「その凝った創りとともに、複雑極まる感情に、襲われる」プロミシング・ヤング・ウーマン mayuoct14さんの映画レビュー(感想・評価)
その凝った創りとともに、複雑極まる感情に、襲われる
今年は、コロナの影響もあって、私好みの洋画に出会える機会が少なくなっています。
深く心に刻まれたのは『ノマドランド』『ラスト・フルメジャー』『アメリカン・ユートピア』ぐらいか…という感じです。
そんな中、久しぶりにまた大きく心を動かされる『プロミシング・ヤング・ウーマン』という作品に出会いました。
女性を自分たちの欲望のはけ口にする最低な男達への、強い意志を持った復讐(映画仲間の人によれば、正義のための復讐=Avenge)の物語なのですが、復讐の手口や映像的な見せ方に、実にユニークでポップな、独特の味付けが施されています。
本当はとても悲しい物語ですが、悲愴感ではなく爽快感(痛快感)が優っている、またその演出や映像表現により、エンタメ性が前に出た形で映画の魅力創出にすごく成功している珍しい作品ではないかと思います。
主人公の来ている衣裳も(私服もコスチュームも)とにかく色鮮やかで、彼女のはっきりとした意思表示と相まって、映画の世界に没入できます。
同時に、キメの場面で掛かる音楽も「さあ、宴の始まり(勝負の始まり)です!」とばかりに私たちをそのシーンへ誘います。
最後、クライマックスには、並外れた頭の良さを持つ、主人公の仕掛けたあっと驚く展開が待っています。しかし、その直後に、彼女の悲しみに深いシンパシーを重ねられる、そして人間誰しもが持つ、素直な気持ちを非常に端的に表す演出も待っています。
勧善懲悪の復讐ものではありません。人間が持っている弱さや落とし穴みたいなものに囚われた人たちの物語は、自分にもリフレクトして心に深く刻まれることでしょう。
斬新で大胆、一方でものすごくエモーショナルなこの作品の「新しさ」に触れてみて頂きたいので投稿しました。
コメントありがとうございます。
爽快というよりカッコで書いた「痛快」の方が当てはまるかもしれませんね。
Mさんのおっしゃるように、本当に強烈なインパクトの映画でした。
そのインパクトが一面的でなく、多面的な角度で描かれた、重層性もまたすごいと感じました。今でも割と鮮明に思い出します。
私にとっては、「爽快感」とは言い難かったのですが、インパクトの強さに打ちのめされました。本来ならば、「名作」と言っていい作品だと思うのですが、それを許さないものがありました。