「Tally marksの数=男性不信のカウンター」プロミシング・ヤング・ウーマン bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
Tally marksの数=男性不信のカウンター
「わたしを離さないで」を見てキャリー・マリガンに惚れた。あれ、10年前なんですね。実年齢は横に置いといて、「わたしを離さないで」では10台のキュートな女の子もお似合いだったマリガン、前作「Wild Life」で一気に老け込んだ感があったんですが、本作でも魅力的であることには変わりなし。この演技がオスカーに相応しいかと言われると、ちょっと首をかしげたくなるけれど、良いことは良かったし、マクドーマンがノマドで二つ目のオスカーを取ったことを考えると、マリガンでも良かったんじゃないかと思ってしまいます。手っ取り早く言うと、好きなので獲って欲しかったw
映画タイトルは「将来を約束された若い女性」って訳すのが一番分かりやすいでしょうか。単純なフェミニズムでも無く、女性自身が恋愛に溺れてしまい不幸になるあたりも捻り込んだ脚本のセンスが好き。また、「なんて邦画的なんだろう」とも思いました。
劇的な展開が無く、キャシーの微妙な内省的世界感の説明も吹っ飛ばして、どんどん話を進めて行くところなどは、邦画の若手監督作品を彷彿させますもん。本能に訴える派手な復讐劇に非ず。地味にいやらしく、精神的なダメージだけを与えていくだけなんて、本当にアメリカ映画ですか?って突っこみたくなるくらい。いずれにしても、アンチ・ハリウッド。
キャシーの手帳のTally marksの数は、キャシーの男性不信の深さを示すカウンター。脅迫観念で自己が崩壊しかけていた弁護士のジョーダンが、唯一の例外的存在。親友であり敬愛していたニーナの復讐のTalliesは、人間社会への不信の大きさとともにカウントが進みます。
例え殺されたとしても、私は構わない。命よりも大切なものを失った私が、さらに失うものなどちっぽけなもの。彼らから全てを奪えるのなら、引き換えにしても構わない。
みたいな。
「結婚式を楽しんで」
目の前で繰り広げられる逮捕劇を眺めながら、メッセージを受け取ったライアン。自分に仕掛けられた罠に怯える姿を、キャシーは見たかったんじゃないの?
脚本賞も納得の、地味地味地味なサスペンスの興行収入は僅か$877万ドル。本国では、コロナのあおりをもろに受けた形ですが、配信で稼いで欲しいです。
エメラルド・フェネルの初監督作品は、命を失ったのが、Promissing Young "Women"だったと言う、捻りの聞いた超辛口のサスペンス。これは面白かったです。普通じゃないところが最高。
良かった。とっても。
bloodtrailさん
予算規模とお金の使いどころに違いはあるにしても、脚本を厳しい目でみてとことん手直ししていく共同作業ってアメリカっぽいなあと思います。低予算でもいい映画もあると思いますが、なんか惨めというかさびしい気持ちになること、邦画でたまにあります。
bloodtrailさん
ハリウッドでは複数のプロフェッショナルが徹底的に脚本を読み込んで修正を加えて行くんですね。完璧のかっこよさはありますよね、確かに。
と、いうようなことを考えさせてくれるあそびの部分があるから、分かる人だけ分かればいいよーという邦画的側面がこの映画にあるということかな、と今は思ってます。4歳の頃からニーナを知ってる設定だった記憶が有るんですが、それはあんまり現実的でないと思いました。女の子同士は4歳から大学生までずっと親友って多分あり得ないと思うからです。
でも4歳であれば想像力で遊ぶこともできれば、色んなことを正しく覚えている記憶力もできてくる年齢です。だから。あー、怖いよー。
bloodさん、「アルに会ってから変わった」の箇所は私は忘れてしまってました。精神的Lの可能性大ですね。それどころか、わたしはニーナは実はキャシーではないかと思い始めてしまってます。ニーナの母親に会いに行ったのも彼女の妄想。ニーナは優秀で美しく目立つ存在で、一方、自分は目立たない存在だったとキャシーは言ってました。でも、ライアンが正しく覚えていたようにキャシーは医学生として素晴らしく優秀でライアンは恋心を持ってたわけで、決して目立たない存在ではなかったように思いました。
「Wild Lifeで一気に老け込んだ感があったんですが」同感でした。ちょっとショックでした。わたしを離さないでが若く見えすぎたんですね。今回は30歳にはちとつらかったけど。
L、うーん。あのペンダントはかなりだと私も思います。でも共に優秀で尊敬し大好きな友、は男同士、女同士、ありえるかなー、と思いつつ、うーん。むずい!
あと、bloodさんが邦画的と書いてらしたこと、とても関心あります。お時間ある時でいいので、もしよかったら教えて下さい!
「…殺されたとしても、私は構わない。命よりも大切なものを失った私が、さらに失うものなどちっぽけなもの。彼らから全てを奪えるのなら、引き換えにしても構わない」
泣いてしまった。