劇場公開日 2021年3月26日

「膨大なコマ撮りに感服。ストーリーや世界観も味わいがあって面白い」JUNK HEAD p.f.nagaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0膨大なコマ撮りに感服。ストーリーや世界観も味わいがあって面白い

2025年5月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

カワイイ

先ず、何と言っても作品を作るための、細かくて膨大な作業が感動的。エンドロールでその一端を見ることができるので、この数分間は必見だと思う。7年の歳月をかけた14万コマ。リアルなセットを作り、キャラクター人形を作り、ひとコマひとコマ撮影して99分の動画に仕立てた執念に感服。あまりに果てしない作業で、やろうとする気持ちを理解することさえ難しい。

コマ撮り動画によって、キャラクターがややぎこちない動きをしつつ、微妙に振動したりすることは、この映画の良い味になっていると思う。地底世界なのだからそうなのだろうと思わせる効果もある。もしもCGで作ってリアルさを出したら、キャラクターへの親近感がなくなってしまうだろう。

映画のストーリーも味わい深いものがあって、良いと思う。弱肉強食の世界で、何度も捕食されてしまう場面があるのに、出てくるキャラクターたちは、どれも肩に力がはいってない。多くが賢くはない設定で、うらおもてがないので親近感がわく。最初の方に「とりあえず、(ミサイルを)撃っとくか」というセリフがあったが、「いいかげんさ」が良い感じ。

ロードムービー的にいろんなエピソードが出てくるけど、それぞれ面白い。それでいて、「生殖能力を失った人類の再生」という大きなミッションを抱えているので、テーマ性もある。最後のラスボスとの対決もけっこう感動的。ヒロインもちゃんと出てきて、花を添えるところも良い脚本だと思う。

映画を観た直後は、リアルなCGの映画と比べて「迫力、刺激が足りない」と感じてしまうところもある。でもこれは「別もの」であり、味わい方が違うのだろう。

p.f.naga
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