「Anger Is An Energy。 男は狼なのよ気をつけなさい、つつしむくらいなら殺っちゃいなさい。」プロミシング・ヤング・ウーマン たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
Anger Is An Energy。 男は狼なのよ気をつけなさい、つつしむくらいなら殺っちゃいなさい。
親友の恨みを晴らそうと暗躍する女性キャシーの復讐を描いたブラック・コメディ&サイコ・スリラー。
主人公キャシー・トーマスを演じるのは『ドライヴ』『華麗なるギャツビー』のキャリー・マリガン。なおマリガンは本作の製作総指揮も務めている。
製作に名を連ねるのは『アバウト・タイム 愛おしい時間について』「DCEU」シリーズで知られる女優、マーゴット・ロビー。
👑受賞歴👑
第93回 アカデミー賞…脚本賞!
第46回 ロサンゼルス映画批評家協会賞…脚本賞!
第36回 インディペンデント・スピリット賞…脚本賞!
第26回 放送映画批評家協会賞…主演女優賞&オリジナル脚本賞!✨
第74回 英国アカデミー賞…英国作品賞&オリジナル脚本賞!✨
とにかく怒気に満ち溢れた映画である。
親友をレイプした当事者とそれに無関心な部外者、さらには隠匿しようとする権力者と、とにかく全方位に対してキャシーはブチ切れている。
その怒りはレイプ事件の周囲にいた者だけでなく、”男”という立場を利用して女を食い物にする者全てに向けられているし、もっと言うのならこの世界を支配している男性優位なシステムそのものに彼女は挑戦しているとも言える。
怒りを原動力にして突き進むキャシー。その姿は狂気的だが、虐げ軽んじられる女性の立場に対し怒らずにはいられない彼女の思考や感性は至極まともである。
怒る彼女を「正気では無い」と一蹴する世界こそが正気では無いのだ。
「Anger Is An Energy」とはパンク・ロック界の巨人、ジョン・ライドンの言葉である。この映画は虐げられる女性の怒りを一身に背負い爆進するパンク・ロック・ムービーであり、反骨精神を失っていない全てのパンクスに、是非鑑賞していただきたい一本である。
物語が物語なだけに、時としてかなりの胸糞悪さを味わわされる作品ではあるのだが、基本的にはかなりポップな作風。
ともすれば死ぬほどシリアスになりそうな題材でありながら、キャシーと男たちのやり取りには多分にユーモアが仕込まれている。主人公が返り討ちに合うという悲劇的な場面にすらコメディの要素が含まれており、いついかなる場合においてもエンターテイメント性を失わないというのが本作の大きな強みとなっている。
露骨な暴力描写や性描写もないため、そういったものが苦手な人でも楽しむ事ができるはず。
辛い物語ではあるが、誰でも楽しめる(この映画に登場するようなクソ男以外)娯楽映画である。
この映画に登場する富と地位を手に入れたクソインテリども。男の自分でもこんなクソったれどもは駆逐されるべき汚物であると思う。
それだけに、意外とお仕置きシーンが少ない事にガッカリ😞ハーレイ・クインのようなナースコスチュームに身を包んだキャシーが、クソ男どもバッタバッタと薙ぎ倒していく。そんな映画だと思っていたのに〜〜。
女囚ものや女忍者ものなど、セクシーな女性による復讐劇というのは色物扱いされやすいジャンルである。そういったジャンル映画とは一線を画すものとして本作は制作されているし、実際そういう映画に仕上がっているのだが、もっと露悪的かつバイオレンス、そしてガラクタっぽい映画が観たかったな。ハーシュさが足りんっすわ。
昨今その数を増やし続けている女性映画。その中でも本作は突出している…とは思わないが、一見の価値がある映画であることは間違いない。
「男は狼なのよ気をつけなさい。年頃になったなら慎みなさい」なんて歌があるけれど、つつしんでいる暇があったら狼どもに地獄を見せてやれっ!!💥💥
訂正
熱をあげてるのは男性
いろんな事情で売られてきた人達です
なんだか長々と書いてほんとうにすみません。今朝まで映画.comの不具合でINFO画面「あなたへ」に何も映らない状態が約1週間ありました。それで本当に淋しくもあり不便な時が続いたのか、反動で書いてるのかなあ。直って嬉しい雄叫びかもしれません。どうぞ読み捨てて下さい
「男子アナ」って言わないですね。私は落語とか長唄とか歌舞伎が好きです。あるときから「女子アナ」は吉原の位の高い花魁的ポジション、扱われ方されてるのかなと思うようになりました。テレビを殆ど見ないのでよくわからないのですが、女子アナに熱(?)をあげてるのは断然で、そういう人を妻にすると威張れるし男の勲章!的みたいなんでしょうか?上位の花魁は美しさと頭の良さも教養も完璧ですが(落語、歌舞伎の世界)、もともとは家族なりいろんな事情で得られた人達です。平均寿命が24才位と読んだ記憶有ります。そういった花魁や女郎と女子アナを同一視はしてませんが、そう言う人たちをだれがどんな基準で選び、どんなに人柄チヤホヤするのか、といったらとりあえずオジサン?と思いました
仰る通りだと思います。性別とか扶養されてるとか子どもの有る無しとか玉の輿やら港区女子とか不毛な砂漠を超えて、まずは普遍的な人権レベルで連帯できたら生きづらさがかなり小さくなると思うんだけどなー!たなかなかなかさん、長々と失礼いたしました
たなかなかなかさん、ほんとうにそうですね。そういった高齢の男性が権力持ち続けられるのも、妻なりパートナーが片棒を担いでいる、でなければ構造的に支えてしまってるんだと思います
共感有り難うございます。そうですね。悲しみや怒りを、感じようとも分かろうともしない男どもを激しく粉砕するシーンが欲しかったのは、事実ですね。怒りこそが人をマトモな道に導いてくれるのでしょうね。
彼女のあの死に様は、一番想い出したくない出来事の一つです。