「美しい背景の上を滑る音楽、ストーリー、キャラクターetc.」サマーゴースト tenperさんの映画レビュー(感想・評価)
美しい背景の上を滑る音楽、ストーリー、キャラクターetc.
商業作品として見たらこうあるべき、自主制作として見ればこうでも良い、というようなダブルスタンダードは作品にも作っている方にも失礼なように思いますし、そもそも本作は紛れもない商業作品でしょうから、その前提で考えると、正直楽しめませんでした。
一番気になったのは、音楽の不自然さです。
尺が短い中でとにかく物語を推進しようとして、無理に音楽で盛り上げようとしているように感じました。
特に、主人公の友也が自宅でクローゼットから服を放り出した先にあるキャンバスのシーン。映像で主人公が思い描く世界の広がりを描こうとしており、それを助けようとして入っただろう音楽が、むしろ妨げているように感じました。
ストーリーやキャラクターについても気になるところが多かったです。
幻想的な範囲と現実的な範囲のバランスをどうとるべきか、難しいところだと思いますが、それにしても本作はその辺りがやや宙ぶらりんだったように思います。
それに、流れとしてそうしないといけないのはわかるけど本当にそうするしかなかったのか、という違和感が合わさって、見るのに集中できませんでした。
(例えば、なぜ遺体を見つけた後、自宅の玄関前に絢音のブローチ(?)を置いていくだけにしたのでしょう。警察官の姿が見えてやたら現実らしくなることは作品にそぐわないと思えますが、友也が物理的に遺体を発見したのとはあまりに対照的すぎる気がします。)
そんな感想を持ちながら見たせいなのかもしれませんが、エンドロールが見づらかったのが気になりました。
フォントのデザインによるものか、サイズによるものか、そこまではつかめませんでしたが、見る人(見る環境)のことを考えていたのか、改めて不安にさせられました。