「マニア、ここに極まれり!」JUNK HEAD おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
マニア、ここに極まれり!
興味はあったものの公開時に時間がとれず、未鑑賞のままだった本作。今週末に公開されるシリーズ第2作の前に観ておかねばと、慌ててアマプラで鑑賞しました。
ストーリーは、環境破壊により地上の汚染が深刻化した地球で、人類が地下開発のために創り出した人工生命体マリガンの反乱により地下を乗っ取られてから1600年後、遺伝子操作で永遠の命と引き換えに生殖機能を失い、絶滅の危機に瀕した人類のため、独自の進化を遂げたマリガン調査に向かった調査員の決死の奮闘を描くというもの。
公開当時はフライヤーやキービジュアルから、白くてかわいいロボットの冒険譚かと思っていましたが、まったく違いました。想像よりはるかに作り込まれた世界観の中で繰り広げられる、SFファンタジーといった感じの作品です。
全体的にはバイオハザードを彷彿とさせるクリーチャーとのアクションシーンが多く描かれ、残酷な描写もそこそこあります。しかし、シュールなキャラクターとストップアニメーションがもたらすどこか無機質な雰囲気のおかげで、そこまでグロさは感じません。
そんな地下でのマリガンたちの攻防を見せつつ、主人公がなぜこんな姿をしているのか、何を求めているのか等、その背後にあるものがしだいに明らかになっていくという構成です。終盤は、冒頭シーンへと回帰しながら、この地下世界の秘密が明かされます。
そして、クライマックスは強敵クリーチャーとの最終決戦!序盤でふがいない姿を見せていた3人にこんな秘密があったとは!そして、まさかこの3人に心揺さぶられるとは!一定の年齢層以上なら、きっとジェットストリームアタックを想起し、さらに楽しめるのではないかと思います。
予備情報なしで観ていたので少々わかりにくい部分もありましたが、終わってみれば改めて設定の奥深さ、展開の巧みさに驚かされます。この世界にはまだまだ多くの謎がありそうで、この続きが早くも気になります。第2作公開前に観ておいてよかったです。
それにしても、この壮大な物語を堀貴秀監督がほぼ一人で、しかも独学で7年もの歳月を費やして作り上げたとは驚きです。その手腕と熱意と根性に心からの拍手を送りたいです。エンドロールで流れる製作風景は必見です。本当にすばらしすぎます!