秘密の森の、その向こうのレビュー・感想・評価
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ママが外出したわけは
ごっこ遊び
自分の子ども時代を思い出した。あんなに美しい平たい森でなくて、崖みたいな山みたいな草ぼうぼうの林の中に自分たちの基地を作って内緒で子犬を飼った。妹と空想のお話を作って二人でゲラゲラ笑った。そんなことを思って、もうその時間にも空間にも戻れないと思ったら悲しくなった、少し。おばあちゃんはとっくに死んでしまった、母親の死も遅かれ早かれくる、そして自分も。悲しいのは死ぬことでなくて自分の記憶が死と一緒になくなることだ。その大人の悲しさを子どもの自分と同い年の自分の娘に慰めてもらう。それができたらどんなにいいだろう。
コスチュームはシアマ監督担当!子ども二人の服や靴下の色と素材がいいなあと思った。薄いブルーが基本トーンの家の中は、誰か居てもシーンとしている。でも怖い所ではなかった。暖かくて美味しい場所だった。二人の子どもの可愛らしさと大人っぽさ、悲しくてもその感情の表し方がまだわからない年齢だってことは思い当たる。
森、川、木の小屋、色づいた葉の美しさ、透明で冷気ある空気をたくさん吸い込んだ。ずーっと音楽なし。だからボート遊びの箇所でいきなり女声コーラスが入ったのは驚きで曇り空に太陽が顔を出したようだった。
傑作
普通の森
セリーヌ・シアマ監督による傑作!
オンライン試写会にて鑑賞。
あの傑作『燃ゆる女の肖像』を作ったセリーヌ・シアマ監督の新作ということで期待大きかったが、期待を裏切らない見事な映画であった。
本作を観ている間、「えっ、何?」、「どうなってるの?」と思いながら鑑賞することになるが、観終わって「この監督、ホントにすごい映画を作るなぁ~」と思わされる。
冒頭、8歳の少女が病院の個室に次々と入っていって「さよなら!」と言って回る。そして、自分の母親が個室の片付けをしている。少女の祖母が亡くなったのだ。
少女ネリーは、両親の車で祖母が住んでいた森の中の一軒家へ行くのだが、この家で少女時代を過ごした母親はツライ思い出に耐えかねて家を出て行ってしまう。
残された少女ネリーは、森を散策していたところ、自分と同い年の少女と出会うのだが、その少女の名前はマリオン。母親と同じ名前。
森の中で少女ネリーは、少女時代の母親と出会ったのだ……という不思議な展開となっていく。
(※)そのあとは割愛。
「おとぎ話のような物語」でありファンタジー映画と言うような作品だが、『タイムワープもの』という側面も自然に取り込みながもそれを全面に出すわけでなく、過去と現在をシームレスに溶け込ませたような演出は見事!……というしかない。
この映画、尺はさほど長くない73分の作品であるが、頭をフル回転させられて、観終わった時には「全部を把握できたわけではないけど凄い!」と思いながら、「また映画館で観たい!」と思わせてくれる傑作映画だと思う。
次に観る時には、もう少し、映画の奥深いところを理解するようにしたいと思う。
<映倫No.49238>
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