的連続殺人では、モチベーションがまるで違うが。
ともかく何かを望むなら、何かを棄てなければならない。そのバランスこそが、この世の理であり、主人公にはそれがわかっていたのであろう。
終盤、ロッジへ向かうときには既に、自らの死を以って憎き仇を破滅へと追いやる決め手と成す覚悟があったように感じる。
この結末を彼女が考えたのは、弁護士を罰しに行った後だろうか。弁護士だけが既に十分な罰を受けていると感じたことから、自分の死後の計画遂行を彼に委ねようと考えたのではと推察する。
彼女は、とにかく赦せなかったのだ。大切な幼馴染を死に追いやった獣たちが、まるでそんなことなど無かったかのように、今では幸せそうにのうのうと人生を謳歌していることが。
その背景にあるのは、男が女から搾取する旧態依然とした体質と、それを容認する男>女の社会的構造が抱える闇だろう。
後半、レイプ動画を突きつけられたライアンは、『ボクは何もやっていない』と言う。あくまで傍観者であって、悪事に加担してはいないと。
しかし、傍観することで、悪事を容認している。『何もやっていない』という選択を“している”のだ。
主人公は、最期にはアルからの反撃によって命を落とすが、それもまた計画の一部で──と個人的には思っている──、むしろそこからが〈終わりの始まり〉ということなのだろう。
彼女は復讐によって一矢報いたのではない。社会に一石を投じたのだ。
悲しく切ない終わり方だったが、それもまた前述の社会の闇の本質を如実に表しているといえるのかもしれない。
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