「可愛い人形が繰り広げる壮絶バイオレンスアクションのギャップにやられた」JUNK HEAD といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
可愛い人形が繰り広げる壮絶バイオレンスアクションのギャップにやられた
公開当時めちゃくちゃ話題になっていた作品。地元の映画館では上映していなかったため、アマゾンプライムで配信開始になったこのタイミングで遅ればせながら鑑賞しました。ストップモーション映画であること以外は事前知識はありませんでした。
結論ですが、これはめちゃくちゃ面白かったです。
「ストップモーション」と聞いて想像していたEテレ的なものとは全く違い、割とバイオレンスな描写もありましたし、かなり滑らかに動くし、アクションがカッコいい。ストップモーションのイメージが覆るような作品でした。映像面だけでなくストーリーも素晴らしく、キャラクターも非常に魅力的で最後までダレることなく楽しむことができました。本作の製作はほとんど全て堀貴秀さんがたった一人で7年もの歳月をかけて作成していると聞き驚愕しました。劇場パンフレットには製作の裏話も収録されているらしいので、どうにかしてパンフレットを手に入れたいですね。カルト的な人気が出るのも頷けます。私もすっかりハマってしまいました。
・・・・・・・・・
環境破壊が進み、地上は人間が住めないほどに汚染されてしまった。人間は地下開発の労働力として人造人間マリガンを生み出したが、自我に目覚めたマリガンが人間に反旗を翻し、地下世界を占拠してしまう。そんな人間とマリガンの争いから1600年後、人間の間で謎の感染症が蔓延して人類の20%が死に絶える。科学技術の発達で永遠に近い寿命を手に入れていた人間だったが、その代償に生殖能力を失っていたため、絶滅の危機に陥ってしまう。人間はマリガンの生殖の秘密を調べるため、一人の男を地下調査に派遣するのだが…。
・・・・・・・・・
本作は先述した通りほとんど全て堀貴秀さんが一人で作り上げた作品です。エンディングのスタッフロールは見物です。監督をはじめとするほとんどの役職に「堀貴秀」とクレジットされているんです。監督も堀貴秀。原案も堀貴秀。あぁ、一面の堀貴秀。七色の声を持つと言われる声優の山寺宏一さんが一人で何役も演じてスタッフロールが「山寺宏一」で埋め尽くされるのがたまに話題になりますが、レベルが違いました。
公式HPでは堀さんの役職を「監督・原案・キャラクターデザイン・編集・撮影・照明・音楽・絵コンテ・造形・アニメーター・効果音・VFX・声優・etc」と紹介しています。あまりに多過ぎます。製作の舞台裏映像とともにこのスタッフロールが流れるのですが、ある意味このエンディングが映画の一番の見どころかもしれませんね。少なくとも今まで鑑賞した映画の中ではぶっちぎりで面白いスタッフロールでした。
もちろん本編も素晴らしく面白いです。
世界観がかなり独特で、そこがカルト的と言われる所以でしょう。異形の怪物が跋扈する地下世界というとかなり恐ろしいイメージですが、登場するキャラクターたちは非常にコミカルですし、可愛らしい人形で表現されていることもあって恐怖感は皆無ですね。
本作はストップモーションでありながらアクション要素も豊富で、特に最後のバトルシーンは手に汗握る激熱展開でしたね。めちゃくちゃ楽しい。ストップモーションでここまで迫力があってぬるぬる動くアクションシーンは初めて観ました。ストップモーションの可能性を感じられる素晴らしいシーンでしたね。
とにかく、本作はその独特の雰囲気やクオリティの高さが世界的にも評価されている「間違いなく面白い映画」です。観ておいて損はないと断言できます。オススメです!!!