劇場公開日 2021年8月27日

「【鳩が豆鉄砲/僕は偽札を使ったことがある件/伏線の回収は必要か】 」鳩の撃退法 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【鳩が豆鉄砲/僕は偽札を使ったことがある件/伏線の回収は必要か】 

2021年8月30日
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太鳳ちゃんは、この作品は伏線がミルフィーユのように沢山あって、何度も観た方が良いと言っていたが、原作を読んでみるのも良いと思う。

文庫で上下巻合計1000ページをゆうに超える分量だが、軽妙な語り口で、割と苦労せずに読める作品のように思う。

この作品タイトルの”鳩”というのは偽札のことだ。

そして、もう一つ、鳩は読者や映画を観た僕達のことも指しているんじゃないかと考えたりする。

なぜか。

それは、皆んなの大好きな伏線の回収がなされないからだ。

豆鉄砲を食らったような感覚を少なからず覚えるからだ。

随分前に読んだ、この原作の伏線の回収のなされなさに、思わず笑ってしまったことを思い出す。

映画も、伏線の回収に重きを置く人は絶対に観てはいけないし、たとえ観たからと言って、伏線が回収されないことにモンクを言ってはいけない。

なぜなら、それこそが作者の意図したところのように感じるし、ほくそ笑む姿が目に浮かぶからだ。

伏線の回収なんていう予定調和を歯牙にも掛けていない。

せいぜい、原作を読んだ後の僕みたいに豆鉄砲を食らったような顔をしておくのが最善だ。

ところで、僕は、偽札を使ったことがある。

ただ、ドル紙幣だし、正確には、とあるアジアの国で、その国の通貨と交換したことがあるのだ。

今だったら、絶対しないが、当時は若くて、面白いからという理由で試してみたかったのだ。

20年以上前、アメリカ出張の時、思いがけず、週末を挟むことになった。

出張で週末を挟むことは、ほとんどなくて、国境を跨ぐ移動に当てられることが多いのだけれども、これはラッキーと思って、シカゴの友人とカブスのゲームを観に行った。

そこでMLB公認のシカゴ・カブスのキャップとユニフォーム・シャツを購入したのだが、そのお釣りの中に、変な紙幣が紛れ込んでいたのだ。

厚手でちょっとごわついた紙質、微妙に傾斜した印刷。

あっ、偽札だと思って、まあ、当時はドルには珍しくないと言われていたけれども、東京に持ち帰って、今は名前が消失してしまった都市銀行の、とある支店の窓口で、ほかのドル札に紛れさせて、円に交換できるか試してみた。

そしたら、案の定…

〇〇さまー、
はいっ、
お客さまー、(ここから小声で)これ正式なドルのお札ではないようなんですよ、これ以外は両替は可能なんですが…。
あっ、結構です。じゃあ、他のドルも結構ですと言って、僕は、記念に取っておくか、しばらく悩むことになった。

そして、数ヶ月後、とあるアジアの国を当時付き合っていた彼女と有給を使って旅行することになって、その現地の空港で再び試すことにした。

日本だったら、あの銀行のような対応で済むところ、もしかしたら、逮捕されてもおかしくない…かもしれない…そんな政治情勢の国だなんて、これっぽっちも考えない無邪気さで、エクスチェンジに出したら、ダダダダダダって、カウンターにかけられて…、現地通貨に両替出来たのだ。

“あっ、しまった。記念に取っておけばよかった。なんだよー、ザルな国だなー、この国はー。”

その後、10年以上経って、この原作を読んだ僕は、ある一文で、まあ、僕の対応は悪くはなかったななんて考えた。

こんな感じだったと思う。
“鳩なんて手元に来たら、その後、なんとか処分しなくちゃならないだろう”

そうなのだ。

そして、考えてみたら、僕の偽ドル札はめでたく僕の手元から離れたが、伏線の回収はない。

報じられることもなければ、当然、経緯も何もない。

でも、よく考えてみたら、こんな大それたことじゃなくても、僕達は、ほとんど伏線なんて回収することなくずっと生きているではないか。

だから、このエンタメ小説と映画は、このまんま楽しめば良いと思います。

ワンコ
アンディぴっとさんのコメント
2021年9月19日

ワンコさん、原作読み終わった後、確かに豆鉄砲食らった気分でした。何もわからずポカ〜ンでした。
それにしてもワンコさん、鳩が手元に、の体験がお有りとは。そんなこともあるんですねえ!

アンディぴっと
2021年9月3日

あれ?
間違ってなかった?
朝なので頭がまわっていません💦

黒リネン
2021年9月3日

そのほうでした。
失礼しました。💦

黒リネン
2021年9月3日

あははっ。
鳩にはそんな意味も含まれていたんですね。
勉強になります。
原作読んだ方が逆に解釈が難しくなるんですね。
ありがとうございました。

黒リネン
2021年9月3日

ワンコさんへ。
原作も読まれたワンコさんはどんなストーリーとして捉えましたか?
気になります。

黒リネン
ワンコさんのコメント
2021年9月1日

この作品は、偽札の出どころ含めて分からずじまいのことは多かったですけど、たった一枚の偽札の行き場、おんながどうなるのかなんかグルグル展開してエンタメ感は充分だったと思います。

ワンコ
mochy3さんのコメント
2021年9月1日

伏線は回収されるもの、そうでなければ余談だと思います
回収されるからエンタメでは?

mochy3
NOBUさんのコメント
2021年8月31日

今晩は
 今更ながらですが、当時一緒にネパールに行っていた友人に確認したところ、”バカ、あれは、ハシシを買った時にグチャグチャの札を出したら、偽札だから、使えないって言われたんだろ・・”との事でした。
 スイマセン・・。返信不要です。何か気になってたので・・。

NOBU
NOBUさんのコメント
2021年8月30日

おはようございます。
そもそも、お札自体がグシャグシャで何だかワカラナイ代物でしたから。ポカラ等、山岳地帯に行くと尚更です。勿論、空港、役所はキチンとしてますが。カトマンズは半々だったかな。今から20年前の話です。

NOBU
NOBUさんのコメント
2021年8月30日

おはようございます。
”伏線の回収なんていう予定調和を歯牙にも掛けていない。”
うーむ。目から鱗が落ちますね・・。
私も普段は余り、伏線回収には拘らないのですが・・。
ところで、偽札の件。わたしもネパールで使いまくりました。だって、ネパール・ルピーって殆どが偽札なんですもん。けれど、民衆はあまり気に掛けず・・。器がデカいのか、何なのか・・。では。

NOBU