サマーゴーストのレビュー・感想・評価
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これからの作品が楽しみになるような、初監督作品としては非常にクオリティーが高い中編アニメーション映画。
本作は約40分間の中編アニメーション映画ですが、むしろ無駄がない分、満足度は高いです。
通常であれば、余白を作ったりして、1時間超えの映画にすることも可能な作品ですが、あえてクオリティーを下げないように無駄を削ぎ落して中編映画で勝負しているのは好感が持てます。
イラストレーターのloundrawによる「初監督作品」としては、上々の完成度だと思います。
こういうキャラクターデザインもアリでしょう。
印象的なシーンや言葉を残しつつ物語は進むので、何度でも繰り返して見たいと思える作品になっていました。
構成も良く出来ていて、最初のシーンもよく考えられています。
このように、「初監督作品」としては、ほぼ満点と言えます。
ただ、以下の2点だけは、少し詰めが甘いかな、とも思います。
1.あおいのキャラクターデザインが可愛いので、なぜスクールカーストで下位にいるのかが考えづらい点。これは、共学ではなく、女子高という設定にしていれば、切り抜けられたと思われます。
2.友也による勝手な想像のイラストの後ろ姿を見て「こんな綺麗な人がねぇ」というセリフは無理があります。このセリフが自然と出てくるような情報を入れたりしておく必要がありました。
この程度のマイナス点しかないくらいに良く出来ていると思います。
これからの活躍が期待できる「期待の26歳の新鋭監督誕生」という、大きな希望を感じられる作品です。
ベタだけど泣ける
わずか40分だけど劇場公開された作品。新海誠監督の『言の葉の庭』あたりを彷彿させる。
死を考えてる高校生男女3人が幽霊を召喚し、遺体を探す展開。
時間が時間だけに無駄な部分は削ぎ落され、内容もわかりやすく、人間の生死をテーマにしたベタな展開だが最後は本当に泣ける。
音楽も綺麗だし、これはおすすめ。もっと話題になってもよかった。
サクッと観れて、作画も素晴らしい
感動的な青春映画でした。
悩みを抱く高校生たちの姿は、自分と重ねられるものがあって、より感情移入できました。
自分も友也たちのように、〝必死に〟生きていきたいと思います。
少し不思議なファンタジー
採点3.6
ぞれぞれが抱えた葛藤を昇華させる、一夏の物語。
少し頼りない作画ですが、随所々で良いカットも入れてくるのでメリハリがついてました。夏を感じさせる色調も良かったです。
そして何より、小瀬村晶による劇伴がすごい良かった。
終盤の「保証はないけど、俺は保証する」、実に素敵な台詞でしたね。
少し不思議なファンタジーだけど、何だかお盆時期にはぴったりでしたね。
初監督作品としては中々だと思いますよ、面白かったです。
絵は好きだが話の内容がピンと来なかった
監督は『君の膵臓をたべたい(アニメ)』『ジョゼの虎と魚たち(アニメ)』のスタッフとして携わったloundraw
脚本は『百瀬、こっちを向いて。』原作者の乙一
粗筋
SNSで廃空港に集まった3人
夏に花火をつけると現れる幽霊という都市伝説を信じて
そして現れた若い女性の幽霊
死体はトランクの中に
死体を探すことになった友也
幽体離脱する友也
幽霊は声当て専門ではない川栄李奈
3人は声当て専門
それが良かった
配役
絵を描くのが好きだが進路に悩む高3の杉崎友也に小林千晃
スクールカーストとして虐めに悩む高2の春川あおいに島袋美由利
病気で未来を諦めた高3の小林涼に島﨑信長
夏に花火をあげると現れる幽霊の佐藤絢音に川栄李奈
『杉崎、期待しているぞ』と先生は言うが、教え子が偏差値の高い大学へ...
『杉崎、期待しているぞ』と先生は言うが、教え子が偏差値の高い大学へ入学しても、先生には関係ない。生徒の偏差値の高低と言うノルマは担任教師には無い。
と知り合いの政治経済教師から聞いた。やる気の無い先生であった。
しかし、ここでも黒髪は無い。
死んで、どうなっても良いが、土の中に埋められて、『ずっと苦しかったら嫌だなぁ』と思っている。
『生きる意味』は簡単。人間はいつだって死ねる。いくら苦しくともいつだって死ねる。生きることに大変なんて無い。要は『大変』と思い込んじゃう事が問題。
何で三人なんだろうと思っていたらその答えが分かる。
悪くは無いんだけど
時間が短いので、何かのイベントで上映されたかNetflixみたいな配信サイトのオリジナル作品かなと思ったら、劇場上映だったのね。料金1300円。40分で1300円かぁ。
何か、既存の作品の先行上映(最近だと、鬼滅の刃や推しの子のTVシリーズ一話先行)とかなら分かるけど、オリジナル作品だしなぁ。
まぁ、監督はイラストレーターとして活躍、脚本も小説家として活躍してる方らしいのでファンなら行くんだろうな。自分も好きな小説家の書き下ろしだったら行くだろうし。
作品としては作画は普通。ただ、光の使い方が綺麗。
キャラは生きている三人にそれぞれ幽霊を見に来た背景が有って、それを膨らませれば100分位の作品に出来ただろうけど、あえてせずに短編にしたんだろう。それ故、スッキリと無駄が無い。逆の言い方をすると満腹感が無い。でっ、その三人の背景も特段に物語性が有るかと言うと、まぁ有る有るな話。一番、ストーリーを作りやすく、ゴーストと言う対象にリンク出来る涼では無く、一番有る有るな友也にしたのも狙いなんだろうけども。
【”自ら命を絶ってはいけない。現実逃避してはいけない。生を全うしなければいけない。”厳しく辛い毎日を送る中で絶対に忘れてはいけない事を、鮮やかなメッセージとして繊細で美しい絵で発信している作品。】
ー 短編映画は、その尺の短さ故にテーマをブレなく描かないと、ツマラナイモノになってしまうことが有るが、今作は違った・・。-
■ネットを通じて知りあった3人の高校生、友也、あおい、涼。
彼らの目的はとある都市伝説、花火をすると姿を現すという若い女性の幽霊、通称・“サマーゴースト”に会うこと。
3人にはそれぞれ、サマーゴーストに会わなければならない理由があった。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
■生者
1.杉崎友也
・絵を書くことが好きなのに、大学受験を前にして厳しき母から勉強以外の事をする事を禁じられ、”死んでいるような気持ち”で生きている若者。
2.春川あおい
・高校で苛められ、自身や周囲に嫌悪感を持っている”死んでいるような気持ち”で生きている若者。
3.小林涼
・不治の病を患っており、故に諦観を持って”死んでいるような気持ち”で生きている若者。
■死者(ゴースト)
1.佐藤絢音
・自死したと言われている幽霊。だが、実際には交通事故に遭い加害者にトランクに入れられ遺棄された故に、天に逝けない哀しき女性。
・登場人物は、たった4名。生者はそれぞれ、心に葛藤や悩みや諦観を抱き、”死んでいるような気持ち”で生きている若者達。
・そんな彼らが、探したサマー・ゴースト。彼女も又、身体が無い状態で天に逝けず心は彷徨っていた。
<今作は、自分の未来に希望が持てなかったり、死を考えて居たりする方に対し、有り触れた言葉だが、【自ら命を絶ってはいけない。現実逃避してはいけない。生を全うしなければいけない】というメッセージをloundrawが描く繊細で美しい絵で発信している作品である。>
切ない冒険奇譚
ネット上で知り合った3人の高校生は花火をすることで現れる幽霊の絢音と出会い…。
乙一脚本の短編アニメ映画。少年少女の一夏の冒険奇譚として乙一っぽさもありながらよく纏まっている。命の終わり方は選べないがそこまでの道は選べると言うメッセージ性を感じる作品でした。
40分という上映時間を活かしきった一作。
約40分という短い上映時間のため、話しは絞り込んでいる感があるけど、映像は豊穣そのもの。「時間を長く感じた」という感覚が良い意味で作用している珍しい作品でした!
loundraw監督の名前は初めて耳にしたけど、それもそのはず、劇場アニメ作品の監督は初めてとのこと。しかしこれまでもアニメ作品の原案や美術に携わっており、なんといっても書籍装画で非常に多くの業績がある方とのこと(『君の膵臓を食べたい』をはじめとした住野よる作品など)。となると今までも監督のイラスト作品はたくさん観てきたはずで、本作の、「どこかで見たことのあるような」、ある種の懐かしさを憶える感覚はここから来ているのかも。
映像としては決して派手だったり、高度な作画技術を誇示する、といった印象は薄いんだけど、特に光の表現の繊細かつ緻密さが印象的です。
幽霊となった女性を巡る物語が縦線なら、主人公達がどのように幽霊が見える「条件」を備えているのか、という謎が言わば横線となっており、全てが明らかになった後で冒頭の場面を思い起こすと、腑に落ちるようなちょっと悲しくなるような、不思議な思い出として蘇ります。
脚本を担当している乙一(安達寛高)のデビュー作は『夏と花火と私の死体』(1996)で、どう考えても本作と繋がっているようにしか思えないんだけど、監督の弁によると、自身のイラストが本作の着想に繋がっているとのことで、二つの作品には直接の結び付きはなさそう。だからこそこのシンクロには驚いてしまうわけだけど。
非常に美しい作品
ベタな演出を用いながらも新しい表現方法にこだわり、アニメーションの可能性を見せつけられたという点で、アニメーションとして非常によくできている。一つの作品としてもストーリー、音響、音楽などよくできていたと思う。初監督にしてこの作品、今年一番圧倒された。
制作者の配慮が温かい。傑作。
この映画がたった40分しか上映時間がなく、でもネットで話題だってことでわざわざ一時間、電車を乗り継いで池袋まで行って鑑賞してまいりました。
正直な感想、こんな表現手法あったのか!ってくらいの衝撃。
無駄なカットがほぼなくて、とは言え忙しい感じもまるでなく、印象としては2時間くらいのストーリーを大胆な編集でサイドストーリーごとバッサバッサと切り倒した結果、妙に心に残る作品が完成した、という感じです。
幽霊含め登場人物が直面するまあまあ深刻な事態を軽く受け流すストーリーは、ふわふわとした緩い作画がオブラート的に使われてて絶妙。
これ、精細作画でやられたら彼らにシンクロした鑑賞者は鑑賞半ばで心が折れます。
ストーリー上、語られないところは鑑賞者にお任せします、ってのは清々しいファンタジーの読後感を乱さない、制作者の配慮とお見受けいたしました。
本当に素晴らしい作品。上映会を是が非でも増やしてください。
では。
スピード感があり中身が濃い
高校生とゴーストとの出会いを描いた青春ストーリー。短編ですがスピード感があり要点が上手く纏められていて中身が濃い。長編でダラダラしている作品よりもこちらの方が断然良い。次作も期待したくなるような満足度の高い作品です。
2021-198
美しい背景の上を滑る音楽、ストーリー、キャラクターetc.
商業作品として見たらこうあるべき、自主制作として見ればこうでも良い、というようなダブルスタンダードは作品にも作っている方にも失礼なように思いますし、そもそも本作は紛れもない商業作品でしょうから、その前提で考えると、正直楽しめませんでした。
一番気になったのは、音楽の不自然さです。
尺が短い中でとにかく物語を推進しようとして、無理に音楽で盛り上げようとしているように感じました。
特に、主人公の友也が自宅でクローゼットから服を放り出した先にあるキャンバスのシーン。映像で主人公が思い描く世界の広がりを描こうとしており、それを助けようとして入っただろう音楽が、むしろ妨げているように感じました。
ストーリーやキャラクターについても気になるところが多かったです。
幻想的な範囲と現実的な範囲のバランスをどうとるべきか、難しいところだと思いますが、それにしても本作はその辺りがやや宙ぶらりんだったように思います。
それに、流れとしてそうしないといけないのはわかるけど本当にそうするしかなかったのか、という違和感が合わさって、見るのに集中できませんでした。
(例えば、なぜ遺体を見つけた後、自宅の玄関前に絢音のブローチ(?)を置いていくだけにしたのでしょう。警察官の姿が見えてやたら現実らしくなることは作品にそぐわないと思えますが、友也が物理的に遺体を発見したのとはあまりに対照的すぎる気がします。)
そんな感想を持ちながら見たせいなのかもしれませんが、エンドロールが見づらかったのが気になりました。
フォントのデザインによるものか、サイズによるものか、そこまではつかめませんでしたが、見る人(見る環境)のことを考えていたのか、改めて不安にさせられました。
綺麗な短編アニメ映画
とても綺麗なアニメーション映画だった。
短編映画だけど、それを感じさせない映像美、ストーリー。始まりの花火がとても綺麗、そして背景も。
予想はしてたけど、最後の花火でもう涙しました。
登場人物のそれぞれの境遇が、描かれていてよくまとまってた。
幽霊の少女と“答え”を探す物語
ある場所で花火をすると自殺した少女の幽霊が現れる―
そんな都市伝説を確かめる為に集まった3人の高校生、友也、涼、あおい。
彼らの前に現れた幽霊が語ったのは――
幽霊の少女が語る「死」と3人の抱える悩みが交差しながら進む物語が胸に響く。
40分ほどの短い作品ながら切ない余韻を残す良作。
起承転結がめちゃくちゃしっかりしている綺麗な作品でした。 「花火×...
起承転結がめちゃくちゃしっかりしている綺麗な作品でした。
「花火×幽霊」の設定が最後まで生きていて、思わずハッとさせられる演出でした。
物語はそれぞれ悩みを抱え、死を強く意識する少年少女が、都市伝説に倣い一夏を幽霊と過ごすお話です。
ホラー感は殆ど無く、ほんのり薄暗い青春ファンタジーという感じです。
40分という短い時間で淡々とお話が進みますが、上手い構成と美麗な作画で飽きずに楽しめました。
特に冒頭の部分を経ての、終盤の場面はシンプルですが秀逸だと感じました。
…ですが個人的に、映像の完成度やストーリーの密度の割には、お値段が少し気になりましたが概ね満足でした。
独特のタッチ、製作者の個性が前面に。
通常スクリーンで鑑賞。
ネタバレ以外のレビューをいくつか見ると、評価が両極端に割れてるように感じ、自分が見たらどうなんだろうと非常に興味がありましたが、何せ上映館が少なく、足を運ぶのに大変でした。
まず、見終わった後の第一印象は個性的な作品と言う事。
背景などの色鮮やかな景色に対して、モノトーン調の人物が対照的で、不思議な世界観を演出していました。
路線は違いますが、新海誠監督の秒速五センチメートルとどこか雰囲気が重なりました。荒削りの作品ですが、なんというか観客に媚びない作品(決して他の作品が媚びた作品ばかりという訳ではありませんが、とはいえ興業的な縛りとか、きっと色々ありますよね)とでも言うのでしょうか、こういう尖った作品が出てくるのは凄く良いと思います。
とはいえ、洗練さを問えばまだまだと言わざるおえません、ストーリーの成熟度(一番の違和感はスーツケースを見つけて開けた時、中身を考えると、実際取り乱さずにいられるかとか、警察に何と説明するんだろうか)が感じられず、現実的でない部分でストーリーからはじき出されてしまいます。本当に洗練された物語というのは良い原作を大勢のスタッフが色々な視点から練りに練り上げて作った脚本から生まれると思っています。一人で作った物はどうしても浅い感じがしてしまうのです、ぜひこの製作者が今後、優秀なスタッフに恵まれ、名作をこの世に生み出してくれることを期待します。
なので、期待を込めて辛口の★三個半になってしまいました。
興味深い作品であることは間違いありません。
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