劇場公開日 2021年10月15日

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「全年齢対象型のさわやかな感動」劇場版オトッペ パパ・ドント・クライ ドラコさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0全年齢対象型のさわやかな感動

2021年10月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

流石にちょっと驚いた。

これは子ども向けアニメというよりも、全ての年齢が楽しめるように丁寧に作られた「映画」だった。それはたとえば、ゲームで言えば「あつまれどうぶつの森」。小さな子どもとその親、そしてかつて子どもだった全ての大人が満足できる「全年齢対象」のエンタメだ。なめてかかるとあぶない。

60分程度の短い尺は、おそらくは小さな子どもの集中力を気にしての制約だったのではないかと思うが、この映画の制作者たちはその短さを言い訳にせず、「現代を生きる子どものためにみんながどうあるべきか」という普遍的なのに古臭くないメッセージ、妥協のない数の伏線、ちゃんとミュージカルとして楽しませてくれる音楽、多様な2Dアニメを詰め込むことで、大人も十分に満足できるエンタメに仕上げ切っている。
天下のEテレで放送されているアニメなのだから、と言われればそれまでなのかもしれないが、これ実は相当難しいことをやってのけているのではないだろうか。

パパ・ドント・クライという「感動ものだろうな」「別れがありそう」と匂わせるタイトルとポスターだが、実際はお涙頂戴に走っていないのもいい。なんなら、まさに文字通りあんまり泣かないようにする主人公に心を動かされる。ホロリとさせられるのも、あくまで主人公の人生の選択に対してなので、悲しいというよりはその心の変化に感動するさわやかさがある。

ドラコ