「まぁ、頑張りましょう。」茜色に焼かれる あささんの映画レビュー(感想・評価)
まぁ、頑張りましょう。
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尾野真千子さんが公開前夜最速上映会で『命をかけてつくりました』と涙を流しながら伝えた コロナ禍に撮影された作品。
2019年世間を騒がせた東池袋自動車暴走死傷事故から着想を得たという石井裕也監督のオリジナル脚本、社会問題や理不尽さを絡めながら描いた人間ドラマ、ものすごく強いメッセージ性を感じ、個人的には今年一番の作品かもしれない。
観てるこっちからすると良子さんよ、どんだけお人好しなんだ?(そもそも最初に賠償金は受け取りなよ!)と突っ込みどころ満載なんだけど。
風俗店での同僚のケイちゃんの人生も壮絶なもので(けいちゃんがとてつもない存在感を放っていた)、本作には救いがほとんどない。これでもかと言うほどに徹底的に不幸やトラブルが描かれている。
しかし、どん底の中にも必ず希望があって、例えば息子 純平の成績がめちゃくちゃ良いとか、恋、そして良子にとっては息子が生き甲斐で、息子にとっても良子が自慢の母で。愛する人、守るべき人がいると強く生きられるんだよね。あと、本に囲まれた部屋、お金がなくても知と教養は財産だと感じた。
シングルマザー(ファーザー)、貧困世帯、風俗で働く人たち、コロナによって生活苦になった人たち…
今を生きる人々に“どうか希望を持って生きて欲しい”という監督の強い思い、評論にも書いてあったように“祈り”を感じる。所々笑いを入れるところもたまらなく好き。
長編作だけど全くだれること無く観ることができた。製作陣に竹内力さんの名前があったことにも少し驚き!
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