「悲しみを癒すには」秘密の森の、その向こう ティム2さんの映画レビュー(感想・評価)
悲しみを癒すには
最初はじまって、お年寄りたちにさよならを言ってまわってるとき、部屋の中まで入っててやたら丁寧だなと思ったけど、ちゃんとあいさつしたかったからだと後からわかった。
亡くなるのはいつか分からないから、準備ができてなくて別れをちゃんと出来ない。
母と祖母に会うことができて、現実では話せない二人と話して過ごす時間がネリーを癒す。
時代は違うけど、本人たちの言葉はとても大きい。
派手さはないけど、静かで集中してると惹きつけられるいいシーンがある。
室内で昔と今がいつの間にか切り替わってることに驚いたり、集中してると映像的な仕掛けもある。
・ネリーの慎重な歩き方は(子供らしいのかもしれないけど)、室内のシーンはじっくり見てしまう魅力があった。一歩一歩がいい。
・車のシーンでお菓子を食べていいか聞いたネリーは二つほどサクサク食べて、お母さんにも食べさせてあげるとこ。
ドンドンあげる。ジュースも何も言わずに飲ませてあげて、後ろから首元を抱きしめる。気遣いのできる子で、お菓子ドンドンあげるのかわいい。
・秘密基地の小屋に紅葉がついた枝をさして飾り付けした後、ポッケに手を入れて満足げなシーンが好き。
・ヒゲを剃った後の二人の笑顔とセリフがいい
・寝たら明日に瞬間移動ってお父さんが言って切り替わるとこ好き。
・二人で完成した秘密基地を肩組んで見てるとこいい。
・未来の音楽を聴いたマリオン。
真顔で聞いていて、ニッと口角をあげて、いいじゃんな表情がいい。
・ボートで湖?を漕いでるシーンは楽しそうで羨ましい。絵本の冒険みたい。
近いもの同士だと垣根なく話せる。
親と子だと立場や役割が違う。
子供同士で同じ位置から話せた二人、本人から聞いた言葉は大きな慰めになった。
好きなセリフ
おばあちゃんとの「さよなら」や、
・マリオンのセリフ
「あなたのせいじゃない」
「私が悲しいのは私のせい」
・ネリーのセリフ
「謝らないで」
「いい時間だった」
何度も繰り返すセリフがあるとフランス語全く知らないけど言いたくなった。
ハッピーバースデーの曲を二回歌うとこ、私も真似して二回目は一緒に歌った。
あと、あいさつとか。
私は亡くなった人に会いたいと思ったことがない。
でも以前飼ってた犬にはずっと会いたいと思ってる。
映画見てすぐは自分の感受性が豊かではないからか、経験不足からか感動はそんなになく、おばあちゃんに会えたことの大きさを実感してなかった。
もし、亡くなった犬にもう一度会えたらと考えたら、理解でき、遅れて感動した。
身近な人が亡くなって、悲しみと後悔に苛まれてるとき、もう一度会いたい話したいとなる。この森でそれが叶う。
これは夢ではないと思うけど、夢のようなとか、夢にみたとか、望むけど叶わないものを見せてくれた。
エンディングの歌詞の一部
あなたと一緒に 子供でいる夢
あなたを離れて 子供でいる夢
二回目見て思ったこと
・お父さんが小屋?なんのことってなってて、
お母さんが忘れてるって言ってるとこ。
ネリーとのこと記憶が混ざってるんじゃないかな。
・最初の夜、ベッドでネリーを子供扱いだったけど、最後ネリーが「マリオン」と読んだらまっすぐ見て「ネリー」と嬉しそうに呼ぶ。
ネリーは自分が子供だとわかってるし、マリオンも自分はもう子供じゃないとわかってる。最後のシーンでは子供と大人で話してるんじゃなくて、ひとりとして接してると思った。あぐらかいて話す姿が変わらなくていい、見てるだけで泣けてきた。二回目はじわじわ感動した。
セリーヌ・シアマ監督はインタビューで、
子供の頃に会ってた記憶はあるか?の質問で
→それはどうでしょうか。私はそうは思いませんが。
と答えている。
重要なのは体験で、関係に何らかの影響が出ている。と