プロミシング・ヤング・ウーマンのレビュー・感想・評価
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疵痕
復讐の話ではあったが、それだけではない。
被害者からの目線というか…崩された側が詳細に描かれていた様に思う。
脚本も巧妙で、彼女が夜な夜なBARに出没する動機をダイレクトには描かない。いや、描けないとでもいおうか、凄くパーソナルな動機で共感を期待しないとでも言うような作り方だった。
彼女なりの細やかな復讐でもあったのだろう。
当時者達というよりは、同類の男達に。
おそらく彼女の親友は同意なきSEXを強要されたのであろう。そこからその親友の人生は崩れだした。
その加害者達は、なに不自由のない人生を送り、幸せを謳歌している。
親友の屍の上で、優雅にダンスを踊っているように彼女には思えたのかもしれない。
「忘却が最大の武器」と説いたのは誰だったろうか?
この状況には当てはまらないのかも知れないし、そんな言い方でも無かったのかもしれない。
彼女には、それが出来なかった。
親友の両親さえ立ち直ってる所をみると、彼女は彼女で精神的な歪みを抱えているのかもしない。
脚本が上手いなぁと思うのは、彼女は一旦立ち直りかける。恋愛が彼女を未来へと後押ししてくれるのだ。
だけど、彼女の復讐は始まっていて、そんな彼女も過去の自分から逃れられはしなかった。
彼の過去を垣間見た彼女の衝撃はどれほどのものだったろうか?
まさか、親友を辱めた側の人間だったなんて。
その事実を持ち込んできたのは彼女が最初に的にかけた友人だった。
この時点で彼女の精神は崩壊したのかもしれない。
復讐に赴く彼女には、亡き親友への懺悔もあったのかもしれない。ひと時でも貴方を忘れようとした自分が許せなかったのかもしれない。
彼女の死から始まる真の復讐劇。
今の足場が明確に音を立てて瓦解していく恐怖と不安を、スマホの画面は的確に表現してた。
裁かれずとも、自分の記憶だけは欺けない。
そして、その罪の記憶は埋没したとしても、風化するものではないのだ。
なかなかに噛み応えのある脚本だった。
若干、説明不足な節もあり…ディレクターズカットが出るようならば観てみたい。
脚本賞も納得のストーリー
キャシー(キャリー・マリガン)は【明るい未来が約束された若い女性(プロミシング・ヤング・ウーマン)】だと誰もが信じて疑わなかった。ある不可解な事件によって不意にその有望な前途を奪われるまでは。平凡な生活を送っているかに見えるキャシーだったが、実はとてつもなく頭がキレて、クレバーで、皆の知らない“もうひとつの顔”を持っていた。夜ごと出掛ける彼女の謎の行動の、その裏には果たして一体何が…、というストーリー。
男性目線からすると全編を通して、不安を掻き立てられるような不穏な雰囲気が漂い続ける。作中に行われているようなことをしていなくても黙認してないか、スルーしたりしてないかなどと色々考えてしまう。ストーリーについては隙がなく、登場人物の全ての行動、感情の動きに理由がありドロドロした感情を描いても鑑賞後はすっきりと納得できる。
復讐劇がメインではあるが、しっかりとテーマもあり、全ての大学1年生に見てほしいと思えるような作品。
ただ、展開自体はある程度読めてしまう部分はあるのが少しだけ残念。残り30分あってみんな笑顔で終わるわけない、むしろここから突き落とすなら…など時間を見ると大体の流れが予測できてしまうので、どんでん返しを最後にしてもらえたならさらに評価が上がったと思います。
執着するあまりに前へすすめない人間の性
女性の執念を描く。少し切ない物語。執念に根差した復讐心に執着するあまりに前にすすめず、精神的に病んでいるようにもみえる。サイコサスペンス。医学部中退、現在カフェの店員。実家暮らしの30歳の女性。
大学時代の親友が、同級生らの性暴力に巻き込まれて亡くなったことから病んでいった過去を背負っているような伏線。
人の記憶の強度の違い。いじめた側は覚えていないが、いじめられた側はいつまでもトラウマのように覚えている。この理不尽さも織り交ぜながら、復讐劇を描く。
途中、元同級生とのほっこりするような恋があって、快方に向かっていくのかと思いきや、ラストに向かって、裏切っていく。
執着するあまりに前にすすめない、だけどもこれも一人の人間の性。最後はすこし切なくなる。
すれ違う価値観
大前提。この物語で罰せられる登場人物がした行為に弁解の余地は全くない。
その上で…
罪は罰せられなければならない/罪は償わなければならない、なんとなくこの考え方の間には微妙な距離がある。欧米は必罰主義みたいなものが根底にあるような気がする。もちろん正しい。でも、東洋というか日本には、もう少し許容範囲がある。
主な登場人物たちは、考え方・価値観を共有することが出来ない。主人公、主人公の親、大学時代の教師・同級生、偶然出会った同級生の彼氏、死んだ親友の母親…
同一の価値観を共有することなど、もちろん現実社会でもないけれど、登場人物たちの価値観の違いは比較的大きい。
主人公は、従来の間違った価値観やそれに従って誤った行動をする人たちに対して、自分なりの異議申し立てをしている。それは暗い側面もある。
でも、大学時代の同級生の彼氏や死んだ親友の母親によって、従来の(それは間違っていない)価値観に依った平穏な幸福な生活を見つけた(ような気がした?)。
が、自分が復讐したつもりだった大学時代の同級生がもたらした情報によって、それは崩れ去り、また前の自分に戻ってしまう…。自分は正しいと思っていた「復讐」が、自分に(ある意味)禍いをもたらしてしまった。日本には「知らぬが仏」なんていう言葉もあるけど…^^;
でも主人公はそれで良かったのかな?真実を知り、自分の考えに従って行動できたのだから、本望なのかも知れない。
最後、元カレへのメールにLOVEのメッセージがあったのは、皮肉も感じたけど、ちょっとグッと来た。やっぱり好きだったんだろうな…。でも傍観者であった彼のことも、やはり許すことは出来なかった。
あの主人公を殺してしまった悪い奴。裁判になれば減刑されると思うなぁ。あんなやり方迫り方されたら、相当な恐怖を感じるだろうから…
価値観がすれ違う重層的なストーリーにして、面白いエンタテインメントだった。
脚本も色彩も、そして選曲も良し!
自問自答の末に出した回答に突き進む女性の物語
主人公の復讐劇です。
彼女に起こった衝撃的な出来事より、自問自答の末に出した回答に突き進む女性の行動と葛藤を描いた作品です。
思いが重くのし掛かり、その行動共に突き動かされた人生に幸せという名の糸も短く切れてしまう。
この人生は幸せだったのか?それとも…ただ一つ信じた道を歩んだ彼女の人生が、安らかであれば良いのだが。
残された家族と唯一の友人は何を思うのだろう。
そしてこの復讐にニーナも賛同してくれるのだろうか。
悲しみの連鎖といえば、それまでなんだろうが悲しみの先に何か笑顔になれるものを見出すことが誰しも大事なんだろう。
私は後味良くなかった
男女で感じ方違いそう
お尻の力の入れ具合で例えると
タイミングで得してる。
女性同士の友情(?)による復讐譚である。
ストーリーは復讐物の王道であるが
mee tooのタイミングだったから色々ノミネートされ大変効果があった。
スカッとした方も居るかもしれないが、私はなんとも悲しかった。
友情だけでそこまでやるか、という彼女のほぼサイコな復讐への執着はなんだろう?それがそもそも男女の認識のズレなのかなぁ、とか、、、もしあのパーティーに自分も参加してたらどうしてただろう、、止める事が出来ただろうか、、、とか、、、日本でも有名大学で似たような事件があった事を思い出した。
製作陣の狙い通り重くなり過ぎず、カラフルに、男性に猛省を促す作品。
映画館を出た男性は皆んな申し訳なさそうに見えた。
男には肩身の狭い映画
彼女は初めから戻らないつもりだったんじゃなかろうかと思った。レイプした本人だけに罰を与えるのではなく、見ていた周りも引きずりこむために。
まさに2021的女性の復讐劇に拍手
プロデュースにマーゴットロビーの名が。いやー面白かった。本人ではなく、親友の受けた傷に対する復讐劇だったのね。そっちのほうがもちろんいい。こってりにも描けそうなところ、コマーシャル的にうまくやっている(初デートや朝焼けの中のあの煙とか)。そして、男性クリエイターからはでない男社会のリアルなくそっぷり描写が振るっている。ゆるい女に漬け込む男、男の出世の前には女は黙ってろ、そしてこの男性不信の主人公が心を開くようになって前半でこの復讐から足を洗いそうになるのでどうなるかと思ったらまさかのギアの入り方。そして話題の男のパーティーで扉を開けたら現れるリアルなクズ男たち。えー、そうなるの?アメリカ映画で、と思ったらのツイストも効いている。ラスト、この身を引き換えにしてでもクズ男をこの世の中きら追放してやるぞ感が漂っていて美しい。
後味が悪い
最初の方で、男漁りをしていた主人公の女の動機がわからん。男全体への復讐?なんで全体へ?そんなので復讐になる?意味がわからん。でも、最後は、エエっ、そう来るの?という全く予想しなかった展開だけど、彼女は思いを遂げたのか?
観終わった後味が悪すぎる。主人公、彼女がターゲットとした男ども、どっちにも肩入れできない。
痛快? いやいや……
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